ヤコブ&ヨゼフコーンJacob and Josef Kohn No118 ベントウッドチェア


今から100年以上前に作られた、大変美しいループバックのアンティーク・ベントウッドチェアです。

こちらは旧トーネットThonet社の前身、ヤコブ&ヨゼフ・コーンJacob and Josef Kohn社製、
大きなループバックが特徴なとても珍しいコレクションピース、No118になります。
量販モデルNo18のバリエーションに当たるモデルです。

ただし、こちらは19世紀後半ごろのモデルと思われ、トーネット社と合併した以降に作られたものと思われます。

座枠の作りがそのころ(すでに国有化された後)のトーネット社のもので、
JJコーンの刻印が既になくなっている点でそう推測できます。

モデルデザインのルーツがJJコーン社製で、なおかつ、トーネットには存在しなかったJJk社オリジナルモデル、
という点から、こちらのお品はJJコーン社の社名を品名に入れさせていただきました。

厳密にいえば、トーネットムンドス社の継承会社製というべきかもしれませんが、
コレクターの方でしたら、デニムの言わんとしている趣旨はお分かりいただけることと思います。

ちなみに、JJコーン社はもともと、トーネット社の「曲げ木特許」が切れた1869年、
満を持してスタートしたトーネットにとって最大のライバル会社でした。

後発企業でありながら、デザイン力、技術力ともに高く、
アドルフ・ロースの”ミュゼアム”チェア、ヨゼフ・ホフマンの”サナトリウム”のチェアなど、
多くの歴史に残る名作椅子を数多く輩出しました。

しかし、JJコーン社は20世紀にはいるとムンドス社と合併してコーンムンドス(1914年)となり、
さらに第一次大戦が終結した1922年にはトーネット社とも合併し、“トーネット・ムンドス”社と社名変更します。
そうした会社の変遷はいずれも経営的な事情によるところが大きかったようですが、
それ以上に、おそらく相互に商品開発上のメリットがあったものと思われます。

例えば、こちらのNo118。

オリジナルデザインはトーネット社のNo18になりますが、No18よりも長尺部材が必要になる高級モデルになります。

JJコーン社の19世紀末のカタログには既に掲載されているので、比較的古いモデルになりますが、
当時、トーネット社はJJKのNo118タイプは生産していませんでした。

ベースモデルのNo18はロープライスを売りにした商品で、世界の市場を席巻しましたが、
当時はそのように大量生産のための合理化、そして低価格が叫ばれていた時代です。
おそらく、トーネット社はコストのかかるNo118はあえて生産しなかったのではないかと思います。

筆者のイメージですが、トーネット社はあくまで「販売規模」を追求し、
JJコーン社は「商品価値」を追求していったように思われます。

大きくループしたこのチェアのデザインは、No18に似て非なるもの。
No18よりもデザイン性において優っていることは明らかで、
人気が低くてトーネット社は追従しなかったものでないと、推察できるからです。
つまり生産都合上の問題。

JJコーン社には多品種小ロットに対応できるだけの生産技術があったと思われ、No118のような商品が誕生できた。
一方、トーネット社は非効率な商品はどんどん廃番化されていった。

それゆえ、トーネット社としても、コーンムンドス社との経営統合は、
大きな相互メリットがあったと思われます。

まあ、私感はさておき、こちらのチェアは、JJコーン社がトーネットやムンドスと合併した後のNo118後継モデル。
まず市場には出てこない大変貴重なお品です。

ペーパーラベルや刻印はありませんが、これほど状態のよいNo118オリジナルモデルは、
もはや見つけることは難しいと思っております。

JJコーン社全盛期に製作されたオリジナルNo118を受け継ぎ、その商品品質の高さは素材の「質」を見ても明らか。
1世紀以上経過してもほとんど亀裂すら見せない素材のヨーロピアンビーチは、
標準的なベントウッドチェアよりも一回り太く、ふくよかに感じられます。

イギリスの”ウィングバックチェア”のように、座る人をホールドする大きな3次元曲線を描くループ構成は、
アンティークモデルならではの、芸術的なウィーンの曲線美。

当時としては衝撃的ともいえるほどのエポックメイキングなデザインだったことでしょう。
世間の評価も想像がつきます。

最高品質のベントウッドファニチャーを供給する一流メーカーの代表的なコレクションチェアシリーズ。
それがこのNo118になります。

クラシックな座面デザイン、脚の美しいシルエット、
通常のアンティークベントウッドよりも一回り太いフレームサイズ、など、
欧米のマニアたちが好むセールスポイントも満載です。
何よりもトーネットが作らなかった(作れなかった?)デザインですので、
骨董的価値はヨーロッパではSクラスです!

コレクティングファニチャーとしても、非常にコンディションの良い状態で維持されてきていて、
実用も可能なコレクションピースという点でもかなりポイント高いです!

いつか、日本でもアンティークベントウッドチェアが広く知られるようになった時、
こちらのチェアはきっと手の届かないほどの高級アンティークとなっていることでしょう。

デニムがお勧めできない理由は、まったくどこにもありません・・。

(Buyer/YM)



価格(税込): 27,000 円
参考市場価格: 26,250 円
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