ウィリアム4世William IVスタイル ローズウッド ポールスクリーン


今から約200年ほど前、19世紀前半ウィリアム4世William IVの時代(1830-37)に製作された、
ソリッド・ローズウッドのポールスクリーンです。
英国アンティークのコレクティング・ファニチャーを代表する逸品になります。

アンティークで取引される“スクリーン”について少し解説させていただきますが、
スクリーンには、ファイヤースクリーン、フォールディングスクリーン、ポールスクリーン、トリポッドスクリーン、
そしてこのトリポッド型ポールスクリーンなど、いくつかのタイプが存在しています。

いずれも暖炉の火の粉やすきま風をさえぎったりするために生まれた機能家具ですが、
時代が進むにつれてその機能性は徐々に低下し、お部屋の空間を魅力的に飾るためのインテリアとして、
そのデザイン性だけがどんどん特化して行くようになりました。

そしてヴィクトリアンの末期にはファイヤースペース(居間)において、
メインのインテリア・アイテムとして、スクリーンの流行はピークを迎えることとなり、とにかくゴージャスに進化。
第一次大戦まではそんな貴族趣味の傾向は続いていたようでした。

そんなわけで、コレクションしていた当時の富裕層の人たちの関心は、もっぱらそのパネルデザインの豪華さ。

特に、フォールディングスクリーンなど、もともと日本や東洋の「屏風」などの影響もあったのでしょうか、
いわゆる「金屏風」のようなシノワズリー風の絵画や刺繍のシルクパネル、
漆の絵画や“パピエ・マーシュ”と呼ばれる塗装技術など、様々な技法や素材を駆使して、
スクリーンはあたかも家具から美術品であるかのごとく、変貌を遂げていきました。

見るもあでやかな、そのようなヴィクトリアン当時の高級スクリーンですが、
こちらはそんなヴィクトリアン以前のお品。
スクリーンが豪華な高級調度品に進化してしまう前の、過渡期的な時代のアンティークになります。

当時の最先端のウィリアム4世スタイルのインテリアデザイン、そしてプチポワンのタペストリー。
きっと、当時の都市部の新興市民階級であるブルジョアジー(資産階級)の所有品だったのでしょう。

もっとも進んだ人たちのもっとも進んだデザインアイテム、ということです。

もちろん、機能家具としての作りと素材の良さは、さすが英国家具。

ピクチャーボードは、ポールに沿って上下に自由に位置移動できる専用真鍮金具が背面に設置されています。

そしてこのスクリーン部は、直線と曲線が組み合わされた”ウィリアム4世”デザインのトライポッド(台座)で支えられています。

台座は希少材、南米産のブラジリアンローズウッド材で構成され、
1世紀を経た今でも、端正なフォルムを保持し続けています。

「豪華絢爛」に進化していく貴族趣味的な当時のスクリーンよりも、
このような時代の最先端を行くデザインこそが、きっとオーナーにとっては何よりも代えがたい「芸術」だったのでしょう。

英国の歴史的な世相、そしてそこに生きた人の価値観さえも身にまとった、
素晴らしきコレクタブルズ(収集目的の骨董品)です・・。

(Buyer/YM)



価格(税込): 71,500 円
参考市場価格: 68,250 円
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