ヴィクトリアンソファ

19世紀末、イギリス・ヴィクトリア期の後期に製作されたハイクラスのソファです。
“リスペクタビリティrespectability”という語のもつ意味をご存知でしょうか。
そう、「世間的に認められた、立派な社会的地位」といったくらいの意味ですが、
当時のイギリスの社会観を描写するには最適の言葉です。
「・・・何のハナシ?」
でも、もうちょっとお付き合いください。
時はヴィクトリア女王が即位した19世紀半ば、
イギリスでは産業革命を経て空前の大好況期を迎えようとしていました。
特にヴィクトリア中期と呼ばれる1850〜1873年の間は、
「世界の工場」イギリスに世界各国より百万の富が流れ込み、イギリス経済は超ピークに。
当時の中産階級=産業ブルジョアジーは莫大な富を手にすることになりました。
すると当時の支配階級=地主貴族は、カネを手にして急に発言力を強めたブルジョアジーに対し、
おもしろいはずはありません。
「この成り上がりものが!」ってところだったでしょう。
カネがあれば偉いってわけじゃわけじゃないんだ!と。
今で言えば、近○球団買収で話題を呼んだライ○ドアのハナシみたいなものですかね?
さて、富を得て欲しいもの全てを手にしたブルジョアジー、足りないものは何?
それは・・・そう、“ジェントルマンシップ”でした。
例えば、聖職者や医者、弁護士といった職業を目指すこと、
例えば、良家のご子息と結婚すること、例えば格式の高い家に住むこと・・・。
つまり、金儲けよりも職業が重要だ、と言い出したんですね。
カネは私利私欲のために行動した一時の結果でしかない、が、
公職やその地位は、世のため社会のために働いた尊い結果だと。
そんな尊い職業を目指す精神、それが“ジェントルマンシップ”ということ・・・と
貴族階級は古くからの伝統的な社会規範をぶち上げ、ナリキンを真っ向否定したのです。
おもしろくないのはブルジョアジー。
そりゃあ、そうですね。
せっかくお金持ちになったのに。
カネを得た彼らがどうしても欲しかったもの・・・、
それこそが、“リスペクタビリティrespectability”でした。
世間に認められたい。
「格」が欲しい。
そんな想いをもつブルジョアジーたちの生活空間が「格式高い」ものであったことは想像に難くありません。
特に空間を演出するインテリアには高い関心があったと思います。
例えば、サロン(客間)には間違いなくこんな「威厳」を感じさせるソファがあって・・・。
(ここがオチです。)
長話にお付き合いいただきありがとうございます。
最後にもう一言。
現代でも「格式高い」ソファはもちろん存在します。
でもそれは、格のある「デザイン」ですよね。
言ってみれば「クリエイティビティ」です。
今から100年以上前につくられたこのソファの「格」、それはデザインではありません。
そのソファに座ることが許された「身分」や「地位」の記号です。
ブルジョアジーたちの切なる想い、“リスペクタビリティrespectability”が
具現化されたものなのです。
・・・なんだか訳のわからないことを言ってるやつだとお思いでしょうが、
要するに、「ホンモノ」は重みが違う、ってこと。
(おいおい、これだけ語っといてそれだけかよ!)
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