サンダーランド ピンクラスター ラージボウル


1880年頃にイギリスで製作された、ピンクラスターのボウルです。
陶磁器で有名なイングランド北東部のサンダーランドの伝統工芸品になります。

”サンダーランドSunderland”は、イギリス・タインアンドウィア州にある港湾都市。
日本ではサッカーチーム、サンダーランドFCで、その地名は知られていますね。

古くは炭坑や造船業などで栄えた古都でしたが、今では工業都市といったイメージです。
日本のメーカーでは日産などが工場をおいています。

そんなサンダーランドですが、一方では、17世紀ごろからガラスや陶芸の産地としても有名でした。

中でも当地の名品、”Sunderland Pottery”としてフラッグシップの陶磁器は、「ラスター彩」と呼ばれる半磁器。
9世紀、西アジアの古代ペルシアで生まれた史上最高の陶芸、「ラスター彩」の技術を受け継いだ工芸品です。

「ラスター彩」自体は世界各地に広まっていて、日本にも伝承者はいらっしゃいます。
「人間国宝」加藤卓男氏です。

加藤氏は古代ペルシャの古陶に魅せられ、日本独自のラスター彩を創出した第一人者で、
英国サンダーランドとも技術交流をもっています。

・・と、話が横道にそれ始めてしまいましたので、この辺にしておきますが、
こちらはそんな折り紙付きのサンダーランドポッテリー(陶器)の一つ、
人気ではトップランナーの ”ピンクラスターPink Luster”です。

サンダーランドの陶器といえば”ピンクラスター”、というほどの代名詞的な陶芸品。
恐らくボーンチャイナの影響と思いますが、
何らかのストーリーや時代のトレンドなどを取り入れた絵柄の描写が多く、
19世紀にはかなり流行したそうです。

そのモチーフとなったテーマについては、星の数ほどありますが、
それらのすべてに共通していたのは、このゴールドピンクのアクセント。

この独特の色彩が、サンダーランド固有のカラーとして広く知られることとなり、
ピンクラスターとサンダーランドポッテリーがあたかも同義語のように伝えられていったそうです。

ちなみにもう一つ、サンダーランドポッテリーの特徴といえば、陶器と磁器の中間的な、半磁器であること。

もちろんすべてが半磁器というわけではないでしょうし、こちらのお品も半磁器と確認できたわけではありませんが、
地域性としてカオリンの配合が強く、陶器よりも磁器に近かったことは確かなようです。

半磁器は、少しアイボリーがかった白い素地で、やきものの本焼成温度としては低めの1200〜1250℃で焼かれるため、
絵付けや色釉薬の顔料の発色がよく、色彩豊かな表現ができるのが特長。
そのため、このような鮮やかな絵柄の描写が多いわけですね。

こちらも半磁器と思われ、外側と内側に絵柄が、鮮やかな色彩で描かれています。

内側には大きな鎌を持った男性と自然、また生まれたばかりの子供が洗礼を受けている様子が描かれています。

外側には“Sailor’s return”の文字と、帰還した水兵と家族。
別の箇所にはイギリス国旗とフランス国旗が、鷲と獅子と共に描かれています。

いずれも、何を暗示しているのかはちょっとわかりませんが、
当時の一般市民の様子や、社会状況などがが描写されているはずですので、
歴史性を鑑みて、その趣旨を読み取っていただくと興味深いかと思います。

配色は、サンダーランドならではのピンクラスター。
状態はとてもよく、130年以上もの歳月が経過しているとは思えないほどです。

もちろん食器として実用的にお使いいただくことも可能ですが、
基本的にはアンティークコレクションとしてご理解いただければ、と思います。

イギリスアンティークファンの方に、ぜひおひとつ・・。

(Buyer/SD)



価格(税込): 43,200 円
参考市場価格: 42,000 円
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