ウィリアムIV世アームチェア


おお・・ついに・・。
待望のアンティークチェアが入荷しました!

今から何と!170年以上前、19世紀前半のイギリスで製作されたサロン(客間)チェアです。

※こちらのチェアはHC0202 ウィリアムIV世サイドチェアとの、2脚ペアで入荷いたしました。

きた、きた、本当にやってきました・・。
夢にまで見たチェアです。

いえ、そういえば、夢には一度も出てきませんでした・・。
でも、筆者が英国アンティークの権威ある出版社、ミラーMiller社のプライスガイドを見た時、
全身にビビビっと電流の走った、「あの椅子」にそっくりなチェアが入荷してきたのです。

「あの椅子」・・そう、まさにそれは、このチェアと同じ、リージェンシースタイルの流れを組む、
“ウィリアム4世WilliamW”時代の芸術品でした!

背もたれの両サイドには、ぱあっと、華やかなリーフのオーナメントを持ち、
座る人のお顔の両側を優雅に彩る・・そのチェア、そしてこのチェアは、
椅子が単に「椅子としての美しさ」を求めているだけではなく、
「座る人が美しく見えること」をも重要な使命としていました。

つまり、階級社会だったイギリスで、貴族が座るにふさわしい椅子か否か、
ということが重要だった時代に作られた椅子、ということですね。

インテリアとか、プロダクトデザインとか、
そんな現代的な概念が生まれる、はるか昔のことです。

ところで、あまり出てこない時代のチェアですので簡単に解説させていただきますが、
ウィリアム4世は1830年から1837年のわずか7年間君臨した、
イギリス・ハノーヴァー朝第5代君主になります。

ちなみに第6代君主は、かの“クイーン・ヴィクトリアQueen Victoria”で、
ヴィクトリア女王(1837〜1901)はウィリアム4世の姪にあたります。

ヴィクトリアン様式の家具は頻繁に当サイトでご紹介させていただいておりますので、
もう、ご存知ですよね。

また、前の時代の第4代君主は“ジョージ4世George W”(1820〜1830)で、彼は皇太子時代から
“リージェント(摂政)”として政務を担当していたことで、彼の時代は“リージェンシー”と呼ばれています。

その時代のデザイン、リージェンシースタイルの家具も後年のリプロダクション(復刻家具)として、
ヴィクトリアンの家具同様、比較的多く見られますよね。

そんなヴィクトリアンとリージェンシーの時代に挟まれた、短命な時代ですので、短期間が故、
デザイン様式としては産出された家具も少数で、家具史的には地味な印象になってしまっておりますが、
それでも、英国家具の歴史上では(文献上ですけど)、重要な時代だったようです。

すなわち、ひとつには、ウィリアム4世の時代は前近代的な(手工業としての)家具産業が
その規模、技術力ともにピークを迎えていた時代であったこと、があげられています。

英国家具の「黄金期」と言えば、あのトーマス・チッペンデールたちが活躍した、
“ジョージ3世George V”(1760〜1820)の時代を指しますが、それは言ってみれば「発展期」。

職人の技術水準が向上し、産業として「成熟期」に入ったのはウィリアム4世の時代だったようです。
何でも、熟練した家具職人が何と数千人規模!で存在していたとのことで、
家具産業が当時、最先端の“基幹”産業だったことが想像されます。

またウィリアム4世の時代の家具が重要である2つ目の理由として、
その時代に作られた家具が「最後の古典主義」様式の家具、と言われていることです。

次のヴィクトリアンの時代には、後に家具の大量生産が始まり、
家具は一部で近代的な「工業製品」に成り下がってしまいました。
ヴィクトリアンの家具デザイン自体も、過去の様式を折衷した、
独自性の低いものであったことも挙げられています。
(決してレベルが低いと言っているわけではございません。念のため。)

つまり、先に述べたような、椅子が「権威」をあらわしていたり、と
家具がまだ庶民には手の届かない、富裕層の贅沢品だったのは
このウィリアム4世の時代が最後だったのです。

もちろん、デザイン性だけではなく、今では入手できないような銘木が使われていたり、
高い技術を持った「匠」でなければ製作できないような造形を伴っていたり、と
本当の意味での「前時代的な家具」も、この時代以前のものにほぼ集約されています。

従って、年式に偽りさえなければ、ウィリアム4世時代以前のアンティーク家具は、
全て歴史的な骨董品、あるいは「過去の文化遺産」と断言しても良さそうなくらいです。

すみません!興奮して話が長くなってしまいました!

要するにこのチェアは、ウィリアム4世の治世下、貴重な7年間に製作された、
“スーパープレミアム・アンティーク”(私語)です!、って言いたかったわけです。
(それだけかよっ!)

・・このチェアのデザインは、いわゆる“リージェンシー”(摂政)スタイル、
それも“オールドフレンチ”と呼ばれる、フランス“ルイ14世”様式の流れを組む正統なもので
伝統家具としての血統、製作者の主張、マニュファクチャーの水準、素材の等級・・、等
その全てが最高位に位置づけられるものです。

いかがですか・・。

最後になりますが、このチェアのオーナーには、
このチェアを未来へ引き継いでいく「義務」が存在しています。

もちろんこちらは現代の生活で実際ご利用いただける「実用アンティーク」ではありますが、
傷がつけば修復し、ぐらつけば接合部を締め直し、木肌にはワックスを掛け、
シート生地が破れれば生地を交換し・・、と、貴方はこのチェアを生涯のパートナーとして
次のオーナーに引き渡すまで守り続けていただければなりません。
(困ったら無銘の椅子にお任せくださいっ!)

また価格も高価です。

ただし、それは貴方が次のオーナーへ引き渡すまでのデポジット(預かり金)になります。

その価格は「商品の物的な価値」ではなく、
「商品を所有するための権利的な価値」であることをご理解ください。
決して消費価格ではありません。

そのため、価格は上がることもあるでしょうし、下がることもあるでしょう。

いやはや、どうでもいいけど・・大げさな椅子、だと思われますか?
でも、それだけの椅子なのです。

そうして2世紀近くもの間、受け継がれてきた椅子なのですから・・。

長文、失礼しました!

(Buyer/YM)



価格(税込): 148,000 円
参考市場価格: 148,000 円
申し訳ございませんが、只今品切れ中です。


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