リージェンシースタイルチェア

むむむ、と唸らせられるような、大変素晴らしい椅子が入荷いたしました!
19世紀後半、“レイト・ヴィクトリアン”と呼ばれる「大英帝国」最盛期に製作された、
ナーシングチェア(座面高の低い椅子)になります。
ナーシングチェアとは、ご存じの通り、もともと赤ちゃんにミルクを上げるときなどに使う、
「介護椅子」のことを指していたようです。
後年はリラクゼーションのためのラウンジチェアとして使われていたようですが、
・・それにしてもこのフォルム、出来すぎではありませんか?
素晴らしすぎます。
こちらの椅子、商品名はその製作された時期をもって“ヴィクトリアン”と名付けておりますが、
かなりデザイン的には“リージェンシー”様式の影響が色濃く出ています。
リージェンシー様式とはヴィクトリアンのひと時代前、1812年からヴィクトリア女王が即位する1837年の間、
ジョージV世からジョージW世、そしてウィリアムW世へと続く治世下でつくられた家具デザインが
一般にそう呼ばれています。
リージェンシー様式は、フランスのエンパイヤ様式や古代ギリシャ、ローマの装飾を取り入れた擬古典的な様式になりますが、
実は、純粋な意味では、「古典様式」はリージェンシー様式、そしてそれに続くウィリアムW世様式で完結してしまうのです。
つまりヴィクトリアン様式以降は「近代様式」=現代家具のくくり、ということ。
なぜいかにも古典的なヴィクトリアンの家具が近代家具に含まれてしまうかと言いますと、
そう、ヴィクトリアンの時代には「産業革命」が進行したためです。
ヴィクトリアンの時代には機械技術が発達し、家具も工場で大量に生産されることが可能になりました。
産業革命は国力を充実させることには大きく寄与しましたが、皮肉にもそうして生み出されることになった家具は品質を低下させ、
新しい様式はもはや生み出されず、過去の様式の折衷と模倣を繰り返すだけとなってしまったのです・・。
でも、そうした環境が“アーツアンドクラフツ”と呼ばれる、デザインムーブメントをおこす背景となり、
その運動をきっかけに、アールヌーヴォー、そしてアールデコと、近代デザインが確立して行くことになるわけですから、
「痛みなくして成長なし」といった純一郎さんの名言は真理ですね。
話が横道にそれてしまいましたが、
まさにこのチェアは過去のリージェンシー様式を模倣したリアルタイムなヴィクトリアンの椅子になります。
でも、このチェアが本当に「品質の低かった」ヴィクトリアンの大量生産家具だったと思われますか?
筆者は決してそうは思いません。
いえ、間違いなく違います。
あたかも車高の低いスポーツカーのような、流線型ボディは
どこをどう見ても製作者独自の主張に満ち溢れています。
その素材、工法、仕上げの技術は明らかに特Aクラスです。
極めて一流、かつ独創的な匠の作品だと思います。
残念ながら、誰がデザインしどこで製作されたものかは情報がありません。
きっと高級階級の貴婦人のために、特注されたものだとは思いますが・・。
でも、専門家がどのような評価を下そうと、
筆者は胸を張ってお奨めさせていただきます!
このチェアこそ正真正銘、“無銘の名作椅子!”ですと。
・・ふうっ。
(Buyer/YM)
価格(税込):
44,850
円
参考市場価格:
44,850
円
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LOCKON CO.,LTD.