ヴィクトリアン モンクスベンチ

19世紀半ば〜後半、イギリス・ミッドヴィクトリアンに製作されたテーブル兼チェア兼チェストの1台3役、
英国伝統の多機能家具、“モンクス”ベンチです。
おぉっ。
いいですねー、これ。
アンティーク家具ってのは筆者的には「アイデアの宝庫」と思っておりますが、
まさにそれを地で行くような、ユーティリティー・ファニチャーです。
ね、だって、テーブルにもなって、ベンチにもなって、チェストにもなるなんて。
今、こんな家具、あります?
あまり広いとは言えない、平均的な日本の住宅事情、
なぜこんな一台三役家具が日本で生まれなかったのでしょうか?
まあ余談はさておき、モンクスベンチは、はるか昔に生活上の必要性から生まれた機能型家具ですが、
さすがにこの時代のモンクスベンチともなると、インテリアとしてのデザイン性もかなり考慮されていますね。
テーブルの天板にもなっているベンチの背もたれには、表も裏も、中央に格調あるレリーフが施され、
あたかもチルト式のサパーテーブルのように、空間のアクセントにもなっています。
また、本来テーブル天板を受けるためだけの台座部分も、チェアのアームとして美的に造形され、
バラスター(花瓶状)にするなど、装飾的に仕上げられています。
あたかもイギリス・バロック様式の芸術品みたいですね。すばらしいです。
それにしてもテーブルの天板を立てて背もたれにしてしまうとは、
何と合理的な発想でしょうか。
そもそも“モンクスベンチ”というものは、座の下の部分が櫃(チェスト)になっていて、そこに家財を入れ、
有事の際や修道院への入所等、その家具ひとつもてばすぐ移動が可能で、
さらに移動先での生活も即可能、という超・機能的な家具だった、と言われております。
そして時代が変わり、そのカタチだけが形式化されて受け継がれていき、
このような特殊なインテリアとして姿を変えて進化して行くことになったのでしょう。
でもおそらく、いずれは消え行く運命にある家具で、
その数がどんどん減少して行くことは間違いないと思います。
だって、世界の住宅事情はこれからきっと良くなるでしょうからね。
一つの家具にそんなに機能を持たせなくても、いくつか家具の置けるスペースぐらいは
きっと世の中の人、皆、持つことができるようになりますって、何も1台3役でなくても・・。
でもその一方、骨董品としての価値は、反比例してどんどん上昇していくかもしれません。
希少性が高くなりますからね。
特に、こんな状態の良い19世紀の家具となりますと。
・・筆者も今の内に「先物買い」しておこうかな。
(Buyer/YM)
価格(税込):
148,000
円
参考市場価格:
148,000
円
[9]かごを見る
[0]TOPページへ
LOCKON CO.,LTD.