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PA0221  1 イギリス 1960年代 Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

Lot18-26_1006
Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

サイズ 幅 740mm  奥行 70mm  高さ 640mm  
※ 詳しいサイズは、こちら

アンティーク家具・照明の専門店「デニム アンティーク ファニチャー」へようこそ!当店ではチェアやテーブル、キャビネットなどのイギリス(英国)アンティーク家具やランプ、シャンデリアなどのフランスアンティーク照明を低価格と安心品質で全国へお届けしております。

Outline/商品の概要(仕入担当者からのコメント)

デニムがおすすめする”コンテンポラリーアート”のオイルペインティング(油絵)です。
今から半世紀ほど前に描かれた、”マンチェスター/ノーザン”画派によるインダストリアルランドスケープです。

・・20世紀のイギリス人アーティストの中でも、最も人気の高い画家の一人、
ローレンス・スティーヴン・ラウリーLaurence Stephen Lowry(1887-1976)。

日本においても骨董絵画ファンや美術関係者のみならず、その名を知る人は多いと思います。

デニムでも、サイトの中で何度もご紹介をさせていただきましたし、
略歴や簡単なプロフィールはことあるごとに関連するコメントの中に盛り込んでまいりましたので
ピンときていただける方も多くいらっしゃいますよね。

イギリス・コンテンポラリーアートの巨匠、といっても、全く過言ではないアーティストです。

率直に言って・・デニムもL.S.ラウリーのファンの一人だったりするんですよね、実は。

なので、こちらの作品に出合った時は、「こんな身近にラウリーの作品が・・」と、
正直、びっくりして言葉が出ませんでした・・。

「憧れの画家」という先入観があるせいか、この作品が持つオーラ、というか威圧感にも圧倒され、
そしてしばしの間、今にも、わさわさと、動き出しそうな ”マッチ棒男MATCH STICK MEN”たちに
時間の経過を忘れてしまうほど、見入ってしまっておりました。

きっと稀代の巨匠の作品が、突然、目の前で手の届く価格で販売されていたとしたら、
同じように言葉を失ってしまうのは、筆者に限ったことではないことでしょう。

いえ、とはいってもお気づきのように、こちらの作品がL.S.ラウリー本人の作品かどうかは定かではありません。
むしろフォロワーの作品である可能性の方が高いです。

それでも、単に時を経た絵画が持つ独特の雰囲気、というものを超えて、
アーティストによる描写のテクニックに、本作に近い魅せられる要素がある、ということは
骨董絵画として、一定以上の評価を与えてしかるべき作品ではないかと思います。

ちなみにちょっと余談で、現実的な話になりますが、L.S.ラウリー本人の作品ですと、
クリスティーズやサザビーズの見積相場では、大体£30万~50万(£1=¥150前後)あたりが多く、
最高値は1960年作の ”ピカデリーサーカスPiccadilly Circus ”。
2011年にサザビーズで500万ポンド(約7億5千万円)の値が付いたと話題になりました。

L.S.ラウリーの作品は年を重ねるごとに、その価値が上がってきているように思われます。

また一方、L.S.ラウリーの昨今の人気を反映するかのように、
フォロワー(信仰者)やマナー(流儀をまねること・まねた人)による作品もきちんと評価されていて、
ボナムスで£500~600くらい、クリスティーズでも£1000~1500ほどの値がつけられています。

デニムでは当作品は、そのあたりの作品と同等クラスの秀作、と位置付けております。

こちらはイングランド南東部、イースト・サセックスEast Sussexのアンティーク絵画ディーラーより、
デニムが直接入手いたしました。

ディーラーは、印象派、ポスト印象派の現代作家の作品をメインに扱っている専門ディーラー。
ですから、印象派の流れを汲むノーザンアーティストの作品を見る目は確かです。

出所情報は、直近ではイギリス人コレクターのプライベートコレクションだったとのこと。
詳しいことは不明ですが、20世紀中盤のマンチェスター画派系のイギリス人画家による作品であろう、
という推測情報が受け継がれてきたようです。

