トーネットTHONET No.408ベントウッドチェア


19世紀末から20世紀初期につくられた旧トーネット社のベントウッドチェアです。
大変貴重なコレクターズアイテムです。
こちらはまだ、トーネット社がウィーン本社の時代だったころのオリジナルモデルと思われます。

正式なモデルコードは”No408”。
当時はまだまだ古典デザインの人気が高かった時代を象徴するかのように、
フランス・ルイ15世様式をベントウッドチェアデザインに取り入れています。
トーネット社全盛期の意欲作です。
※エキストラフォトに1900年ごろのトーネット社カタログ抜粋があります。

基本的に旧トーネット社のベントウッドチェアは、ドイツ・ビーダーマイヤー様式をベースデザインとしていましたが、
1880年代以降、おそらく輸出対策と思われますが、トーネット社では、
イギリスやフランスの古典様式をチェアデザインに取り入れ始めました。

そして1900年ごろ、そのデザインバリエーション数はピークを迎えることになりますが、
第一次大戦後、ドイツの敗戦による混乱などで、その大半のデザインは廃盤となり、
二度とみられない幻のデザインと化してしまいました。

特に現在のコレクターたちの間では、No300番台前半のイギリス・ヴィクトリアン様式デザイン、
No300番台後半のエドワーディアン様式デザイン、
そしてこちらのNo400番台前半のフランス・ルイ15世様式デザインなどは、
きわめて現存数が少なく、非常に人気の高いモデルとなっています。

ちなみに、こちらのNo408は、ロココ調高級ラインのレギュラーモデルだった、
No311とNo411シリーズの派生モデルでした。
これらのシリーズのフレームには、レギュラーな丸棒型の曲げ木と違って、
角材型が使用され、さらにコンケーブ(溝)が掘られています。
素人目に見ても手間がかかっていることがわかります。

また、前脚の猫足には、S字に曲げられたラインに古典様式の彫刻が掘られ、
当時の最新技術と旧来のハンドメイドの技術がハイブリッドで投入されています。

曲げ木の強度アップ、デザイン性の向上、そして量産化によるコストダウン、と
専門的に見ると、第一期の量産家具の歴史はここに極まれり、といった感があります。
ある意味では、大変貴重な歴史的資料、家具史の遺産と思います。

きっと将来にわたっても、なかなかお目にかかれることはない逸品でしょう。

トップレイルのサーペンタイン(波型)の曲線とハートのようなシェイプの背あてデザイン、
前脚の控えめなカブリオールレッグ(猫足)と、付け根に施されたスクロールの文様・・。
本当に素晴らしいデザイン性と思います。

そして、従来よりも格段に進化した耐荷重性は、実際に座っていただければ、
そのアンティークとは思えない座り心地とフレーム強度に驚かれることと思います。

・・でも、残念ながら、曲げ木家具の進歩はこの時をピークに、100年前に途絶えてしまっているのです。

いえ、正確に言うと、曲げ木家具は今でも進化は続いています。
でもそれは、当時とは違った方向への進化。
曲げ木という技術ができて以来の「正常進化」は、すでにその歴史の幕は閉じているのです。

とすれば、このNo408は正常進化の行き着いた「究極の曲げ木椅子」といっても過言ではないかもしれません。
事実、当時の販売価格は、代表作のNo14の四倍もの値がつけられていた高級ラインだったようです。

間違いなく、人類の歴史上、二度と作られることの無いチェアです。
今回、ドイツ人のコレクターより、たまたま、入手できたことは、全く運の良いことでした!

ベントウッドコレクターの皆さま、この機会、絶対お見逃しなさらないように・・・。

(Buyer/SD)



価格(税込): 97,200 円
参考市場価格: 94,500 円
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