ヴィクトリアン キューバンマホガニー メタモルフィック カービングステップチェア

今から何と!1世紀半前!!
19世紀後半、“レイト・ヴィクトリアン”のイギリスで製作された、
フォールディングステップ(折りたたみ式はしご)チェアです。
幻のアンティーク、”ステップチェア”。
・・デニムにおいても、これまでに2、3点しか入荷したことのない、
とても珍しい英国アンティーク・コレクション。
19世紀半ばから20世紀前半の実用骨董として、稀に発見されることのあるアイテムです。
大体のステップチェアは、座面を支点として、椅子の状態から背もたれが
前へ大きくお辞儀するように2つ折りされる構造。
2つ折りされた状態では、2〜3段の踏み段のついた脚立へとメタモルフォーゼ(変身)する、
という、文字通り、ステップ&チェアの機能を持つ、当時のアイデア家具になります。
アイデア家具、などというと、ちょっとキワモノ的な印象を持ってしまうかもしれませんが、
結構、椅子にしても、脚立にしても、どちらも普通にしっかりと使えるスグレもので、
どっちつかずの中途半端な使えない家具ではありません。
これはあくまで個人的な憶測ですが、最初は図書館や公営の資料館など、
天井いっぱいまで書棚のある高い室内空間で使用するために考案されたのではないかと思います。
高い棚位置にある書籍を手にとるには脚立や踏み台が必要になりますが、
例えばちょっと資料を手に取って、少し深く読み込みたいなと思えば、その場で腰を下ろしたくなるもの。
脚立そのものを椅子代わりにしても良いですが、当時の図書館へ行くような紳士淑女であれば、
きちっとした身なりをしていたでしょうから、土足で登った踏み台に腰掛けるのは、
ちょっと気が引けるし、なんて、考えたんだろうと思います。
かといって、椅子を踏み台代わりに置いておいても、座面に土足で登るのは気が引けるし、
何よりも座面の高さ分までしか、手が伸びない。
まあ、脚立と椅子を2つ置いておけば済む話ではありますが、
狭い場所には1台置けば済むように、進取のクラフトマンが知恵を絞って
このようなひっくり返しの一人二役構造を考案したんじゃないかな、・・なんて、妄想しています。
でも筆者的には、このステップチェアには大きな謎が一つ。
それは、デザイン的にはいろいろありますが、ステップチェアは構造がみな似たり寄ったり、
というか、ステップチェアの構造は基本一つしかないこと。
おそらく200年は前に誕生していたであろう、このメタモルフォーゼ構造。
他の家具の例からすれば、いろいろな構造のバリエーションが考えられていてもおかしくなかったはずです。
筆者がたまたまこの構造のステップチェアしか見る機会がなかった、といえばそれまでですが、
それにしても、文献などで見ても、この構造しか見ることがないんですよね。
しかも、今でも中華製などでこのステップチェアのコピー品が販売されているのですが、
それさえもやはり同じ構造をしています。
まあ、現代品はさておき、当時の先端かつ基幹産業でもあった家具業界で、
膨大な数の職人がいたにもかかわらず全く誰一人、別の構造を考えなかったなんて、
ちょっと信じられないですね、とっても不思議。
この構造に至るまでの過渡期的なアイテムがあっても良さそうですし、構造変更をしたアイテムすらない、
ってことは、最初から完成されたこの構造で出来上がっていた?ということになりますね。
もしそうなら、たった一人の人物によって、この構造が開発されたということ?
・・よく考えると、これって驚くべきことではないでしょうか。
イギリスの名もなきクラフトマンが、200年以上にも渡って変わることのない、
唯一無二の構造を持つ機能家具を考案した、と?
もしかすると、イギリス国内の古い郷土館などに、その人の名が残されているのかもしれませんが、
一般的な家具業界には、「誰が考案した」などという言い伝えはありません。
・・う〜ん、これって、まさに「無銘の名作椅子」ですね。
ちょっと与太話が長くなってしまいましたが、
まさに格式ある英国の公的な図書館の室内に置かれている姿がぴったりの、
こちらのステップチェア。
何がすごいって、椅子の姿はどう見ても英国式のホールチェアにしか見えない、
脚立の姿も、普通の木製の脚立にしか見えない。
でも、それぞれが、それぞれの役目をきっちりとこなしています。
これほど構造設計とデザインが見事に調和している椅子を、筆者はかつて見たことがありません。
そんな機能性家具でありながら、なんと、素材はかの銘木、”キューバン・マホガニー”。
キューバン・マホガニーといえば、博物館にあるような、
古いバイオリンなどの弦楽器にも使用されていた逸材。
現代最高の家具材、ともいわれるホンジュラス・マホガニーが普通材だった時代に、
最高と称えられた銘木が、贅沢にも総無垢で使用されています。
背もたれの彫刻も見てください。
これ、モールドの張り込みではありませんよ。
きっちりと、無垢板の削り出しです。
そして、座面の無垢板は、華やかな赤みが美しい、マホガニーのリボン杢。
はしご段の板、1段1段にさえ、その稀代の杢は彩られています。
一体、誰が製作し、どんな場所で使われていたのか、
・・想像しているだけでお酒の肴になってしまいそうですね。
こんな魅惑的な椅子(いえ、はしご?)、長く椅子を見続けてきた筆者でも、
おそらく生涯記憶に残る椅子(はしご?)の一つになろうかと思います。
幸いなことに、そのチェアメーカーについては、メーカープレートにより、確認することができています。
ノートンNorton & Co., LTD.(LATE MARRIS & NORTON)。
1875〜1889年、イギリスのバーミンガムにあった名門の家具工房です。
ネットなどで調べて見たところ、教会や公営施設など、主に上級の場所で使われる家具を得意としていたようで、
現存しているノートンの家具は、世界的なオークションハウス、”クリスティーズ” でも
かなりの高値で落札実績がありました。
アンティークの高級ブランド家具といえるクラスでしょう。
もしかすると、このノートンこそが、このメタモルチェアを考案したのかも?
デザイン、マテリアル、クラフトマンシップ、ヒストリー、そしてプレミアム性、いずれの点においても、
ここまでパーフェクトなアンティークチェアは珍しい。
しかも、デニムの渾身を込めたメンテナンスにより、完璧なコンディション!
超一級の高級骨董とご案内させていただきます。
デニムがお勧めできない理由はどこにもありません・・。
(Buyer/YM)
価格(税込):
148,500
円
参考市場価格:
141,750
円
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LOCKON CO.,LTD.