マンチェスター画派も、ノーザン画派の一派。
フランス印象派を源流にもつインプレッショニストのグループです。

また、オールドトラディショナルなネオバロック調ゴールドギルトのウッドフレームも、
フレームだけでそれなりの価値を持つ高級骨董クラス。

エイジングされたかのようなフレームデザインは、レトロモダンな20世紀印象派の作風とも相性は良く、
作品を引き立てているようにさえも見えます。

品のあるシャビーな印象で、アンティークなインテリアにもふさわしい雰囲気と思います。
いかにも、身分の高い個人宅の書斎や個人事務所などに、飾られていた個人蔵の絵画のように思われます。

骨董美術ファンの方のみならず、インテリアにこだわるアンティーク上級者の方にもぜひおすすめしたいです。
次代へと引き継ぐべき20世紀のファインアートです・・。

(Buyer/YM)

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

Condition/商品の状態(修理担当職人からのコメント)

コンディションにつきましては、アンティーク絵画としてエクセレントクラスです。

保護ガラスなどのない入荷時のオリジナルフレームで、背面の処理状況からみて、
いつの時代かに、リフレームされた可能性がありますが、
フレーム自体は20世紀中ごろのかなり古いオリジナルクラスのように思われます。

かなりぴったりとフレームに装填されていますので、専門のプロの手によるリフレームで、
もしかすると初期からのオリジナルフレームであっても全く不自然ではありません。

フレームは、パイン系と思われる天然木無垢ベースに、ゴールドギルトのクラシックタイプ。
デザインは当時の富裕層たちに好まれていた、英国伝統のイングランド・バロック、
オールドトラディショナルスタイルです。

造りの良い硬質なソリッドウッドフレームとゴールドギルトゲッソのモールド装飾は
明らかに安価な模造品とは一線を画すシロモノです。
半世紀を経過した今見ても、その素晴らしさは失われておりません。

そんな最高クラスのこのフレーム、入荷時より彫刻の欠損もほとんどなく、
また接合部の留め部分の緩みもありませんでした。
キャンバスの装填状態もしっかりとしておりました。

半世紀ほどの歳月が経過したヴィンテージクラスのフレームですが、
かなりきちんとした額装屋さんでフレームされたと見えて、
いたし方のない、ゴールドギルトの経年劣化以外は、今でもほとんど修復はする必要のない状態でした。

作品面の状態もまずまずでした。
キャンバスには張りがあり、部分的に少々絵の具のひび割れが見られる状態ですが、
骨董絵画としての雰囲気レベルであり、作品の価値には全く影響のない範囲です。

半世紀以上が経過し、これだけの状態をキープできているのは、
ある程度レストアを受けてきたためか、よほど良い環境に飾られていたか、
のどちらではないかと思われます。

当店のレストアについては、フレームの補色を中心に、全体のクリーニングをすることにいたします。

ところで、ちょっと作品について触れますが、
こちらの作品はスコットランド最大の都市、グラスゴーの港湾施設を描いた工業風景画です。


↑The first heavy lift crane in Glasgow Harbour 1950's

グラスゴードッグGlasgow Docksと呼ばれるこの施設には、1950年代に大きなクレーンが設置され、
もともと造船業が盛んだったこの地で、コンテナの積み下ろしや船体の上げ下げなどに大いに活躍したそうです。

でも、1960年代になると、不況の波で造船所の閉鎖が進んだらしいので、
もしかするとこちらの作品はまだドッグに活況があった時代、1950年ごろに描かれた作品なのかもしれませんね。

で、作品の背面には中央に‘L S Lowry’のサインがあります。

これはもちろん、”ローレンス・スティーヴン・ラウリーLaurence Stephen Lowry”(1887-1976)のこと。
ただ、客観的に見て、これは作者の直筆サインというわけではなさそう。

じゃあ、一体だれが描いたんだ、ということになりますが、
でも、そうはいっても、この作品が本人の作品ではないと決めつけているわけではありません。

その理由を順を追って説明いたしますと、まずレストアラーの立場から見て、
こちらの作品は過去にレストアされていることは間違いないと思います。

今回特に額装は外しておりませんので、正確なところは推測の域を出ませんが、作品面の端を見ると、
絵柄が途切れているような箇所があることに気が付きます。

これはよくあるケースですが、木枠布張りのキャンバスについて、その張り具合が伸びてしまったりすると
もう一度、キャンバス地を木枠にピンと張りなおすわけですが、その際に木枠に巻き付いていて
折りぐせのついていた布地の部分が裂けてしまい、裂けた部分は除去して一回り小さく張りなおすことがあります。

