A.P.M. No54 ベントウッドチェア

1900年頃にポーランドで英国向けに製作された、APM社製のベントウッドチェア(曲げ木椅子)です。
※こちらは4脚セットで入荷いたしました。
APM社については情報がなく、どのような曲げ木家具メーカーだったのかは不明です。
ただし、旧トーネット社の量販モデル、例えばNo14とかNo6003タイプにAPMのラベルが良く見られ、
しかもあまり情報がない割には残存数が比較的多く、そのつくりは旧トーネット社と同等レベルのものであることから、
おそらく1900年前後、当時乱立していた旧トーネット社の競合会社だったのではないかと思います。
かなり良い材料を使い、品質レベルも高いところを見ると、競合会社の中でも有力クラスだった会社で、
20世紀以降のベントウッドメーカー再編の波の中で吸収されていった会社ではないかと推測しています。
一時はトーネットの商品を扱う販売会社では?と考えていた時もありましたが、
”Made in Poland” 表記のモデルもあったこともあり、
販売会社であれば、”Made in ・・” とは表示しないと思いますので、メーカーであった可能性の方が高いです。
こちらはそのNo14のバリエーションモデルであり、輸出モデルとして人気の高かったカフェチェア、
トーネットNo54をリプロダクトしたモデルと思われます。
デザイン的に見て、トーネットNo54とは座面のエンボスもフォルムもほぼ同じ、といって良いかと思いますが、
唯一、フレーム形状が違っています。
ベントウッドの「丸棒」フレームは現代でこそ、ただの細い丸い棒が使われていますが、
第二次大戦以前は、フレームにはまだまだ手間のかかる波型などのシェイピングフレームや
強度の高い太めの丸棒が使用されていました。
こちらのチェアの前脚や背柱をご覧になって見てください。
トーネットマニアの方なら気が付くと思いますが、フレームの太さが一回り太い。
太ければ当然強度が高く、耐久性にも優れていることが想像できると思いますが、
その反面、製造する側にとっては材料コストはあがりますし、加工に手間もかかり、あまりメリットはありません。
顧客目線の良い商品だったかもしれませんが、生き馬の目を抜くような当時の激しい競合環境の中では、
このようなちょっとした違いが致命的になってしまった可能性もありますね。
まあ、何にせよ、何億脚と生み出された曲げ木椅子のルーツを探るのはとても楽しい作業。
アンティークの醍醐味と言っても良いでしょう。
ぜひ、貴方もこのチェアを前にして、いろいろと経てきた歴史を想像してみてください。
アンティークベントウッド・コレクターのお一人として・・。
(Buyer/AY)
価格(税込):
21,600
円
参考市場価格:
21,600
円
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LOCKON CO.,LTD.