Jacob & Josef Kohn No728 Josef Hoffmann ベントウッドセティ


20世紀初めごろ、ヤコブ&ヨゼフコーンJacob and Josef Kohn社チェコ本社Wsetin工場で生産されたと思われる、
”ヨーゼフ・ホフマン”デザインの、大変希少なベントウッド(曲げ木)セティです。

オーストリアの建築デザイナーであり、20世紀初めに世界に影響を与えた”ウィーン工房”の中心人物、
ヨーゼフ・ホフマンJosef Franz Maria Hoffmann(1870-1956)が1905年にデザインした世界的な名作椅子になります。

アンティーク・ベントウッドのファンの方なら写真などでご覧になったことがあるかもしれませんね、
そう、「フリダーマウスFledermaus(コウモリ)の椅子」という愛称を持つ、高級サロンチェアの2人掛けモデルです。

もともとJ・ホフマンの活動していたウィーン工房は、家具製作に関しては、
当時のトップ家具メーカー2社、すなわちトーネット社とJJコーン社とは協力関係にありました。

こちらはそんな関係の中で生まれた、世界初のコラボモデル、「デザイナーズ家具」といって良いでしょう。

・・話はちょうど1900年代の世紀の変わり目のころに遡りますが、曲げ木家具で大成功を収めた元祖トーネット社は、
「世界帝国」と呼ばれるほどのグローバル企業に発展していました。

そんな中、そのトーネット社に匹敵するほど、年々技術力、販売力を高めてきたコンペティター・JJコーン社。

しかしながら、デザイン的には、まだまだトーネット社のマネの域を脱していないのが現実でした。

そんな状況に日々頭を悩ませていた当時のJJコーン社社長、フェリックス・コーンFelix Kohnは、
折しも時代の最先端を走るウィーン工房の建築家たちが、家具の分野にまで活動領域を広げていたことに目を付けます。

ところがその一方、トーネット社は、1898年にアドルフ・ロースAdolf Loosと契約、
JJコーン社はここでも先を越されてしまいます。

しかしフェリックス・コーンは、すかさずウィーン工房の建築家グスタフ・シーゲルGustav Siegelと契約、
1900年のパリ万国博覧会ではシーゲルデザインの家具を前面に出して出展します。

その結果、JJコーン社は見事グランプリを獲得し、大成功を収めることになりました。

その後、JJコーン社はオットー・ワグナーOtto Wagnerともコラボモデルを発売、
さらにコロマン・モーザーKoloman Moserとも契約するなど、
シーゲルをはじめとする著名な建築家の様々なデザイン家具が、当時のJJコーン社のカタログを華々しく埋めています。

極めつけはウィーン工房の中心人物、ヨーゼフ・ホフマンとのコラボレーション。
この時点で、家具トレンドの流れは、初めてJJコーン社がトーネット社を一歩リードするところにまでいたりました。

そんな時代に生まれたのが、こちらのヨーゼフ・ホフマンデザインのNo728セティ。
曲げ木家具が歴史上、最も輝いていた時期に生まれた「名作椅子」であることは疑う余地はないですね。

ちなみに、JJコーン社は第一次大戦の影響のもと、1914年にトーネット社と合併。
残念ながら”トーネット”ブランドだけが存続することになりましたので、
最終的にウィーン工房と協業したのはトーネット社ということになってしまうんですけどね・・。

しかし、一応JJコーン社の名誉のために、こちらの”フリダーマウスチェア”シリーズを最初に商品化したのは
JJコーン社の方、ということは強調しておきますね。

フリダ―マウスは発売後、販売の方が好調だったのでしょう、
トーネット社との合併後も、No728をはじめとするシリーズは引き続き、継続生産されています。

モデルコードも、トーネットTHONET社に移行した後も、No728を引き継いでいます。
もっとも”フリダーマウスチェア”シリーズには、JJコーン社時代にも、
トーネット社時代にも、いろいろバリエーションが増やされていて、モデルコードは複数存在します。

フレームが縦格子だったり、生地張り仕様、こちらのように笠木付き&リングデザイン、などデザインは多様。
つまり、シリーズ展開されるまでの人気商品だったことが想像できます。

もともとJJコーン社時代から、ご案内のこちらのチェアはサイドチェアの他に同デザインで
アームチェア、セティ、などもありましたから、そのバリエーションはかなりの数に上っていると思います。

サロンセットが構成できるようにデザイン展開されておりましたので、
富裕層やホテル、レストランなど、需要は多かったのではないかと思われます。

そんなフリーダーマウスモデルですが、現在ではどの曲げ木メーカーでも作られていない、
アンティークだけに存在する貴重なモデルです。
特にこちらのセティタイプは、材料や生産コストの点で、将来的にももはや作られることはないモデルと思われます。

そしてこちらのセティは、その”ヨーゼフ・ホフマン” シリーズの中でも上位クラスに当たる、
メインモデルNo728の笠木付きバージョンです。

日本ではそれほど一般的に知られているわけではありませんが、海外のネットオークションなどでは
相当な高値が付く、コレクター垂涎の人気モデルです。

旧トーネットのアンティーク・ベントウッドチェアの中でもなかなか見ることのできない、
めずらしいクラシック・トーネットです。

いえ、こちらは下記コメント欄に記載しましたが、おそらくトーネットと合併する前の、
オリジナル・JJコーン社モデルでしょう。
まさにミュージアムピース。

これほどの良好なコンディションで、この度、たまたまデニムが入手することができたというのは、
本当に幸運だった、としか言いようがありません。

アンティーク・ベントウッドファンの方には間違いなくお気に召していただけるアイテムと思います。

このチャンスを逃せば、間違いなくもう二度とお目にかかれる日はないでしょう。

クラシックトーネット&JJコーン愛好家の方、お早めにどうぞ・・。

(Buyer/YM)



価格(税込): 330,000 円
参考市場価格: 315,000 円
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