この作品はそのケースで、製作時よりも一回り小さくなっている可能性があります。

ただ、一回り小さくなっても、外装フレーム自体も作品サイズに合わせて小さく加工できますので、
フレーム自体も交換されたのではなくオリジナルからそのまま再利用されているのではないかと思います。

それよりも、作品フレームが小さくなったことで、すぐに想像されるのは、
端にあった作者のサインがカットされて失われてしまったのではないか、ということ。

レストアラー、あるいはリフレーム工房の責任者としては、
作者のサインがなくなってしまったことに気が付いたら、一体どういう行動をとるでしょうか?

普通に考えれば、失われてはいけない情報なので、そのサインを背面などに書き写したりするのではないでしょうか?

とすれば、もともとこちらの作品には‘L S Lowry’のサインがあった、ということ?

じゃあ、この作品、ゴーストライターによる贋作では?
いや、それとも本人の本物の作品?

ここからは個人的な想像ですが、こちらの作品の経年具合から見て、製作時期は
ディーラー情報の1960年前後とみて間違いなさそうです。

でもまだその時期、LSラウリーは存命していました。
贋作ならば、普通、本人の死後、描かれるものですよね。

確かにその時期、すでにLSラウリーの作品には高額な値が付き始めていたようですが、
本人がいるのに堂々と贋作が出回るなんてことは考えにくいですね。

ならば、考えられるケースは2つ。

まず、LSラウリーのフォロワーが描いた。
これがまあ、最も普通に考えられるケース。

既に人気作家として名を挙げたLSラウリーには、
1960年ごろ、マンチェスターには結構な数のフォロワーがいたようです。

フォロワーといってもLSラウリーと縁もゆかりもない人たちのことではなくて、彼に極めて近しい人たち。

LSラウリーを研究し、実際に彼を訪ね、卒業制作に生かしている学生なども含め、
弟子とまではいかなかったのかもしれませんが、非常にLSラウリーに近い人たち。

LSラウリーは後年、いちいち彼のもとを訪れるそうした数々の人たちを、
もともと孤独が好きだったLSラウリーは、ちょっとめんどくさかったと述懐する談話を残しています。

彼らなら、その時期に堂々とLSラウリーの名を借りて習作を手掛けることができたはずです。
入手元のイギリスの絵画ディーラーもそういう判断をしていました。

そしてもう一つの可能性は・・もしかして、LSラウリー本人が描いた?

これは誤解を招いてしまうのであくまでデニムの妄想レベルとお考えいただきたいのですが、
LSラウリーは大きな船が港に入っていくシーンを見るのがとても好きだったと語っています。

でも、調べてみるとわかりますが、好きだった割にそういう港湾シーンの作品は非常に少ない。
彼はその理由を、
「船が港に入って行くところがどうしても思ったように描けなくてね。未だに出来ないんだ、いやになるよ。」
と述べています

つまり描き損じて埋もれていた作品が、もしかするといくつもあったのでは?
その作品が、何かの理由で誰かの手に渡ったとか・・。

もしそうなら「お宝発見」どころじゃありませんね。
なんてったって、サザビーズで500万ポンドの作家ですから。


↑Laurence Stephen Lowry(1887-1976)
‘Piccadilly Circus, London,’1960
Price Realized £5 million
oil on canvas in 2011 by Sotheby's


はてさて、真意のほどはいかに?

まあ、LSラウリーほどのアーティストになると、日本にも専門の研究者がいますので、
その人たちに鑑定を依頼すれば一番手っ取り早いのかもしれませんが・・。

う~ん、でもわからないままの方が、ロマンがあっていいのではないでしょうか。
このお話はこの辺で終えておきます。

さて、話が横道にそれてしまいましたが、こちらの作品面の状態につきましては、
前述のとおり、もともとエクセレント級で、キャンバスに描かれた古い作品なので、
アンティーク・オイルペイント特有の薄いひびくらいは見えますが、
ダメージとは言えない程度で、ほとんど気にはならないと思います。

また、見る限り作品面にはレストアあともなく、あったとしてもここまで現状回復されているのであれば、
相当なプロの技ですので、商品価値には全く影響のないものと思います。

