ヴィクトリアン バールウォルナット ハンギングキャビネット

大変貴重なアンティークが入荷いたしました!
イギリス19世紀中期に製作された、“バール・ウォルナット”のハンギングキャビネットです。
アンティークに詳しい方ならご存知の高級骨董、ライティングスロープ。
アンティークコレクションとしてはあまりにも有名です。
ノートやペン、インクつぼなどの筆記用具がきちんと整理され、無駄なく収納、
蓋を開けば、傾斜のついたレザートップのデスクトップが広がる。
場合によっては、シークレットボックスなどの隠し収納機能などもついている。
そんな英国貴族のためのインテリジェンスな「道具箱」。
それがライティングスロープと呼ばれる英国独特のステーショナリーケースです。
そして、こちらはそんなライティングスロープを、壁掛け型にコンバートしたお品。
あるいはデスクトップに据え置くための縦型なのかもしれません。
平置き型のライティングスロープは移動させるのに便利なパッケージングでしたが、
普段、身近に置いておくには少々場所をとって邪魔な存在。
そこで考案されたのがこの縦型ハンギングキャビネットだったのでしょう。
さて、そもそもライティングスロープは、当時の庶民には縁遠い、とても高価なアイテム。
しかし、21世紀の現代では、当時とは違った意味で大変価値のある高級骨董となっています。
どこが? といえば、言わずもがな、の素材品質。
アンティークの時代にしか見ることのできない、無垢のマホガニーにバールウォルナットの化粧張りを施した、
スーパー・ハイブリッドの高級スロープ、というのが、価値ある理由です。
さらにこちらの内部には、ローズウッドと思われる小物入れまで備えられています。
アンティーク上級者の方ならご存知かと思いますが、
イギリスの家具史においては、その時代のトレンドとして用いられた素材によって、
家具の時代が括られることがあります。
古くはオーク家具が中心だった「オークの時代」、
寄せ木細工(インレイ)で装飾する家具の流行した「ウォルナットの時代」、
そして、帝国主義の時代に入り、アメリカ大陸(中米)から多くのマホガニーが輸入され、
家具に取り入れられるようになった「マホガニーの時代」。
今でもオークやマホガニー、ウォルナットは家具材として使われてはおりますが、
当時の植民地から送られてきたオークやマホガニー、ウォルナットは全くの別物なのですよ。
だからアンティークのコレクターたちは、素材にこだわって探し回っているのです。
アンティークのイングランドオークと現代のロシア産オーク。
アンティークのサーカシアウォルナットと現代のアメリカンウォルナット。
アンティークのキューバンマホガニーと現代のホンジュラスマホガニー。
そしてアンティークのブラジリアンローズウッドと現代のインディアンローズウッド。
植物学的には同じものなのでしょう。
でも、詳しい専門家の材木屋さんに聞くと、必ずこう答えられます。
「それらは同じもの。でも違う。」
かつての植民地時代。
伐採し放題だった家具材は、質の良いものからどんどん刈り取られて行きました。
貴重な銘木級の家具材はそうそうに枯渇してしまい、
その代用品として使われているのが、現代のロシア産オーク、ホンジュラスマホガニーetc.なのです。
いかにアンティーク時代の素材品質が高かったか。
こうした歴史を紐解いていくとよくわかります。
こちらのハンギングキャビネットについていえば、まずその外装。
バール杢はバール杢でも、ベースのウォルナット材のきめの細かさが違う。
扉を開ければ、内装はマホガニー材の内壁で彩られていますが、
そのマホガニーリボン杢は、明らかにジャマイカ産やキューバ産のマホガニー。
いわゆる”スパニッシュ・マホガニー”と総称される銘木で構成されています。
さらにはバレル型の小物入れが設置されていますが、これも稀代の銘木、
もはや説明不要かと思いますが、高価なバイオリンなどに使われる最高級材、”ブラジリアン・ローズウッド”。
こんな銘木ばかりのギャラリーをもつキャビネット、筆者も今まで見たことがありません。
よほど「高級」であることにこだわったギャラリーケースだったのでしょう。
ウォルナットの「バール杢」、マホガニーの「リボン杢」、ローズウッドの「縞杢」。
これらを一堂にみられるキャビネットは、このキャビネット以外見ることは不可能でしょう。
大変貴重な逸品と思います。
さて、素材の説明が長くなってしまいましたが、こちらのハンギングキャビネット、
長方形のオーソドックスなフォルムですが、家具としてもバランスの取れたデザインです。
トップにはトレイとしても使うことのできるギャラリースペースがあり、
その天板は収納スペースの天蓋も兼ねています。
パーソナルボックスであることを示すロックを開錠すると、
金彩の縁取りをされたブラックレザーのライティングボードが広がり、この状態で執務が可能です。
内部の壁面はスパニッシュマホガニーのリボン杢で彩られていて、
両サイドは収納スペース、仕切りをご用意すれば2段の棚にしてお使いいただけます。
中央にはレターラックと小物入れ。
小物入れの引き出し内部には、インクツボとペンを収納できるスペースがあります。
二重にロックできる構造はなかなか見かけない仕様で、
かなり身分の高い富裕層の方が使っていたことが想像されます。
また、向かって左側にはローズウッド製の「樽型」小物入れが設けられていて、
キャビネットの底面にビスで固定されています。
もちろんビスを外せば樽ごと外せますが、中で転がってしまいますので
このまま固定しておいた方がよいのでしょう。
蓋はスクリューキャップですので、回して開け閉めします。
スクリューキャップということは、何か細かいもの、
お茶やたばこの葉とかを入れてあったのではないでしょうか?
以上、年代を感じさせる小物や演出が随所に見受けられるのが魅力的です。
インテリアとして十分な美しさと存在感を持つアンティークでありながら、
実用にも耐えられるだけのコンディションも今なお維持しています。
以上、世界に二つとない、現代ではまず復刻不可能な、「奇跡」のようなキャビネット。
まさにコレクタブルズ(収集目的のアンティーク)の逸品です。
ぜひアンティーク上級者の方へ・・。
(Buyer/YM)
価格(税込):
121,000
円
参考市場価格:
115,500
円
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LOCKON CO.,LTD.