ヤコブ&ヨゼフコーンJacob and Josef Kohn No30 ベントウッドチェア


今から100年以上前に作られた、大変美しいアンティーク・ベントウッドチェアです。
デニムがフランス人のベントウッドコレクターよりゲットしてまいりました。

こちらは旧トーネットThonet社の前身、ヤコブ&ヨゼフ・コーンJacob and Josef Kohn社製、
大きなループバックが特徴なとても珍しいコレクションピース、No30になります。

・・手間暇のかかった19世紀のベントウッドチェアは、
本当に別格にきれいなラインです。

特にトーネット社の当時の最大のライバル企業だったJJコーン社のベントウッドチェアについては、
アンティークで見る限り、率直に言ってその商品性はトーネットを超えていたように思えます。

JJコーン社はもともと、トーネット社の「曲げ木特許」が切れた1869年、
満を持してスタートしたトーネットにとって最大のライバル会社でした。
後発企業でありながら、デザイン力、技術力ともに高く、
アドルフ・ロースの”ミュゼアム”チェア、ヨゼフ・ホフマンの”サナトリウム”のチェアなど、
多くの歴史に残る名作椅子を数多く輩出しました。

しかし、JJコーン社は20世紀にはいるとムンドス社と合併してコーンムンドス(1914年)となり、
さらに第一次大戦が終結した1922年にはトーネット社とも合併し、“トーネット・ムンドス”社と社名変更します。
そうした会社の変遷はいずれも経営的な事情によるところが大きかったようですが、
それ以上に、おそらく相互に商品開発上のメリットがあったものと思われます。

例えば、こちらのNo30。

オリジナルデザインはトーネット社のNo9になりますが、まだトーネット社とJJコーン社が合併する前、
1900年ごろ、トーネット社が販売を中止していたにもかかわらず、
JJコーン社はメイン商品として販売していたのです。

すなわち当時、多くの人々はNo30がJJコーン社のオリジナル商品と考え、
ベースモデルはトーネット社のNo9とは知らなかったに違いありません。
これはどういうことか?

おそらく、トーネット社のNo9はクラシックトーネットの時代に作られたため、
外観優先のデザインとなっていて、生産効率が悪く、つまり共通部品が少なくて、
販売をやむなく中止したのではないかと思います。

大きくループしたこのチェアのデザインは、No14に似て非なるもの。
No14よりもデザイン性において優っていることは明らかで、
人気が低くて中止されたものでないと、推察できるからです。
つまり生産技術上の問題。

ところがJJコーン社には多品種小ロットに対応できるだけの生産技術があったと思われ、No30(=No9)の生産は継続。
それゆえ、トーネット社としても、経営統合において大きな技術的なメリットがあったと思われます。

まあ、私感はさておき、こちらのチェアは、JJコーン社がトーネットやムンドスと合併する前の純粋なJJコーンオリジナル品。
大変貴重なJJコーン社全盛期の本社工場製、”Wsetin‐Austria”の刻印入りモデルです。

座面もオリジナルの穴あきの星型模様。
※下記エキストラフォトJJコーン社カタログ抜粋ご参照

ペーパーラベルのみ、なくなってしまいましたが、これほど状態のよいNo30オリジナルモデルは、
もはや見つけることは難しいと思っております。

JJコーン社全盛期に製作された、その商品品質の高さは素材の「質」を見ても明らか。
1世紀以上経過してもほとんど亀裂すら見せない素材のヨーロピアンビーチは、
標準的なベントウッドチェアよりも一回り太く、ふくよかに感じられます。

イギリスの”ウィングバックチェア”のように、座る人をホールドする大きな3次元曲線を描くループ構成は、
ミヒャエルトーネットが生きていた時代に制作された、シングルナンバーのクラシックトーネットならではの、
芸術的なウィーンの曲線美。

当時としては衝撃的ともいえるほどのエポックメイキングなデザインだったことでしょう。
世間の評価も想像がつきます。

また製造には高い素材品質と高度なノックダウン(組み立て)のテクニックが必要だったと思われ、
当時の著名なデザイナーたちが、こぞってJJコーン社にその製造依頼をした、
という史実にも確かにうなずけるものがあります。

最高品質のベントウッドファニチャーを供給する一流メーカーの、さらにその中でも代表的なコレクションチェアシリーズ。
それがこのNo30になります。

クラシックな座面のホールデザイン、脚の美しいシルエット、
通常のアンティークベントウッドよりも一回り大きいサイズ、など、
欧米のマニアたちが好むセールスポイントも満載です。
何よりもトーネットが作らなかった(作れなかった?)デザインですので、
骨董的価値はヨーロッパではSクラスです!

コレクティングファニチャーとしても、非常にコンディションの良い状態で維持されてきていて、
まさに博物館クラスのコンディション。
実用も可能なコレクションピースという点でもかなりポイント高いです!

いつか、日本でもアンティークベントウッドチェアが広く知られるようになった時、
こちらのチェアはきっと手の届かないほどの高級アンティークとなっていることでしょう。

デニムがお勧めできない理由は、まったくどこにもありません・・。

(Buyer/YM)



価格(税込): 89,640 円
参考市場価格: 87,150 円
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