色の発色も、約50年以上前のものですがまだまだ良いと思います。
オイル絵の具表面には汚れが多少ありましたので、慎重にアルコールを使用し、くすみを取っておきました。

現状、全体的には色はオリジナルを維持している状態で、年代相応の風合いと思います。

一般的に見て、ヴィンテージクラスの骨董絵画としては、かなり状態の良いレベルです。
おそらく、作品表面、オイルの汚れ落としくらいは行われてきたものと思います。

フレームにつきましても、構造的なダメージは全くなかったので、
全体的に「 HOWARD オレンジオイルOrange Oil 473ml」や
「CR0303 HOWARD Naturals グラナイト & マーブルクリーナー 473ml」を使用してクリーンアップいたしました。
表面の汚れ落としのみ、行っております。

フレームは天然木無垢ベースに、周囲は石膏によるモールドで飾りが成型され、
ゴールドギルト(金箔張り)が施されております。

金彩は、若干擦れている個所もありますが、アンティークの風合い的なレベルで、全体的には綺麗だと思います。
金箔のはがれている箇所には当工房に金箔がありませんでしたので、真鍮粉を使用しタッチアップ処理しています。



アンティークらしく、良い「味」に仕上がっているものと思います。

彫刻面の欠損は特に見当たりませんでした。

一連の作業は各所、慎重に行いました。
絵画への影響は全くありません。

描かれている絵画自体につきましては、基本的にデニムでは一切手を加えておりません。
木枠から外すこともしておりません。

背面には作品保護のクラフト紙でキャンバスの裏面周囲がカバーリングされていました。

キャンバス自体の背面には、何かエポキシ系と思われる樹脂で布地がコーティングされ、
繊維の弱さが補われていました。
これなら背面全体をカバーリングすることなく、長い歳月、良い状態を保っていられるものと思います。

前述のLSラウリーのネームは、この樹脂の上に書かれております。



裏側にはフックがついていてしっかりしていましたので、そのまま再利用させていただきました。
ナイロンロープのみ交換しています。

安心して飾っていただける状態かと思います。

絵のクオリティも高く、骨董美術としては高く評価できるのではないでしょうか。
額のデザインも絵画をより一層、格調高く演出しています。

とても良い雰囲気のアンティーク絵画と思います。
ご検討のほど、よろしくお願いいたします!

(Restorer/YM)

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

Impression/当店の評価(お客様担当からのコメント)

”ローレンス・スティーヴン・ラウリーLaurence Stephen Lowry”(1887-1976)は、
ランカシャーのストレットフォードStretford生まれのイギリス人アーティスト。

イギリス政府より5度も大英帝国勲位の栄典を授与されたほどの、イギリス近代絵画史に名を残した巨匠です。

ラウリーは、自身が住んでいた北西イングランドの工業地域の生活風景を主に描いていました。

彼は、独特の絵画製作のスタイルを確立し、そして"マッチ棒男matchstick men"としばしば評される、
人影のある工業地帯の風景画で最もよく知られています。

ラウリーに関する研究者は多く、また日本でも知名度のあるアーティストですので、
国内にも彼に関する情報は豊富で、ちょっとネットで検索すれば、様々な情報を入手することができます。

ですので、ここではあまり既知の伝記的なことは列挙せず、
イチアンティーク絵画ファンとしての感想などを中心にご案内したいと思います。

もともと、デニムではイギリスのノーザン・アーティストに関心があり、
その源流ともいえるLSラウリーについても興味を持っていました。

でも、LSラウリーといえば、貧しい環境で育ち、生涯結婚することなく、孤独を好んでいた、
という点で、ちょっと偏った芸術家だったんだろうな、となんとなく人となりを理解していました。

だから、彼の一風変わった作風は、彼の「心象風景」であって、
また彼なりの世の中に対する「風刺画」でもあったのだろう、と考えていました。

20世紀初期の(世界大戦へ向かう)当時のちょっと暗い世相を反映し
人類の文明を「斜に構えて」見ているかのように見えるL S ラウリーの作品。

登場する人影の「マッチ棒男」も背を丸めて下向きがちだし、
人は「文明」という大きな機械の中の「歯車」の一つに過ぎない、とでも言わんばかりで、
どこか、今のままの人類の未来を否定的に描いているかのような印象がありました。

でも、実はそんなことは全くなかったんです。
全く筆者の思い違いでした。

まず、ラウリーは偏屈な芸術家などでは全くなく、
とても純粋で、とてもバランス感覚に優れた人物だったようです。

そして、孤独が好きで人付き合いが苦手でも、必要があれば社交的にもなり、
また若い芸術家たちを支援したり、と、芸術家としてだけではなく、
社会人としての人柄も尊敬に値するような、ひとかどの人物でした。

じゃあ、なぜあんなに、独特の(風刺風の)作風を作り上げられたのか?

