ジョージアンGeorge III スーパーマホガニー セクレタリ チェスト

200年以上を経ても一切その実用性を損なわず、
アンティークマーケットでも、常に「最高級」の評価を受け続ける、コレクティングファニチャー。
こちらでご紹介するのは、英国家具史上「最高品質」と謳われる、
“ジョージ・スリーGeorge V”の家具です。
それも、18世紀後半の”レイト・マホガニー・ピリオド”、
すなわち「後期マホガニーの時代」の正真正銘のマホガニー家具、
至高のアンティーク、セクレタリー・チェストsecretaire chestになります。
・・かつては手の届かない「高嶺の花」だった、ジョージアン・スリーのセクレタリ・チェスト。
“コレクティング・ファニチャー”(収集目的の家具)の代表格で、
世界的なオークションハウス、”クリスティーズ”や”サザビーズ”でしか入手できない大変な貴重品でした。
10数年前までは、デニムでもなかなか手の出せる骨董家具ではありませんでしたが、
随分と進んだ円高ポンド安のおかげで、当時からすれば常識的な相場に落ち着いています。
それでも高価は高価で、まだまだ手を出せないクラスのアンティークがほとんどですが、
何とかちょっと背伸びすれば入手できる価格のアンティークも、
よくよく探してみれば見つけることができるくらいにまで時代は変わってきました。
おそらくこの先、2度と製作することのかなわない家具ですから、今はジョージアンの家具の買い時かも・・。
ということで、デニムもひそかに狙っていたジョージアン・スリーのセクレタリ・チェストを、
イギリスの現地ディーラーに依頼して、現地のアンティークオークションで落札していただきました。
といっても、ただ、ジョージアンの家具だから、というだけでわざわざ落札したわけではありませよ。
こちらの家具は、それ自体がすごい。
このような家具は、本当に、未来永劫、決して作ることはできないだろう、と率直に思います。
なぜって、まず、使われている素材に驚きます。
後述していますが、スパニッシュ・マホガニーのクオリティもさることながら、
ローズウッドのアクセント、強度が必要な箇所にはオーク、交換が必要になる箇所には柔軟性のあるオールドパイン材、
など、惜しげもなく、家具の最高級材を適材適所で投入しています。
なかなかこれほど、複数の高級材を使用した家具は見たことはありません。
しかも同じクラスの家具材はいずれも、ワシントン条約上、すでに入手はできません。
そもそもすべての材料が集められないのです。
さらには技術的にも、現代では複製できないほど、高度なハンドメイド技術によって作られています。
具体的には工作機械では加工できない組継(接合する工法)など、構造面各所に熟練が必要な手加工が施されています。
つまりハンドツールを使った高度な人力の加工技術でしか製作はできないのです。
もちろんそれは装飾面でも同様で、当時は木象嵌を専門に行う高度なインレイワーカーが多く存在していたと思いますが、
今ではそのような技術者はいません。
いうまでもなく、これほどの正確なストリンギング(線象嵌)を施せる専門の象嵌技術者など、
現在では存在しないでしょう。
つまり、二度と作れないという希少な家具、ということになるのですが、
それはすなわち、過去において、現在よりもハンドメイドの技術が進んでいた時代があって、
その時代には最も優れた手作り家具が作られていた、ということ。
こちらはまさにその時の家具、ということになりますよね。
誤解を恐れずに言えば、人類史上最高クラスの家具って、ことです。
この家具そのものがすごいんです。
何だかすごいすごいを連発していますが、そもそもジョージアンの家具とは何がすごいのか?
ご存じない方のために一応、おさらいさせていただきますね。
ジョージアンとは、最も隆盛を極めたジョージ3世(GeorgeV 1760-1820)の時代を中心に、
“アーリー・ジョージアン”(GeorgeT 1714-1727)、“レイト・ジョージアン”(GeorgeW 1820-1830)も含め
18世紀前半から19世紀前半までの時代を総称しています。
そして、この時代に作られた家具は“ジョージアン”の家具と呼ばれ、
英国アンティーク家具の中でも最も質の高い良品が産出された時代と言われています。
これが「イギリス家具の黄金期」と呼ばれる所以です。
といっても、どこがすごいのか?
よくわかりませんね。
おおざっぱに言うと、
@「素材」がすごい
A「造り」がすごい
B「デザイン」がすごい
という3点ですごいのです。
でも、家具という製造物で、素材、造り、デザイン、というのは全部の要素では?
