チェスターフィールド グリーンレザー ジョージアンスタイル ポーターズチェア

今から20年ほど前、イギリスで製作された“チェスターフィールド”のラウンジチェアになります。
トップに大きなドーム状の「天蓋」(キャノピー)がついた特徴的なデザイン。
こちらのラウンジチェアは、一般的に ”フードチェア” と呼ばれておりますが、
イギリスではその生まれたときの使用用途から、 ”ポーターズチェア” とも呼ばれています。
フードチェアが誕生したのは、イギリス・ショージアン期(1714〜1830)にまでさかのぼります。
一説では、15〜16世紀ごろにはその原型となる椅子ができていたようですが、
いずれにしても、本来は当時のイギリス貴族の使用人(ホールポーター)のための椅子、
として作られたのが始まりでした。
”ポーターズチェア” の名前の由来はここからきているわけですね。
ホールポーター(玄関ホールの警備員や荷物の運搬係)が、ゲートキーパー(門番)として、
シャトー(王族や貴族のお屋敷)への入場を許可する、なんてシーンを、映画などで見たことありますよね。
そんなシーンの中で作られるようになった椅子、ということです。
確かに、現代の警備員さんをみても想像できますが、冬場は想像するだけでも寒そう。
特にヨーロッパの冬は日本の比ではありませんからね。
そんなホールポーターたちに少しでも「暖」をとってもらおうと考案されたのが、
こちらのフードチェアだったようです。
身分の高い貴族たちの邸宅の玄関先に配置される椅子ですから、
使用人のための椅子とはいえ、その外観はそれはそれは豪華なもの。
ホールポーターたちのためにもなりますし、その邸宅のエクステリアの一部としても、
ひとクラス、ランクアップしますし、一石二鳥ということだったのでしょう、
理にかなった事情で、”ポーターズチェア” はジョージアン期に大変流行したそうです。
その後フランスに渡り、ルイ16世Louis XVI(1754-1793)の時代に、
フランス貴族たちの間でも、この ”ポーターズチェア” はとても評判となり、やはり大流行。
イギリスではジョージアン様式の ”ポーターズチェア” デザインでしたが、
フランスではルイ16世様式風にアレンジされ、フランス版フードチェアとして、
イギリス以上に ”ポーターズチェア” が普及することになりました。
ちなみにフランスの現代家具においては、いまでも商用空間などで
この ”ポーターズチェア” のデザインは活用されていて、とてもロマンチックな、
フランスらしいデザインのインテリアコーディネートに生かされています。
そのように、イギリス以上に定着した ”ポーターズチェア” ですが、
こちらの個体は、本家本元、ジョージアンスタイルの元祖 ”ポーターズチェア” 。
レザー張りで深いボタン留めの「椅子張り」仕様は、ジョージアン期の教養人である、
英国紳士“フィリップ・チェスターフィールドPhilip Chesterfiveld”伯爵に由来し、
“チェスターフィールド” とも呼ばれています。
つまり、こちらのフードチェアは、
ジョージアン期デザインの “チェスターフィールド” 仕様のオリジナル ”ポーターズチェア” 、
ということ。
ちょっとややこしいですかね。
ちなみに、チェスターフィールド伯爵の好んだアイテム “チェスターフィールド ”の ”ウィングバックチェア” は、
彼が愛用した革張り・ボタン留めの「安楽椅子」のこと。
包み込まれるような、耳付きのハイバックラウンジチェアのデザインは、
実は、この ”ポーターズチェア” からインスパイアされて作られた、といわれているそうです。
フランスのフードチェアも、イギリスのウィングバックチェアも、
もともとはこの ”ポーターズチェア” をマザーモデルとしていたわけですね。
なんだか、歴史の流れが感じられて感慨深い。
フードチェアやウィングバックチェアは、ひとかどの人物だけが座ることのできた「指定席」。
一方で、マザーモデルの ”ポーターズチェア” については、
危険を伴う仕事に勇敢に取り組む「兵士」たちの「定位置」だった、と。
・・高いキャノピーに囲まれながら、そんな創造の歴史を思い描いてみてください。
尚、 “チェスターフィールド” の中でも ”ポーターズチェア” は特別な椅子。
老舗の英国 “チェスターフィールド” 工房でも ”ポーターズチェア” のモデルを
ラインアップに加えているマニュファクチャーは、ほとんどありません。
ラインアップされていても、受注生産であることがほとんどですので、
生産数としては極小、まず一般のマーケットで入手することは困難と思います。
今ではポーターたちのための椅子ではなくなってしまいましたが、
当時も今も、 ”ポーターズチェア” はまぎれもないハイクラス・ファニチャー。
おそらくこの機会を逃したら、入手できる可能性は、
その後の人生で1度あるかどうか、というところでしょう。
ぜひ、私用に商用に、ご検討いただければ幸いです。
(Buyer/YM)
価格(税込):
572,000
円
参考市場価格:
715,000
円
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LOCKON CO.,LTD.