ウィリアム4世William IV サンダーランド デスクポット

今から何と200年近く前!イギリスで製作された、華やかなデスクポッドです。
”1840”と表記がありますので、その年につくられたのでは?と思ってしまうところですが、
現地ディーラー情報によれば、作られたのはそのちょっと前、ウィリアム4世の時代(1830-1837)ということです。
陶磁器で有名なイングランド北東部、サンダーランドの伝統工芸品になります。
”サンダーランドSunderland”は、イギリス・タインアンドウィア州にある港湾都市。
日本ではサッカーチーム、サンダーランドFCで、その地名は知られていますね。
古くは炭坑や造船業などで栄えた古都でしたが、今では工業都市といったイメージです。
日本のメーカーでは日産などが工場をおいています。
そんなサンダーランドですが、一方では、17世紀ごろからガラスや陶芸の産地としても有名でした。
中でも当地の名品、”Sunderland Pottery”としてフラッグシップの陶磁器は、「ラスター彩」と呼ばれる半磁器。
9世紀、西アジアの古代ペルシアで生まれた史上最高の陶芸、「ラスター彩」の技術を受け継いだ工芸品です。
「ラスター彩」自体は世界各地に広まっていて、日本にも伝承者はいらっしゃいます。
「人間国宝」加藤卓男氏です。
加藤氏は古代ペルシャの古陶に魅せられ、日本独自のラスター彩を創出した第一人者で、
英国サンダーランドとも技術交流をもっています。
・・と、話が横道にそれ始めてしまいましたので、この辺にしておきますが、
こちらはそんな折り紙付きのサンダーランドポッテリー(陶器)。
古代ペルシア・ラスター彩の彩色技術で装飾した伝統工芸です。
サンダーランドの陶器には、恐らくボーンチャイナの影響と思いますが、
何らかのストーリーや時代のトレンドなどを取り入れた絵柄の描写が多く、
19世紀には現地でかなり流行したそうです。
色彩には”ピンクラスター”と呼ばれる、ゴールドピンクのアクセントが有名ですが、
こちらは上下のラウンドエッジに、あたかも銅線のようなストライプ上のラスター彩が装飾されています。
明らかに、ギルティング(金彩)とは違う、金属板が貼られているかのような質感。
2世紀近い歳月が経過していますが、今なお当時の状態が維持されていて、往時をしのぶことができます。
ちなみにもう一つ、サンダーランドポッテリーの特徴といえば、陶器と磁器の中間的な、半磁器であること。
もちろんすべてが半磁器というわけではないでしょうし、こちらのお品も半磁器と確認できたわけではありませんが、
地域性としてカオリンの配合が強く、陶器よりも磁器に近かったことは確かなようです。
半磁器は、少しアイボリーがかった白い素地で、やきものの本焼成温度としては低めの1200〜1250℃で焼かれるため、
絵付けや色釉薬の顔料の発色がよく、色彩豊かな表現ができるのが特長。
そのため、このような鮮やかな絵柄の描写が多いわけですね。
こちらも半磁器と思われ、外側と内側に絵柄が、鮮やかな色彩で描かれています。
描写については、"James Mofs 1840"の意味するところはわかりませんが、まあ、普通に考えれば、
このハンドペイントを施した人の名と製作年、というところでしょう。
でも、その年よりも数年前につくられたもののようなので、
1840年とは、何かのカウントダウンのゴールの年なのかも?
いや、よくよく絵を見ると、中央の紋章は、英国王家の紋章のクオーターリング?
そうすると、右の男性は「農夫のジョージ」と呼ばれたジョージ3世(1760-1820)なのかも。
とすれば、左にいるのはヴィクトリア女王(1837-1901)をイメージしたもの?
ヴィクトリア女王の王位継承にはいろいろな紆余曲折があったようですから、
それを風刺した作画であったとしても不自然ではないですね。
そうすると、”God Speed the Plough“=神が鋤(すき)を助けてくれますように、の意味しているものは、
王侯貴族たちの間に色々ないざこざがあったとしても、万民は泰平でありますように・・と願う言葉のようにも思えますね。
まあ、全ては推測の域を出ませんが、いずれにしても、2世紀前の遠い西欧の地に思いをはせるのことのできる、
素敵なアンティークではありませんか・・。
(Buyer/SD)
価格(税込):
25,920
円
参考市場価格:
25,200
円
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