ヴェルニ・マルタンVernis Martin スタイル トップクオリティ ディスプレイキャビネット


今から半世紀年ほど前、20世紀中盤のイギリスで製作された、
ナロースタイルの高級グラスキャビネットです。

いわゆる”ヴェルニ・マルタンVernis Martin”と呼ばれるフランスの装飾技法を用いて作られた、
貴重なアンティーク家具になります。

残念ながら、どちらのマニュファクチャーで製作されたものかはわかりませんが、
かなりの高級家具と思います。

これほどの繊細な躯体ながら、1世紀近くを経た現代まで、目立った歪みや変形を見せない、
精度の高い設計と製作技術。
おそらくは貴族家具を専門に製作していた、名工のオーダー家具だったと想像しています。

フレーム素材は、色艶の美しい良質なソリッド・マホガニー。

家具の最高級材ですから、端正な躯体が維持されているのも当然といえば当然ですが、
ご覧の通り、装飾的にはほぼ躯体全面に天然杢の化粧張りが施されています。

化粧張りの素材は、銘木 ”キングウッド”。
宮廷家具のみしか使われない希少材ですので、めったに見ることのない高級材になります。

ストレートな杢を左右対称に、シンメトリーにベニヤリングすることで、
高級感と上質感を両立させています。
見事なデコレーションです。

赤みのある風合いが、べース材のマホガニーと馴染みよく調和しています。

銘木キングウッドとマホガニーフレームの最高級ハイブリッド仕様。
時代を経たことで、その艶、輝きはさらに増しています。

フォルムは”シェラトン”様式風のナロースタイル。
トップの形状がジョージアン期のティーキャディのような形状をしていて、
18世紀ごろの家具デザインをベースデザインとしていることがわかります。

こちらの装飾技法、”ヴェルニ・マルタンVernis Martin”が貴族たちの間に普及したのも、
丁度そのころ、18世紀。

当時の伝統家具を忠実に再現したリプロダクション(復刻家具)ということですね。
絶対に、現代の合理化された量産家具メーカーでは製作できない、手のかかった「芸術品」といえます。

そもそも”ヴェルニ・マルタンVernis Martin”自体が、芸術といって良いような装飾技法ですから、ね。

”ヴェルニ・マルタンVernis Martin”とは、クラシカルな油彩画とオルモル(金装飾)で飾った家具、
あるいはその装飾技法のこと。

流行したのは18世紀のフランス・ロココの時代、
ポンパドゥール侯爵夫人、そしてマリー・アントワネットへと続く、華やかな「宮廷女性」の趣味が
ヨーロッパ一帯に普及していた時代、その技法は確立されました。

もともとは、”ジャパニング” とも呼ばれる日本の漆器の「蒔絵」を模した装飾から始まったそうですよ。
つまり”ヴェルニ・マルタンVernis Martin”は日本発祥だった、ともいえますね。

日本の「蒔絵」、すなわち漆器の上に「漆」で絵や文様、文字などを描き、
それが乾かないうちに金や銀などの金属粉を「蒔く」ことで器面に定着させる、という描写の技法なのですが、
それをいたく気に入っていたのがポンパドゥール侯爵夫人。

しかしヨーロッパでは「漆」が栽培できないために、家具に「蒔絵」をすることができず、
代替で考案された技法が、”ヴェルニ・マルタンVernis Martin”というニス塗装。

当初は、まさに蒔絵のように金彩の画を装飾したものだったようですが、
その内に絵画のように、色鮮やかで繊細な絵付けすることが人気になっていきました。

今では”ヴェルニ・マルタンVernis Martin”というと、油彩画とオルモル装飾が、
家具に別体で取り付けられている、イタリア家具のようなイメージですが、
本来は漆器のように、直接ペイント、あるいは金彩されたオリエンタルイメージの装飾だったわけです。

まあ、いずれにしても時間もコストもかかる作業ですので、今のご時世で、
”ヴェルニ・マルタンVernis Martin”の家具製作に本格的に取り組もう、
などと本気で考える現代の家具メーカーはまずないでしょう。

あったとしても、似たような装飾部品を取り付けて、カタチだけ似せたもの、なのが関の山。

実際、本格的な”ヴェルニ・マルタンVernis Martin”のリプロダクション(復刻家具)は、
1970年代以降に作られた家具では、ほとんど見かけることはありません。
おそらく今では世界的に、ほぼ作られることがなくなってしまったのではないかと思います。

その意味では、この家具こそ、本格的な”ヴェルニ・マルタンVernis Martin”の家具としては、
最終に近いモデル、といっても良いかもしれません。

その意味では、大変貴重なヴィンテージ家具と思います。

そんな家具ですから、前オーナーも大事にお使いになられていたのでしょう、
小傷程度の使用感で、目立ったダメージもなく、木肌には良く磨きこまれた自然な艶があります。
コンディション的にも生活骨董としては一級品と思います。

デザイン的には、シェラトンスタイルらしく繊細で直線基調、
品格にあふれ、不必要な装飾を廃することで、現代家具とも馴染みやすい、
近代的なクラシカルスタイルを実現しています。

きっと前オーナーもお気に入りの家具として日々愛でていたことでしょう。

今では失われた技術が残されている、歴史上の生き証人のような高級家具。
ぜひアンティーク上級者の方に、その文化の”ヒストリー”をつないでいっていただければ幸いです。

デニムがお勧めできない理由はどこにもありません・・。

(Buyer/AY)



価格(税込): 231,000 円
参考市場価格: 220,500 円
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