ベントウッドコムバックチェア


20世紀初めごろ、旧東欧エリアで製作され、イギリスに輸出された通称“トーネットチェア”です。

“トーネットチェア”といっても、メーカーは不明になります。
「何だよ、トーネットと違うの?」・・・なんておっしゃらないで下さい。

この時代にこれだけ質の高いベントウッドチェアをつくれるメーカーは数社しか存在しておりませんでしたので、
トーネット製ではなくても、ある意味ではトーネットよりもはるかに貴重な椅子なんですから・・・。(そう思うのは椅子マニアの私だけ?)
確かに曲げ木技術の元祖はトーネットですしアンティークの「曲げ木椅子」といえば圧倒的にトーネットのNO.14が有名です。でも実は、トーネット社以外にも当時、本家に勝るとも劣らないテクノロジーを持ったマニュファクチャーも存在していたのです。
例えば、フィスケルfischel社やヤコブ・ヨゼフ・コーンJacob
& Josef Kohn
社、
ムンダスmundus社などはそんな曲げ木椅子の歴史に名を残したメーカーでした。
“椅子好き”の方ならその価値はお分かりいただけることと思います。

ところで、トーネット社の曲げ木加工技術の特許が切れた19世紀末以降、待ってましたとばかりに無数の曲げ木メーカーが設立されますが、
それが原因でマーケットは過当競争時代を迎えることになります。
一般的に市場の原理は技術の優劣とは無関係に、企業力の強い者が弱者を淘汰し、あるいは吸収、合併していきます。
この業界も多分にもれず、
1914年にヤコブ・ヨゼフ・コーン社はムンダス社を吸収してコーン・ムンダスKohn & Mundus社となりますが、
さらに一歩先を行っていたトーネットtonet社すらもを1923年、吸収合併し、
コーンムンダスはついに、かの“トーネットブランド”までも手中に入れることができました。

それにしてもトーネットはその大きな企業力を持ちながら、なぜライバル社の軍門に下ってしまったのか・・。

どんな理由があったにせよ、経営陣にとっては自社ブランドを奪われることは
苦渋の選択だったに違いありません。

そんな、業界再編の波が押し寄せていた、歴史的転換点の1920〜30年代。

この椅子はそんな激動の時代に生まれた、「無銘のNo Brand」椅子になります・・。


(Buyer/YM)



価格(税込): 13,000 円
参考市場価格: 13,000 円
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