薄暗い空の下で、一様に真っ黒な洋服を着た労働者らしき人たちが、
わさわさと、黒煙を吐く工業地帯を右往左往している。

彼らはすべて背を丸め、うつむき加減で、顔を持たない。

いかにも働かされている感じで、何を楽しみに日々生きているのだろう、と
余計な同情心まで芽生えてしまうような、そんなどんよりとした印象のラウリーの作品群。

どう見ても、彼なりの世の中を皮肉った主張なんだろうな、としか思えませんよね。

でも、違いました。
すべての答えは彼の語録にありました・・。

「1909年、私が22歳のとき、家族はマンチェスターの住宅街から
 サルフォード郊外の工業地帯Pendleburyに引っ越した。
 最初はその街が好きになれなかった。その気持ちはそれから6年間続いたよ。
 それが次第に慣れてきて、興味を持ち、そこを描きたいと思うようになった。
 これまで私より他にそんなこと誰もしなかったんじゃないかな。
 結局私はそれに取り憑かれて、以来30年間そのことばかりをやってきた訳だ。」

「ずっと長い間、創作意欲が強いときは工業地帯を訪れて、2日間ばかり泊まり込んだものだった。
 特にHuddersfieldには何度も通った。私はいつでも貧しい地域に強く惹かれていた。
 別にそこに住む人達に同情していた訳じゃない。
 彼らは他の皆と同じ位は、そしてもちろん私と同じ位は幸せだったからね。 」

「そこでは絵は描かなかった...ああ、手早くスケッチ位はしたかもしれないが..
 とにかく歩き回って考えた。
 描く段になって、自分の部屋の中で頭の中の構想を組み立ててゆくのが好きだったんだ。
 朝、白いキャンバスに向かってよくこう言ったものだった。
 ”これから何をするのか自分でも分からないけど、夕方には何かしら描けているだろう”ってね。」

「廃虚に魅力を感じるんだ、醜さにもね。だから廃屋は私を捕らえて離さない。」

「私は急速に白に惹かれていった。
 白が時間と共に変化する様に気づき始めたんだ。
 あれは1924年だったか、木製のボードにフレークホワイトを6回以上重ね塗りしたことがあった。
 乾かして密封してから6、7年は放っておいたかな。
 それから違うボードに同じことをして、2枚を比べてみた。
 新しいボードはもちろんただ真っ白なだけだった。
 だが古い方は美しい灰色を帯びた乳白色に変化していたんだ。
 そのとき私は大事なことを知ったよ。今日私が描いた絵は私が死んだ後で最高の状態になるんだってね。」

「この辺で止めて、絵のことを忘れてもいいと思うんだ。私は全くひたむきな人間ではないからね。
 ある種の芸術家のように、仰々しく真摯に受け止めるなんてことができない。」

「私が語ったことの他には人生にはなにもなかった。銀行強盗をしたこともなければ、誰かを撃ったこともない、
 結婚だってしたことがない。私には野心が全くないんだ。」

「私に起こったこと(社会的な成功)は、ただたまたま起こっただけだ。
 私にはグロテスクな傾向があって、どうにも止められない。
 私の性格だって?公園で見かける他の誰とも変っちゃいないさ。
 彼らは現実の人達、さびしい人達、何かが彼らの人生をうまくいかなくさせたんだ。
 私はさびしさに惹かれる..我々が目にする日常はとてもさびしいものなんだ。」

「彼等には何か特別なものがある。彼等の目には独特なものがあるんだ。
 本当は何を見ているんだろう。神秘的なものがあるんだ。
 どうしてもそれを描かなくてはならないように感じるんだよ。
 彼等の人生は何だろうっていつでも思う。恐ろしくさびしいものなんだ。」

