アーリーヴィクトリアン ティーアーン


今から170年前、19世紀前半、アーリーヴィクトリアン(ヴィクトリア期初期)のティーアーン(茶器)です。
かなり歴史的価値の高い骨董品です。

このティーアーンのつくられたのは、日本で言うと江戸末期のころ。

イギリスではその当時、これほどの精密機器(ある意味では、です)が世間一般に普及していた訳ですから、
蒸気船(黒船)を見て日本人が腰を抜かしたのもしかり、というものです。

その製造技術というか産業レベルにおいて、当時、はっきり言って
日本と英国では天と地ほどの開きがありました・・それはこの茶器が静かに証明していると思います。

と、つまり、そのくらい、メカニカルで良くできた骨董です。

デザインはヴィクトリアンらしい「花瓶」型。
デコラティブな装飾と、蛇口に象牙などをアクセントに据える構成は、
おそらく富裕層の所有物だったことが伺えます。

素材はピューター(亜鉛合金系?)と思われます。
胴周りにはある痕跡が残っていますが、そう、もともとはシルバープレート(銀メッキ)だったようです。

でもこの時代の銀メッキといえば・・知る人ぞ知る貴重品。

アンティーク上級者の方ならご存知かと思いますが、普通アンティークで銀メッキといえば、
“EPNS”(エレクトロプレートニッケルシルバー)の刻印で有名な「電気メッキ」。

でもこの技術、実は19世紀後半に開発されたものなのです。

他の商品でも紹介いたしましたが、電気メッキは19世紀後半、エルキントンElkington社がその特許技術を開発、独占し、
それ以降のシルバープレートはほぼ全てがEPNS、といっても過言ではない程に普及していきました。

でも、じゃあ、それ以前は?

それまでは、“フューズドプレート”と呼ばれる熱処理で、
銀の使用量も多く、生産性、再現性の低い銀メッキ技術が主流でした。

しかし、そのフューズドプレートも、”シェフィールド”というエリアで行われた銀メッキだけは別格。
シェフィールドのフューズドプレートだけはかなり長い間、
スターリングシルバー並みの価値をもつものと称賛されていたようです。

しかし時代は移り、エレクトロプレートという当時の最先端の技術が出現したことで、
フューズドプレートという産業技術は歴史から、むろんシェフィールドからもその名を消すことになりました。

・・というわけで、お写真でご覧いただける通り、こちらはその、かつての栄光、シェフィールド製シルバープレート。

残念ながら、銀メッキの痕跡は一部にしか残ってはいませんが、
私たち、アンティークフリークにはそれだけで十分。
大きな価値と思われませんか?

なんて、いつもながら長話になってしまいましたが、そんな、ちょっと人にうんちくを語りたくなる
アンティーク・コレクタブルズ(収集品)なんですよね、このアーン。

コレクションといっても実際に使用も可能なのですが、現代の品質基準では衛生面でちょっと心配があります。
内部にちょっと錆び浮きが出てますし。

でも、コツコツとさび取りを進めて、もし内側をきれいに磨き上げることができれば、
いつか「19世紀のお茶」をたてることも夢ではありませんね。

そんなことを思い描いて手元に置いておきたくなる、かつての高級茶器なのでした・・。

(Buyer/YM)



価格(税込): 23,100 円
参考市場価格: 23,100 円
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