和骨董WA-COTTOO SHOWA-RETRO 片袖デスク

デニムの和骨董企画パートU第一弾、SHOWA-RETRO編の商品です。
こちらは骨董ファンのお客様より入手しましたメイドインジャパンの片袖机です。
昭和中期のものということで入荷してきました。
今から半世紀ほど前に作られたもの、ということになります。
・・もともと「畳」という、世界でも類のない固有の文化が発達していた日本では、一般的に、
生活の中で「椅子」という家具の必要がありませんでした。
色々と諸説はありますが、日本で西欧式の生活スタイル、すなわち椅子に座って食事をしたり、
勉強をしたりするようになったのは、明治半ば以降。
一般的な日本の家庭生活にまで広く普及するようになったのは、戦後の高度経済成長期、
1954年(昭和29年)から1973年(昭和48年)のころではないかと言われています。
一方、この昭和レトロな机、昭和中期のものとすれば昭和30年代から40年代に作られたもの、
ということになり、ちょうどその高度成長期の時代のもの、ということになりますよね。
椅子に座る生活の普及時期にもあっているし、なんとなく納得・・してしまいそうでしたが、
でも、どうも違和感が・・。
別にどうでも良いことなのですが、昭和30年代から40年代の一般家庭に
こんな、ちょっと高級風な木製デスクがあった?、と考えると、ちょっと不自然ですよね。
かといって、明治のころに作られた富豪の邸宅(洋館)に置かれていた、
というほど古いものではなさそうですし・・。
どうも、このデスクがピタッと来る時代や場所が想像できなくて、
なんだかちょっと、もやもやしていました。
ではちょっと視点を変えて、このデスクはいったい何用?
現代の感覚からすると、ナチュラルテイストのシンプルな学習机、といったイメージですが、
学習机の歴史を追ってみると、昭和中期にこんなデザインの学習机は一般的ではありませんでした。
「くろ○ねの学習机」に代表されるように、すでに昭和30年代末期からは
高さ調整が可能なスチールデスクが普及していたのです。
とすると戦前(1945年=昭和20年以前)のもの?
でも、冒頭で述べたように、戦前はまだ椅子の普及が一般的でなかった時代ですので、
学習机とすれば、よほど稀有な生活スタイルの家庭だったことでしょう。
ちょっと、イメージしづらいですね。
では、事務机?
・・ああ、そうですね、事務机ならなんとなくイメージができますね。
例えば、昭和初期(ヒトケタから20年代ごろまで)の役所や学校、病院や郵便局など、
当時のオフィス風景をインターネットで画像検索してみてください。
おお、出てくる出てくる・・。
似たデスクでデスクワークをしている事務員たちの画像が。
ということで、つらつらと、とりとめのないお話をしてしまいましたが、
デニムの結論としては、こちらはおそらく昭和初期のオフィスデスク。
当時の日本の量産家具としては、無垢の多様された比較的高級な仕様ですので、
多分、市役所などの公営施設で使われていたものと思われます。
庁舎の解体などに伴って、個人の手に渡り、その後、近年になって
リサイクルの流通網にのったのではないでしょうか。
ところで、時代を問わず万国共通の常識として、公営施設に使われる家具は高級品であることが多いです。
実際、こちらのデスクも当時の欧米家具をかなり研究して作られたものだったことでしょう。
1900年代ごろ(明治時代後半)のイギリスのオフィスデスクにとても良く似ています。
デニムに入荷した過去のイギリスアンティークの高級デスクを見てみても、
片袖式ロールトップデスクの「上半分」をとったデザインにそっくりです。
でも、当時の日本の家具メーカーが、半世紀は進んでいた欧米の家具デザインを必死に研究し、
追いつけ追い越せと頑張った結果だったのでしょう。
でも、残念ながら、形は似ていても、品質面ではまだまだ欧米の家具には及ぶべくもありませんでした。
正直なところ、現代家具においても、日本の家具は欧米の最先端の家具には
まだまだ追いついていないと思います。(デニムの私感です。)
それでもこちらのデスクには、ものづくりに対する日本人の真摯な姿勢は十分に感じられるのです。
確かに抽斗(ひきだし)の継手などには釘が使われ、天板の無垢板の接ぎ合せを見ても、
技術的に高いとは言えませんが、そうした、高度な職人技術はなくても、
当時の日本人には、「創意工夫する知恵」は欧米にも負けてはいなかったようです。
及ばない部分は構造設計でカバーする。
そんな製作者たちの、喧々諤々の製造会議がきっとあったのでしょう、目に浮かぶようです。
こちらのデスク、ある意味では不十分な接合部と言えるかもしれませんが、
構造の確かさが、無垢の家具ながら、半世紀以上もの間、端正なフォルムを保ち続けています。
また、メンテナンス性の良い構造になっているので、何度も再生され、今に至っているのかもしれません。
「いつかきっと追いついてみせる」
昔の日本の家具職人たちの、モノづくりの心意気がうかがわれるような、りっぱなデスクと思います。
何だか同じ日本人として、ちょっとうれしくなりますね。
デザインだって、21世紀の今となってはレトロモダンでなかなかのもの。
イギリスのクラシカルなインテリアの中にあっても、決して不釣り合いではありませんよ。
ヴィンテージアーコールにはぴったりではないですか?
フランスのシャビーなアンティークにだって良く馴染みそうです。
どこにいても自然で飾り気のないデザインは、奥ゆかしさを尊ぶ日本人ならではの創造性。
日本のモノづくりのルーツとして、ぜひお孫さんの代まで引き継いでいっていただきたいものです。
素晴らしき日本のクラフトマンシップに満ちた、ジャパニーズ ”SHOWA-RETRO”デスク、
アンティーク上級者の方のインテリアコレクションに、ぜひ・・。
(Buyer/YM)
価格(税込):
69,660
円
参考市場価格:
67,725
円
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LOCKON CO.,LTD.