スーパークオリティ インレイローズウッド&バールウォルナット&マホガニー ヴィクトリアンクレデンザ

英国19世紀半ば、“ヴィクトリアン”の時代に製作された、インレイローズウッドの “クレデンザCredenza”になります。
およそ150年ほど前の家具になります。
クレデンザとは、ミッド〜レイト・ヴィクトリアン当時、上流階級の間でとても人気のあった
ヴィクトリア期のイタリア風サイドキャビネット(飾り棚)のこと。
今でもその頃のクレデンザは、コレクティングファニチャー(収集品の家具)として、
高級骨董のオークションなどでさまざまなデザインのアンティーク・クレデンザを見ることができます。
でも、現代の「美的感覚」において、素直に「美しい」、と思えるクレデンザに出会うことは、
それほどたやすいことはありません。
当時の貴族階級の家具でしたので、現代感覚では必要以上に装飾過多だったり、
デザインのセンスが21世紀的ではなかったりして、
現実に実用アンティークとしてお使いいただけるお品を探し出すのは、なかなか難しい仕事です。
特に、クレデンザの中にはシフォネア(フランス風サイドボード)のように、
ミラー付きの天飾り(ミラーバックボード)がついているものは、より豪華な装飾が施されていたりします。
シフォネアのようなサイドボード用途の家具とは違って、主に背の低い飾り棚用途で作られたケースの多いクレデンザは
もともと天飾りのないサイドキャビネットであるタイプが多いのですが、
それでも中にはやはり、その壮麗さを競うように、バックボードが設置されていたりするものもあるのです。
そのバックボードは、インテリアとしては装飾的なのですが、現代のインテリアにはちょっと装飾過多。
実用用途においても、現代では使用上によっては邪魔になる場合もありますので、
その場合ボードは撤去され、サイドキャビネットとして後年リメイクされていたりもします。
シフォネアなどでは、そのようなケースが多いため、何らかの理由で下台だけになったシフォネアを
別に ”シフォネアベース” と呼んで区別していたりもしますが、クレデンザについては、
元々サイドキャビネットとして作られたものが多かったのでしょう、
特にバックボードのあるなしにかかわらず、クレデンザとしてひとくくりにしています。
こちらのクレデンザには小さな笠木状の天飾りが設置されているため、
これがもともとのオリジナルなのか、それとも、かつては上部にバックボードがあった痕跡なのか、
いずれも可能性はありますが、どちらにしてもアンバランスさなど微塵も感じさせないルックス。
間違いなく、こちらのクレデンザについては、数少ない現代センスをもつアンティークアイテムの一つです。
ところで、そもそもオリジナルのクレデンザは、16世紀ごろのイタリアで作られていた貴族のための高級家具。
16世紀当時のイタリアと言えばルネッサンスの時代ですから、
言うまでもなくそのデザイン性は、世界の最先端を走っていました。
さらに、イタリア・ルネッサンスの家具と言えば、現代イメージの商業的な家具などはほとんど存在せず、
基本的には全てが芸術性の高い最高傑作。
つまり、本来「芸術作品」だったものを、19世紀当時の家具の最先進国=イギリスが、
上流階級用の家具として復刻を試みたわけですから、そんなヴィクトリアンのクレデンザに
そもそも価値の低いアンティークなどは存在いたしません。
こちらのクレデンザももちろんその例にもれず、いや、それどころか数あるクレデンザの中でも、
そのクオリティの高さは抜きんでているレベルにあるかもしれません。
何せ、この見たこともない豪華な化粧張り。
たしかに、インレイ・ローズウッド自体が希少なものですが、このアートクラスのマーケットリー(絵画調の象嵌)。
これほど細かいインレイはなかなか見ることのできない秀作です。
さらに、この杢目、よーく見てください。
1万本に1本と言われる、フレンチウォルナットのバール杢が、ローズウッドの杢の中に、彩るように化粧張りされているのです。
筆者も長くこのような化粧張り装飾を見てきましたが、
ブラジリアンローズとフレンチウォルナットのコンビネーションなんて今まで見たことも聞いたこともありませんでした。
さらにそのベース材には何と、マホガニーの無垢が!
それも赤みの強いスパニッシュマホガニーと思われる銘木が使用されているのです。
何という豪勢な仕様・・。
ブラジリアンローズにフレンチウォルナット、スパニッシュマホガニーと言えば、
アンティークの主材の中でも最高級の三大逸材。
これらをすべてまとめて使用しているなんて・・製作者は、とにかくトップクラスの家具を作りたかったのでしょう。
それは両サイドの曲面ガラスを見てもその意気込みが感じられます。
当時のハンドメイドのガラス製法で正確な局面率の曲面ガラスを製作するということがどれほど困難だった事か・・。
しかもそれだけではありません。
ご覧の通り、躯体を引き締めているゴールドのモールディングは、
かのナポレオンが好んだ”オルモル装飾Ormolu Embellishments”。
歴史に詳しい方ならご存知かもしれませんが、オルモル装飾は、フランス18世紀前半、
エンパイヤスタイルの家具装飾で流行した金属パーツ。
基本的にプロンズベースに金メッキを施した高級金具で、当時の豪華な宮廷家具だけにみられた貴族好みの装飾です。
定かではありませんが、幕板下の、左右に伸びるモールについては、おそらく金メッキのように見え、
(本物の)オルモル装飾ではないかと思われます。
他のパーツも金メッキかもしれませんが、彫刻が細かくて平坦面が少ないので目視ではちょっと判断はできません。
少なくとも、19世紀半ばのオリジナルのオルモル装飾ですから、
本物の可能性は極めて高く、これだけでも相当な価値のあるものであることは間違いないところです。
率直に言って、これほどのアンティークをデニムが入手できるとは信じられない気持です。
こちらはイギリスの契約ディーラーがアンティーク家具オークションで競り落とした品になりますが、
間違いなく、前有者はその土地の名士だったことでしょう。
残念ながら所有者情報はありませんが・・。
とにかく確実に、今まで入荷したどの家具よりも、豪華さでは上をいくものは無い、
唯一無二のアンティークと思います。
メンテナンスについても、これほどの家具ですから、デニムの職人総出で対応させていただきました。
この美しいキャビネットの内装を飾る輸入生地も、アンティークに生える”ピンク”を限定に、
かなり探し回って、一度張ったものが納得いかなかったため、張り直しまでして選ばせていただきました。
修復作業もいっさいの手抜きはありません。
きっと将来にわたっても、長く愛着をもってお伴していただける家具かと思います。
流れるような盾をかたどったボウフロント(弓型)のフォルムは、実用家具としてもパッケージングが良く、
コンパクトサイズながらディスプレイと収納を備え、利便性の高い機能性もあります。
アンティークとしても良い歳月を経てきていて、
三大銘木の主材は、素晴らしい色つやに育ってきています。
本当に非の打ちどころがありません。
ぜひ次代へと引き継いでいっていただきたい、紛う事なき人類の「文化遺産」になります・・。
(Buyer/YM)
価格(税込):
777,600
円
参考市場価格:
756,000
円
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LOCKON CO.,LTD.