ベントウッドチェアNo91 クロスバックセティ

20世紀半ば、第二次大戦後の旧トーネットTHONET社製と思われる
ベントウッドチェアNo91の3人掛けセティ(長椅子)です。
大変希少なアンティークベントウッドです。
こちらはベントウッド収集家の方の下取り品として入荷しました。
ベースとなる1人掛けモデルは、19世紀末、トーネット商会により発売された、
”No91” クロスバックチェアと呼ばれるロングセラーモデルです。
現代でも旧トーネット(チェコ、ポーランド)でつくられ続けている人気商品です。
オリジナルデザインはトーネットですが、販売されていた当時、すでに人気が高かったのでしょう、
ヤコブ&ヨゼフ コーンJACOB & JOSEF KOHN(後にトーネットと合併)からも、
No645モデルとして、No19と同デザインが販売されています。
おそらくフィッシェルFISCHEL社などでもつくられていたことでしょう。
トーネットの販売開始が正確に何年かは不明ですが、1873年のポスターカタログには載っていなくて、
1904年のカタログにはすでにレギュラーモデルとして掲載されています。
つまり1880年〜90年代につくられた可能性が高いですね。
意外に古いモデルなのかもしれません。
しかし、サイドチェアから派生したワイドモデル、すなわちセティについては、
1920年ごろまでのトーネット社のカタログには掲載がありません。
第二次大戦(1939-1945)前の混乱期に新作として製造された可能性は低いので、
おそらくは戦後、会社を分断され、ポーランドに残された旧トーネット工場でつくられたものではないかと思います。
木と木をつなぐ、”フィンガージョイント” の形状から見ても、ポーランド製に近く、
また手編みのケインシートもポーランド製1970年代以前の仕様と思われます。
つまり、高い確率で1950年代から1960年代にポーランドでつくられたもの、と推測することができます。
ただし、こちらは前3本後ろ脚4本と、計7本もの脚が設置されていますが、
基本的にベントウッドセティは4本脚が中心。
とすれば、20世紀後半の復刻盤、という可能性も否定はできませんが・・。
いずれにしても、No91のベントウッドセティはアンティークの時代だけにつくられた「遺産」級のアイテム。
環境保護の観点からも、もはや2度と製造の期待はできない貴重品です。
これほどの長い1枚板のヨーロピアンビーチは、今ではまず安定供給はできないでしょう。
同じく、長いビーチ材を使用するロッキングチェアも、近年復刻モデルが登場しましたが、
その価格は3ケタに届いていたというほどです。
正直なところ、ベントウッドのイチファンとしては、手放したくない逸品です・・。
(Buyer/YM)
価格(税込):
97,200
円
参考市場価格:
94,500
円
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LOCKON CO.,LTD.