と思われますよね。
そう、結局、全部すごいのです(笑)
つまり、現代感覚の「家具」とは全く次元の違うものと思っていただいた方が良いと思います。
例えば@「素材」。
ジョージアンの時代は、一方では「マホガニーの時代」とも呼ばれていました。
そのマホガニー材は、今ではすでにワシントン条約のレッドリスト化により伐採が禁止となり、
すでに輸出入すらできない材料となっているため、
ほんのちょっとした残存の板材でも数万円の値が付いていたりします。
特に現代の最高級マホガニーの代名詞、“ホンジュラス”産マホガニーには、もれなく高値が付いています。
でも・・ご存知ですか?
かつて、高級マホガニーといえば、その代名詞は”ホンジュラス”ではなかったのですよ。
18世紀当時、イギリス政府は植民地である北米や西インド諸島の材木の輸入関税を廃止したことで、
今でいうところのジャマイカ、プエルトリコ、キューバなどから、多くの家具用木材がもたらされていました。
それらの家具用木材の中には、同じマホガニーでも多様な種類のマホガニーが存在していて、
さまざまな木質があったため、その材質によって銘柄が選別され、目的に合わせて用いられていました。
例えば、木目が詰み、赤みが強く、金属のように硬い、“ジャマイカウッド”、あるいは
キューバン・マホガニーをはじめとする、最も美しい木理とされる “スパニッシュマホガニー”等は高級家具材に徴用。
そして、比較的軽くやわらかい、加工が容易な“ホンジュラス”マホガニーなどは
見えない部分の構造材や汎用家具に使われていた、ということです。
つまり、現代の最高峰銘木も、当時ではただの一般材。
ね、次元が違うでしょ。
つぎにそのA「造り」のすごさ。
技術的なことを語れば、賛否はきっとあるでしょうし、
例えばエジプトのピラミッドとドバイの高層ビルを比較して、
どちらが建造物として優れているかなど、議論しても全く意味はありませんよね。
もっと表層的な話。
当時のイギリスは産業革命まっただ中でした。
急速な経済発展の中、人々の生活も潤い始めて活気のあった時代に
国が支援する事業として家具産業がありました。
つまり「家具の製造」は当時の経済大国が支援した先端産業だったわけです。
有識者が諸外国を回り、多くの技術やデザインをイギリスにもちこみました。
今でいえばIT産業のようなものでしょうか?
人々はこぞって花形産業である家具業界の門をたたき、日々切磋琢磨して技術を高めていきました。
そんな時代ですから、一介の家具職人が上流階級にまで上り詰める成功例もまれな話ではなかったようです。
まさに現代のIT長者ストーリーに重なりませんか。
そんな先端産業としての「好循環」が、当時の英国家具の質を「黄金期」と称するまで高めたのです。
それほど当時の英国家具職人のものづくりの力はすごかったのです。
ある文献では、イギリス・ジョージアンの民衆家具は、同時代のフランスの宮廷家具のレベルに匹敵する、
とまで書かれていました。
そして、そのB、「デザイン」。
デザインのすごさはインパクトではありません。
印象度の強さなら、歴史上いくらでもありますからね。
逆に“ファーマー・ジョージ”などと揶揄されるように、この時代のデザインは結構質素です。
しかし、名のある家具デザイナーが初めて世に出現したのがこの時代でした。
王室に近いウィリアム・ケントを筆頭に、アダム兄弟、チッペンデール、ヘップルホワイト、トーマス・シェラトンなど、
貴族趣味の建築様式ではなく、初めて個人のデザインスタイルが確立された時代でした。
つまり言い換えると、初めて民衆のニーズが家具に取り入れられた時代、といっても良いかもしれません。
実際、この時代に作られた家具が、ほとんどの現代家具のルーツとなっています。
現代の家具のマザーモデルが作られた時代、といっても言い過ぎではないでしょう。
こちらのセクレタリに見られるような、多機能・省スペース・高収納力は、
200年を超えた今なお生き続けている、時代を超えた商品性です。
これ以上すごいことってありますか?
・・よもやま話が長くなりすみません。
とにかく、二度と生まれることはない、英国伝統・ジョージアン生粋のマホガニーセクレタリ・チェストです。
200年以上前、現代も含めたすべての世界最高の家具技術がこちらの家具に凝縮されている、
といっても過言ではないでしょう。
そして、その家具を、デニムが1か月以上の時間をかけて、200年の時の針を巻き戻させていただきました。
往年の姿が再現されていると思います。
骨董家具としては、この上もない最高の逸品と思います。
きっと一生そばにおいて、たまにワックスをかけながら、生涯のパートナーとして愛でていただけるはず。
デニムがお勧めできない理由は本当にどこにもありませんね・・。
(Buyer/YM)
価格(税込):
374,000
円
参考市場価格:
357,000
円
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LOCKON CO.,LTD.