オリジナルトーネットTHONET No.2 ベントウッドチェア


大変希少なアンティーク・ベントウッドチェアが入荷いたしました。

こちらは1870年前後に製作された、クラシック・トーネットThonetオリジナルのベントウッドチェア、
記念すべき量産第2作目のセカンドモデル、No.2になります。

まず普通ではお目にかかれない大変希少なアンティーク・ベントウッドチェアです・・。

製造はおそらく当時のトーネット社・オーストリア工場。

1860年代には、現在のチェコにあるビストリツッエ工場(現TON社)が開設されていましたので、
こちらもチェコで作られた可能性は否定できませんが、
時期的には、ビストリツッエ工場ではNo14の生産がメインだったはず。
ということは、旧来からのラインアップである、こちらのNo2などのクラシック・トーネットモデルについては、
従来通り、オーストリア工場で作っていたものと考えられます。

さて、こちらのNo2について解説させていただく前に、なぜこのようなびっくりするプライスがついているのか。
その点をご理解いただきたく、ベントウッドチェアの相場について、ちょっと触れさせていただきます。

そもそも「曲げ木椅子」は、“ミヒャエル・トーネット”によって19世紀半ばに開発されましたが、
21世紀の現在に至るまで、紆余曲折した非常に長い歴史があり、
その歴史性によって、その個体の相場が変動しています。

ではその「歴史性」とは?
アンティークファンの方でもその歴史について混乱されてらっしゃる方も多いので、
もう一度、”アンティーク・ベントウッドチェア”について「おさらい」をさせていただきたいと思います。

まず、ベントウッドチェアに限らずアンティーク全般に言える事ですが、
ベントウッドチェアも、「実用アンティーク」と「コレクション」の2種類に大別できます。

前者は中古家具に近い感覚で安価なもの、後者は実用性があるかどうかは別にして、
過去に残されていくべき歴史的な遺産と認められているもの、です。

それでは、実用アンティークとコレクションとの違いはどこにあるのでしょう。

それは、おおざっぱにいってしまえば、第1次大戦を境にして、それ以前がコレクション、
以降は実用アンティーク=ユーズドモデルとして理解されています。
(もちろん大戦以降でも価値のあるヴィンテージモデルは存在していますが、ここでは例外的なお話は省きます)

ではなぜ、第1次大戦を境に価値が変わってしまうのか。

それは、第1次大戦とともに、かつてのトーネット社が完全に解体してしまうからなのです。
ベントウッドチェアの歴史は、トーネット社なしには語れないもの。
つまりベントウッドチェアの歴史は、ここでいったん途絶えてしまうのです。

もちろん、第1次大戦後もベントウッドチェアは作られ続けていますし、
現在もトーネットブランドは受け継がれています。

しかし、現在のドイツ・トーネット社は、あくまで旧トーネット社が数社に分断されてしまった後の1社にすぎません。
チェコやポーランド、オーストリアやイタリアなど、各国にも名前は違えど、
複数のトーネット社が存在するようになってしまったため、
もはや「ベントウッドチェア」という一つのくくりではとらえられなくなってしまった、
と考えられているのが実際のところだと思います。

つまり、趣味性の高かった”ベントウッドチェア”という”ブランド”は、戦後、
どこにでも見られるごく一般的な業務用家具として、身近なものになってしまった、ということです。
ある意味ではこれは商業的には良いことだったのかもしれませんが、
骨董的にはプレミアム性は間違いなく失われたといってよいでしょう。

そのため、コレクターの趣味・志向が、戦前のモデルに偏ってしまったのも無理からぬことだと思います。

そして、コレクターが探し求める戦前モデルのベントウッドチェア。
これもトーネットが経てきた時代によって3タイプに分類されます。

その「時代」とは以下の3ステージです。(デニムの私見です。)

1) 曲げ木特許の取得以前
 1819〜1840年頃:ドイツ・ボッパルトの工房時代(ミヒャエル・トーネット商会)
 
2) 曲げ木特許の取得以降
 1842〜1855年頃:オーストリア・ウィーンの工房時代(ミヒャエル・トーネット商会)
 
3) ベントウッドチェアの発展期
 1857〜1920年頃:世界各地に工場を設立していった時代(トーネット兄弟社)
 
このトーネット社の時代ごとにアンティークベントウッドチェアの相場は大きく変わってきます。

尚、戦後のステージを含めれば、

4) ベントウッドチェアの定着期
 1922〜1940年頃:第一次大戦後、各国の工場が没収されていった時代(トーネット=ムンドス社)

として、4つの時代に分類できます。

1)〜2)は曲げ木技術が完成する以前、
3)〜4)は曲げ木技術が完成して、ベントウッドの量産が始まった時代、
と、2つに大別して理解していただいても結構です。

相場的にみると、4)はほぼ実用アンティーク、3)はコレクションと実用アンティークが混在、
2)はほぼすべてがトップクラスのコレクション、1)になるともはやプライベートコレクションと言うよりも、
博物館に展示される歴史的資料という意味性が強く、相場とはちょっとかけ離れてきます。

この中で3)のコレクションは比較的数が多いため相場の幅が広く、高価なものから安価なものまで存在しますが、
完全な量産体制に移る前の1900年代以前の個体については、その個体数の少なさから、
ほぼ2)と変わらないほどのプライスが付けられています。
つまり、3)の時代の初期のお品は2)と同様のトップコレクション、と見てよいでしょう。

また、トーネットの歴史の中では、その時代ごとにライバル企業が存在しています。
1)〜3)の時代では、それらのライバル企業抜きにはトーネットも語れません。
そのため、相場的にも、トーネットとライバル企業はほぼ同等、とみてよいと思います。

尚、過去にデニムサイトでご紹介した例では、
3)は、DC1005 ヨゼフ・ホフマンJOSEF HOFFMANベントウッドチェア No4カフェダウムCaf Daum
2)は、DC1000 トーネットTHONET No14プロトタイプ ジョセフネイガーJoseph Neygerモデル
がその時代のアイテムとして代表的なところです。

さて、お話は長くなってしまいましたが、こちらのNo2は3)の時代のトップコレクション。
フランス人コレクターが所有していたフランス・アンティークを、デニムが譲り受けたものになります。

No2は、創始者・ミヒャエル=トーネット自身がデザインし、
クラシックトーネットの時代(上記1〜3までの時代)だけにしか存在せず、
かつ、ライバル企業では作られることのなかった、トーネットオリジナルの大変貴重なモデルになります。

現地価格でも1,500ユーロはくだらないといわれています。
※現在1=約¥150

No1〜3までのクラシックトーネットは、ほぼ2)の時代に近いコレクションアイテムのため、
一般の市場に出てくる事はまずあり得ません。

これからもまず量産される事はないモデルですので、時代が経てばたつほどその価値は高くなってくるものと思います。

しかも高い実用性と耐久性を兼ね備えた良質なアンティークコンディション。

デニムがお勧めできない理由はどこにもありません・・。

(Buyer/YM)



価格(税込): 324,000 円
参考市場価格: 315,000 円
申し訳ございませんが、只今品切れ中です。


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