アーリーヴィクトリアン キューバンマホガニー 1ドロワー ワットノット

イギリス・19世紀前半に製作されたスーパーアンティーク、ワットノット(飾り棚)です。
空間の隅にも省スペースで設置できる、スレンダーなトール型ワットノットになります。
英国アンティークの”ワットノット”といえば高級アンティークの代名詞。
マホガニーやローズウッドなど、銘木級の高級材で構成され、
華奢な躯体にツイストやボビン、バラスターデザインの支柱が良く映えるインテリア性の高いオープン型のラックです。
”ワットノット”は、19世紀ヴィクトリアンの時代に富裕層の間で流行、
その当時の素敵なデザインのワットノットが、今ではヨーロッパの骨董ファンたちの間で、
とても人気のあるコレクティングファニチャー(収集目的の家具)となっています。
こちらのワットノットは、そんな当時のリアルタイムなヴィクトリアン・コレクション。
20世紀に入って復刻したリプロダクションではありません。
そもそも、「飾り棚」などという家具自体、実は家具の歴史からするとごく最近に登場した家具。
一般家庭にまで普及したのは、おそらく20世紀以降のことです。
耽美的な貴族家具として生まれたヴィクトリアン・ワットノットですから、
もともと一般的に機能性よりも装飾性が重視されていました。
でも、装飾性だけではなく、年々機能性も求められるようになり、
今では、現代の私たちの生活に自然に溶け込んでいる、”オープン・ラック”に変化していったものと思います。
オープンラックとは、実は、「収納」「分別」「出庫」が非常に簡単にできる機能を備えていながら、
収納物をディスプレイして「魅せる」、という新しい概念まで生み出した最も現代的な家具なのです。
今では空間演出には欠かせない高機能家具であり、そのルーツは歴史的に見て、
デニムではイギリス家具のワットノットにみることができる、と考えています。
まあそうはいっても、アジアでは李朝家具のように古くから飾り棚が存在していたようですし、
一概に世界中の飾り棚のルーツがワットノットにある、などというつもりはありませんが、
少なくとも、イギリスの生活文化の歴史に中で、飾り棚が自然に生まれてきたのは確かなこと、と思います。
筆者が知る限り、17世紀以前の家具には、大きさの大小はあれ、
全ての家具は、「人が使う」、というチェアやテーブル、ベッドなどの脚もの家具、か
あるいは「物をしまう」というキャビネット、チェストなどの函もの家具、のいずれかに分類され、
それ以外の機能を持った家具というのはなかったように思います。
そこに18世紀中盤、新しい概念を持つ家具が生まれました。
それは、”サービングテーブル”。
今では当たり前の、食べ物を並べるラック式のテーブルですが、家具の歴史を紐解いていくと、
このテーブルの登場から家具のステージが変わっていったように思えます。
つまり、それまでの「使う」「しまう」から、「魅せる」のも家具の役割だ、と。
食べ物を並べて魅せる、そのサービングテーブルは、のちに、
”ダム・ウェイターDumb waiter”(物言わぬ使用人)と呼ばれるようになり、
貴族がその使用人に使わせるテーブルとして広く普及していきます。
そして、ダムウェイターが生まれてほどなく、18世紀末、
今度は、食べ物ではなく、日用品やコレクションなどを並べて魅せる「飾り棚」、ワットノットが登場します。
魅せる機能に気が付いた家具デザイナーたちが、複数棚式のテーブルから複数棚式のオープンキャビネットへ、
すなわち飾り棚に気がついて作り始めたのも、ごく自然なことだったと思います。
さらに同時期、そのダムウェイターとワットノットの両方の機能を持ち合わせた、
”エタジェールtagre”も登場します。
エタジェールとは、ほぼ完全な棚状になったサービングテーブルで、
ワットノットの食べ物版、といったイメージ。
フランス語から来た呼び名のようなので、フランスで普及した家具なのでしょう。
ちなみに、エタジェールよりも大型で、立食形式の食事などで使われるフードラックは、
”バッフェbuffet”と呼ばれ、日本でもおなじみ「ビュッフェ(バイキング形式の食事)」の語源で、
もともとの意味はやはり、「飾り棚」でした。
話が長くなってしまいましたが、こちらのヴィクトリアン・ワットノットは、
要するに、家具史の流れの中で必然的に生み出された、リアルタイムな当時もの、ということです。
そして、このエポックメイキングなプロポーションを支えているのは
100年以上の時を経ても、今だ狂いを全く見せない素材、
スーパークオリティのソリッドマホガニー(総無垢)、それもイギリス・ディーラーからの情報では、
「家具の宝石」、”キューバン”マホガニーとのことです。
もはや入手することのできない、中米原産の銘木、幻のマホガニー材です。
一級のデザインを持ちながらも、決して主張しすぎないそのエクステリアは、
キューバン・マホガニーの杢を一層際立たせています。
さぞ、並べるコレクションアイテムも引き立って見えることでしょう。
ぜひ、上級者の方のコレクティングファニチャーとして。
デニムがお勧めできない理由はどこにもありません・・。
(Buyer/YM)
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参考市場価格:
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LOCKON CO.,LTD.