John Harrison エルム & オーク ウィンザーダブルボウバックチェア

20世紀後半の1980年代、イギリスで製作された、
ウィンザースタイルのハイバックアームチェアです。
アンティークファンの方ならご周知の”プレミアムチェア”ですね。
英国アンティークの中では昔から常に高値で取引されてきた
コレクティングファニチャー(収集目的の高級骨董)の代表格、ダブルボウバックウィンザーです。
こちらは作られたのが1984年10月、と、まだ40年ほどのヴィンテージクラス。
19世紀カントリースタイルの復刻家具(リプロダクション)、ということになります。
リプロといえば、普通はカタチだけ似せて作られた家具を指しますが、
こちらは19世紀当時と同じ手作業による工法、当時と同じ素材を使用して作られ、
ほぼヴィクトリアン以前のアンティーク、といっても良いほどに、忠実に再現されている点で特徴的です。
ところで、19世紀ヴィクトリアン以前のウィンザーチェアにおいて、人気のあるチェアといえば、
現代では入手困難な材料、エルムElm(ニレ)材を座面に使用したモデルが筆頭格。
エルムは硬く目が詰んでいて木目が美しく、使われるほどに人肌になじんできます。
ローズウッドのカントリー版、的なイメージですので、人気があるのもしかり。
また、ボウバック(背もたれの笠木)の曲げ木に使われている材料は、
オーク材やイチイ(ユーウッド)材の使われた個体に人気があります。
エルム、オーク、イチイ、といった材料はいずれも、現在では高価、かつ入手困難で、
しかも加工や品質維持が難しい点から、現在では一般的に使われることのない材料ですから、
アンティークチェアの中でも特に人気が高いのもうなずけますね。
現代家具では、よほどの高級家具でなければ安価で量産に適したビーチ(ブナ)材、
あるいはバーチやラバーウッドが使われていることでしょう。
ですが、商業主義的な考えを捨てて、本当に使う人にふさわしいウィンザーチェアのシート、
ループバックの材料は何か、と考えた時には、やはり割れなどを起こさず、粘りがあって、
長期間弾力を保ち続けることができる材料、が良いのは自明ですね。
つまり、「べき」論からすれば、本来はエルム座面にユーウッドやオークの背当てが、
ウィンザーチェアには最も適した材料なのです。
ですが、エルムもオーク、ユーも、大量に入手することは困難で、品質も安定せず、
製造も容易ではありません。
量産を目的とした商業的な家具材としては、これらの材料は全く不向きなのです。
しかしながら、厳選された材で作ることのできる1点物ならば、話は違います。
エルム&オーク/ユー以外に勝るものはありません。
イギリスの伝統的なクラフトマンシップを継承している工房であれば、
復刻家具といえども、その家具の本質的な面を無視することはできないことでしょう。
実際、本格的なリプロダクションの製造で知られる、 ”ティッチマーシュ&グッドウィンTitchmarsh and Goodwin” 、
あるいは 今ではもう廃業してしまったかもしれませんが、”シッティングファームSitting Firm”社などは、
まさにそのような素材、製法には徹底的にこだわっています。
こちらのチェアメーカーは、そうした英国の伝統を受け継いだ家具工房の一つ。
イングランド北部の古い街、グレート・エイトンGreat Aytonにある、
”ジョン・ハリソンJohn Harrison Interiors” にて製作されました。
座面の裏には工房の「銘」と、製作日1984年10月の刻印があります。
ジョン・ハリソンの工房については多くの情報は得られませんでしたが、
そのような情報がなくとも、どのようなレベルのマニュファクチャーかは、
このウィンザーチェアを見れば一目瞭然。
ここまで「本物」のウィンザーチェアを作ことのできる工房であれば、
その受け継がれてきた伝統技術も、クラフトマンシップも、超・一流であることに疑いはありません。
長年、良質なウィンザーチェアを見てきた筆者でも、これほどのリプロを見た記憶はないほど。
アンティーク品質以上のクオリティです。
ヴィンテージチェアとして、コンディションの点でいっても、
まだ若いヴィンテージクラスだけあってこちらのチェアはほぼパーフェクト。
19世紀クラスの古いウィンザーに良く指摘されますが、脚先が削れて短くなっていたり
アームレストにダメージがあったりすることもありません。
デザインについては、ポピュラーな「二段」タイプのボウバック・ウィンザースタイル。
19世紀以来続くデザインを忠実に再現したからこそ、長い経験に基づいた座り居心地の良さがそこにあります。
硬い座面もお尻にフィットし、長時間座っても傷みを感じない”サドル・シート”、
極めて人間の着座姿勢に対し、的確な角度と位置に配置された”ダブルボウ”、
立ったり座ったりがしやすい、短くとがったオープンアームレスト、
座り心地の安心感に直結する、芸術性と強度を兼ね備えた”クリノリン・ストレッチャー”(脚をつなぐ補強材)・・。
まったく、お勧めできない理由はどこにもありません。
これから200年はお付き合いできるチェアであることは、デニムが断言させていただきます。
ぜひ次代へ引き継いでいただきたい、一生もののパートナー、
そして“コレクタブル・アンティーク(収集目的の骨董品)”です・・。
(Buyer/YM)
価格(税込):
148,500
円
参考市場価格:
141,750
円
[9]かごを見る
[0]TOPページへ
LOCKON CO.,LTD.