ウィリアム4世William IV ローズウッドジュエリーボックス


今から約2世紀前、イギリス1830年代、ウィリアム4世William IVの時代に製作された、
ジュエリーボックス/アクセサリーケースです。

この重々しさ・・。

産業革命から2度の世界大戦を経て、ITが世界史を変えようとしている現代。
約200年もの間、そんな歴史の大波の中で揺られてきた、時代の積み重ねを感じさせる風合いです。

でも、不自然なほど「自然」に存在していることに、ちょっとした違和感を感じます。
だって、2世紀近く前の木製品が、何事もなかったかのように普通に使えるというのは、
よく考えてみればあり得ないこと。

確かに、当時のアクセサリーケースといえば、文字通り”ジュエリーボックス”(宝石箱)でしょうから、
間違いなく、大切に扱われてきたのでしょう。

もちろんケースの素材の良さも言うまでもありません。
素材はマホガニーの無垢ベースにはローズウッド化粧材。

ローズウッドは防虫性や防菌性が高く、また湿度や温度変化にも強いことが知られている稀代の銘木。
水に沈むほどの密度の高さは家具職人を悩ませるほどの堅さを持ち、
その狂いの少なさはバイオリンなどの高級楽器などにも好んで使用されています。

それでも、この一切の狂いを見せないフォルムの精度や、剥離一つ見せない化粧張りの品質を見るにつけ、
素材や扱いの良さだけで、カタチあるものがあるがままの姿で残っているとは、
ちょっとにわかには信じられないですね。

命あるものには必ず寿命がありますし、カタチあるものはいつかは失われます。
これでは、その「いつか」って、この箱にとってはいつ?

もしかすると、長い歴史の中で、一度くらいはレストアが入っているのかもしれませんが、
きっとこのようなアンティークには、保存に良い条件が偶然いくつも重なり、
ある意味では「幸運」に生き残ってきたのだと思います。

・・というのが、こちらのアンティークの率直な感想。

私感はさておいても、200年前の時代の最先端のデザインを、
ダイレクトに知ることのできる幸運を享受できていることは、紛れもない事実です。

ローズ独特の流れるような美しい縞杢には、鮮やかなゴールドのブラスインレイ(真鍮象嵌)を全面に描写。
ヨーロッパの古典的な紋章は、明らかに所有者の家系が「位」の高い身分だったことを示しています。

蓋を開けると鮮やかなワインカラーが広がります。
風化してしまっているとはいえ、シルクサテン、ベルベット、レザーのコンビネーションは、今なお豪華。

ロング&ショートネックレス、ピアスやイアリング、指輪など、
様々なアクセサリーがあふれんばかりに収められていた状況が目に浮かびます。
収納スペースは2段トレー式で、収納力はたっぷりあります。

もちろんこちらのボックスはキーロックの付いたシークレットボックス。
キーは使えるように再生しましたが、もともとは壊れていたのでロックの使用頻度は高かったことがうかがい知れます。
盗られてはならないものが満載だった、ということでしょう。

製作されたのは、ハンドメイド家具の技術水準が英国の歴史の中でも最も高かったといわれる、ウィリアム4世の時代。

家具の工業生産が始まる以前の、1830年から1837年のわずか7年間に作られた、
数少ない木製品の一つが、こうしてオリジナルの状態で残っているわけですから、
これは、「幸運」というよりも「奇跡」に近いですね。

紛れもなく“スーパープレミアム・アンティーク”の一つと言ってよいでしょう。

素材・品質だけでなく歴史的背景から考慮しても、間違いなく価値ある逸品。
アンティーク上級者の方にコレクションに・・ぜひ。

(Buyer/SD)



価格(税込): 108,000 円
参考市場価格: 105,000 円
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