「見ての通り私は孤独な人間だが、孤独でいることが好きなんだ。
 どこでも好きな場所に行ける。他人のことを思い悩む必要もない。
 成功して厄介だったことは、私を訪ねてくる若い連中にいろいろと聞かれることだな。
 卒業論文に私を選ぶらしいんだ。今では休む暇もない位だ。」

・・以上、いっぱい載せてしまいましたけど、そういうことだったんです。

彼はただ、永遠に変わらない自然などよりも、移ろいやすいものに惹かれて工業地帯を描くようになったのです。

そしてマッチ棒男たちにも、何か特別な感情を抱いていたわけではない。
文字通りの人影、彼にとっては写実的ともいえる描写でした。

薄暗く、グレーな空の色も、ただ、白の経年変化に芸術家として惹かれていただけ。
空のほの暗い白色に、妙に思うほど多くの色調が重ねられていたのはこういうことだったんです。

要するに、アーティストとして、人間として、とても純粋な人だったんですね、LSラウリーは。

また、孤独が好きな一方、人が訪ねてくると厄介に思っても、
人のために休みを返上してでも対応する、人情味あふれる人柄。

だからこそ、多くの人に魅了され、イギリス20世紀を代表する人気作家となり得たのでしょう。

・・以上、長文申し訳ございません。
私感が中心なので、話半分程度にご理解くださいね。

しかしながら、そんなとりとめのないことを考えさせられる、秀逸なインダストリアルランドスケープです。
後世へ長く、多くの方に感じていただきたい名画だと思います。

インテリア性も高く、存在感は十分にありますので、お客様を迎えるビジネスの空間にも最適、と思います。

ちょっとノスタルジックなコンテンポラリースタイルの素敵なタウンシーンを、
ぜひエントランスに、書斎に、リビングに・・。

本物を知るアンティークファンの方に、ぜひ。

(Sales/YM)

★EXTRA PHOTO

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

↑この作品と同じシリーズ、と思えるような作品です。
Cranes and Ships, Glasgow Docks, 1947. Riverside Museum, Glasgow
The work depicts Prince's Docks on the River Clyde which was equipped with hydraulic cranes and sheds to cater for the cargo trade.

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

↑A group of dockworkers on the North Quay of Queen’s Dock in 1908
LSラウリーの”マッチスティックマン”をほうふつとさせるような、20世紀初めごろの黒服の港湾労働者たち

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

 

スペック表

※各項目の文字をクリックするとその項目の説明ページにジャンプします。

商品基本情報
品名 Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting
品番
PA0221
管理番号Lot18-26_1006
販売価格(税込) 97,200 円 在庫数 0
サイズ 幅 740mm  奥行 70mm  高さ 640mm  
※絵のサイズは幅580mm×高さ480mmです。
送料ランク・重量 佐川急便200   送料目安:3,480円~5,890円  佐川急便による配送になります。
※ 同梱可能な複数商品の送料はご注文後に別途お見積りをご提示いたします。  
商品分類 クラス
デザイン
ユース
ランク
カテゴリ 装飾品/Decor  >  絵画/写真/美術品
商品プロフィール
原産国 イギリス 年代1960年代
メーカー デザイナー
主要素材
主要素材の材質
主要素材の等級
商品の無垢率
カラー
塗装・仕上げ
その他素材
その他の素材のカラー
メンテナンス状況
コンディション 傷の程度
目立つ傷
交換・改造
実用性
商品プロフィール
原産国 イギリス 年代1960年代
メーカー デザイナー
主要素材
主要素材の材質無垢材
主要素材の等級1級
商品の無垢率90%以上
カラー彩色系
塗装・仕上げ
その他素材
その他の素材のカラーその他
メンテナンス状況フルメンテナンス
コンディション 傷の程度年代なり
目立つ傷年代なり
交換・改造年代なり
実用性あり
商品評価
デニムの総合評価
商品評価
デニムの総合評価

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装飾品/Decor  >  絵画/写真/美術品

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品番
PA0221
Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting
品名

Cranes and Ships, Glasgow Docks / Oil Painting

販売価格(税込) 97,200 円
通常価格 94,500 円
   
ポイント 925 Pt
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