トーネットTHONET No4734 ベントウッドケインシートスツール


19世紀末、旧トーネット社で製作された珍しいクラシックトーネットのスツールが入荷いたしました!
大変貴重なコレクタブル・アンティークです。

こちらはまだ、トーネット社がウィーン本社の時代のモデルと思われます。
もしかすると、創業者ミヒャエル・トーネットがまだ生きていた時代に作られた個体であった可能性もあります。

正式なモデルコードは”No4734”。
トーネットの一般型スツールには、アタマ2ケタに”47XX”のコードが設定されています。

1880年ごろから1920年ごろまでのトーネット社最盛期の中で、
”4701”から”4756”番までが、一般的に知られているスツールモデルです。

最も初期デザインの”470X”番台(座面高47cmの標準円形スツール)や、
”471X”番台(座面高55cmの標準円形スツール)、また”472X”番台(座面高75cmの標準円形バースツール)については
現代でも生産され続けているロングセラーモデルになります。

が、こちらの”473X”番台(座面高47cmのろくろ脚角形スツール)、および”474X”番台(座面高55cmのろくろ脚角形スツール)
そして”475X”番台(座面高47cmの標準角形スツール)については、およそ第一次大戦の混乱期に
カタログからドロップしていますので、1920年以降は、生産が中止されてしまったのではないかと思われます。

つまりこちらの”473X”番台のモデルはある一時期だけ限定生産された、幻のスツール、というわけです。

デザイン的にも、珍しいフレンチスタイル。
スクエアな座面形状と、ターンドレッグ(ロクロを回して作成したような形)は、
18世紀後半に流行したフランス・ルイ16世様式をベースにしたデザインと思われます。

クラシックトーネットは基本的にドイツのビーダーマイヤー様式をルーツにしてスタートしていましたが、
後にデザインはイギリスやフランスの古典様式も取り入れられるようになり、そのバリエーションは広がっていきます。

このスツールのような西欧古典様式のアレンジは、初期トーネットのオリジナルモデルならでは、です。

尚、このチェアが製作されたころ、トーネットが独占していた「曲げ木技術」の特許はすでに期限切れ。
各地の競争会社たちはこぞって、トーネットの成功に続けと、曲げ木家具の製造に参入していました。

特に、後に合併するヤコブ&ヨゼフ・コーンJacob and Josef Kohnは短期間で複数の工場を開設し、
その商品品質と勢いはトーネット社と同等以上と言えるレベルにまで接近していました。

トーネット社では、そんな「曲げ木家具」マーケットの競争激化の中、
他社を圧倒する「品ぞろえ」戦略に取り組んでいきます。
19世紀末ごろからのデザイン開発には、ありとあらゆるアイデアが取り入れられるようになりました。

その結果、1884年のカタログでは110種だったモデルが、1910年代には1400種までに増加しています。
こちらのNo4734が生まれたのは、そんな時代を背景としていました。

旧来の曲げ木だけによるコンストラクションから、古典的な挽き物脚を復活させ使用したり、
さらに、ここまで太い角材を曲げられるのだ、という他社との技術力の優位性を見せつけるかのように、
座枠とリングストレッチャー(4本の脚をつなぐリング状の補強材)にも、
古典的なほぞ組のようながっしりとした四角いフォルムを採用しました。

明らかに素人目に見ても、その製造工程が通常のスツールよりも高い技術で、
かつ、ひと手間もふた手間も多くかかっていることは、容易に想像ができます。

そしてその製造技術の確かさは、100年を優に超える歳月を経ながら、
構造的なダメージがほとんど見られないこと、また、先細りの細めの脚ながら非常にしっかりした安心感があること、
で、充分にご理解いただけると思います。
(実際に腰かけて頂くとよくわかって頂けます。)

通常品でさえ入手困難になりつつある19世紀クラシックトーネットのオリジナルスツール。
こちらはドイツ人のコレクターよりデニムが運よく入手できたものです。

希少性の高さからどうしてもお高めの値段が付いてしまいますが、
この品質、そしてアンティークとしての歴史的価値を考慮すれば、決して高すぎる額ではないと信じています。

間違いなく今後二度とお目にかかれない逸品と思います。
この機会、是非お見逃しなく・・・。

(Buyer/SD)



価格(税込): 54,000 円
参考市場価格: 52,500 円
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