ヴィクトリアン ピクチャートレイスタンド

かなりめずらしいお品が入荷しました!
19世紀末のイギリスで製作されたピクチャートレイ(絵画の描かれたお盆)付きのコーヒー(ティー)テーブルです。
21世紀の現代では、絶対にお目にかかれないテーブルですね・・。
この雰囲気、これが19世紀の「空気感」なのです。
・・などと、詳しくこのテーブルについて知ってるかのような言い回しですが、
実は筆者もほとんど情報が取れておりません。
英国からの情報では・・、
A late victorian enamel tray with a sea scape scene, Original condition.
というあっさりとしたもの。
現地のディーラーでもあまり情報をもっていませんでした。
でも!
デニムの「時代考証力」はこれだけの情報でも、このトレイスタンドの魅力を的確に割り出します!
まず魅力を導き出すポイントの一つは、このトレイが、レイトヴィクトリアン(19世紀後半)の
エナメル(ホーロー)製であるという事。
当時ヨーロッパに普及した技術に“リトグラフ”(版画)の印刷がありました。
この金属板に描かれている絵はおそらく版画で手書きのものではないようです。
といっても、近代のシルク印刷のような写真の再現性のないプリントではなく、
非常に細かい線が描写されていることから、リトグラフかどうかは不確実ですが、
ほぼ間違いなく19世紀の手刷りの印刷技術によるものと思われます。
また、お写真ではわかりにくいかもしれませんが、ただの金属板ではなく、
陶器のような「焼き物」(=ホーロー)の質感があります。
はがれている表皮の部分が、ガラス質の釉薬と思われます。
これらの点から、このトレイは現地情報通り、レイトヴィクトリアンのホーローであることに、
間違いはなさそうです。
ただ、ちょっと気になるのは、この絵柄。
この帆船がまさに19世紀の光景であることを示唆していますが、下部には、
“Der Leman - SEE”という文字が見えます。
レマン湖なのはすぐわかりますね。
左手に見えるのは、シヨン城(Chateau de Chillon)だと思います。
こちら→http://www.tripadvisor.com/ReviewPhotos-g188108-d246808-r26376524-Chateau_de_Chillon-Montreux_Vaud.html
のお写真はこの絵の景色と良く似ています。
でも、“Der Leman - SEE”とはドイツ語?
レマン湖はスイスとフランスの国境にありますので、ドイツ語でもおかしくはありませんが、
という事は、このトレイはリゾート地・レマン湖の、現地の民芸品だったのでは、という事が推測されます。
しかしながら、スタンドとなっている脚は、筆者の見る限り、
アッシュ系で製作された、メイドインイングランドです。
それもこのトレイ専用のようにぴったりサイズです。
ということはつまり、当時の英国人(スイスリゾートに行けるくらいの富裕層)が、観光土産に持ち帰り、
そのトレイを天板にしたティーテーブルを、行きつけの家具工房につくらせたものではないでしょうか?
スタンドはパーフェクトにシェイピングされた、“サーペンタイン(波型)”のフォルムと
“カブリオールレッグ”(猫脚)で構成されています。
そう、筆者が言わずとも、19世紀末のヴィクトリアン末期に流行したネオロココ、=“クイーンアン”スタイルの伝統様式が
忠実に再現されていることがわかります。
なんて、とりとめのない話を長々すみません!
果たして筆者の時代考証が合っているかどうか、う〜ん、筆者的には高確率だと思っていますが、
それよりもこれだけのことを想像させてくれる、まさに、このことが、
このテーブルの最大の魅力ではないでしょうか?
ささやかなティータイムをほんのりとすごしながら、
遠い過去の人たちの生きざまを思い描いてみてください・・。
本当にアンティークのファンの方にお勧めしたいテーブルです・・。
(Buyer/YM)
価格(税込):
48,300
円
参考市場価格:
48,300
円
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LOCKON CO.,LTD.