トーネットTHONET No6551 マホガニーレボルビングチェア

幻のアンティーク・トーネットチェアを入手いたしました。
ヨーロッパ現地でもなかなか見つけることのできない、ソリッドマホガニー製「回転椅子」、
ベントウッドを使用していないオフィスチェアです。
旧トーネット社オリジナルモデルのNo6551になります。
※こちらは2脚ペアで入荷いたしました。
・・今では、デニムはアンティーク・トーネット、あるいはアンティークベントウッドの専門家と
自負しておりますが、実はかつて、まだデニムが「無銘の椅子」と名乗っていたころですが、
大きな過ちを一度おこしてしまったことがあります。
「過ち」というよりも、大きな「後悔の念」といった方が正しいかもしれません。
それは・・コレクターに「幻のマホガニートーネット」と言われた、
トーネット社製のマホガニー家具を、全くそれと気付くことなく、
普通のアンティークチェアとして販売してしまったことです。
専門家と自負しながら、価値を知らなかったこともそうですし、
お届けするお客様にも貴重なチェアである旨、お伝え出来なかったことも、確かに残念でした。
また、当時の商品の構造など、詳細も調べることをしなかったことも、とても後悔しましたが、
何よりも一番後悔したのは・・実は、メンテナンスを途中であきらめてしまったこと!
2脚あったチェアのうち、1脚のチェアの回転軸が回らなくなっていたのですが、
特に使用上は問題ないし、1脚は回るから、まあ、いいかと、忙しさにかまけて、
「回らない回転椅子」として、お客様にお出ししてしまったのです!
なんとなく、このことが心にずっと引っかかっていたのですが、ある時、
このチェアが「幻のマホガニートーネット」だと知り、愕然。
これほど貴重なチェアだと知っていれば、何としても元通りに完全再生させたかった!!
でも、すべては後の祭り。
同じ間違いはしないように、それ以降、心に誓ったものでした。
ところが!!
たまたま、先日、某ネットオークションを見ていたところ、何と、
あの時の「マホガニートーネット」が売りに出ているではありませんか!
しかも、同じタイプ、ではなく、まさしく「あの時の因縁のチェア」。
あれほど後悔したこの筆者が、まさか見間違えるわけはありません!
本物である証拠に、商品説明には「1脚は回転しません。」と記載されています。
何としても、買い戻してやろう!、と心に決め、その場で即、入札をしました。
そしてご覧のとおり、何とかかんとか、落札することができました。
こうして「幻のマホガニートーネット」は久しぶりに私たちのもとへやってきてくれることになったのです。
・・あるんですね、こんなことって。
仕入れをしていて、これほど心がときめいたことは初めてかもしれません。
そして初心に帰り、もう一度、イチから心ゆくまでメンテナンスをいたしました。
詳しくは、「職人コメント」をご覧下さいね。
メンテナンスの「知識」や「腕」は、私たちはもはや「昔の私たち」ではありません。
「無銘の椅子」時代よりも、私たち「デニム」は格段にレベルアップしています。
仕上がりはご覧の通り。
私たちのもとにきた「幻のマホガニートーネット」は、
”スパニッシュマホガニー”の美しい色つやを身にまとい、
2脚の完全再生された”レボルビングチェア”として生まれ変わりました。
う〜ん、もう思い残すことはありません・・。
・・なんて、余計な前置きを申し訳ございません。
どうしてもお伝えしたかったので語ってしまいましたが、何の商品説明にもなっていませんね。
こちらはトーネット社製の昔のオフィスチェア。
デスクチェアとして、6500番台のモデルコードが割り振られたモデルになります。
1904年当時のカタログに、既にレギュラーモデルとされていますので、デビューは19世紀末ごろでしょう。
※下記エキストラフォトのカタログ抜粋ご参照。
カタログ上では、板座で背当てのないベーシックモデルが掲載されていますが、
こちらはクッション座面に背当てが設置されたバリエーションモデル。
当時、イージーオーダーができたモデルと思います。
またトーネットの回転椅子は、ベーシックモデルは回転させると座面の高さが伸縮しますが、
こちらは回転しても座面の高さは上下しません。
これは簡単なようで回転軸の仕組みとしては意外に難しい構造で、当時の高級モデルであることがわかります。
※リクライニングは致しません。
また、カタログモデルにはキャスターがついていますが、こちらにはついていません。
これも選べるオプションだったのでしょう。
※デニムのアンティークキャスターをつけることは可能です。
取り付けられていた痕跡もないので、もともとキャスターがつけられていなかったところを見ると、
家庭で使われていたデスクチェアだったものかもしれません。
20世紀初頭に、自宅でデスクチェアを使う家柄、ってどんなレベルの家庭か、
大体想像はつきますよね。
・・ただでさえ出会うことの少ない、アンティークのベントウッド・レボルビングチェア。
その中でも、オリジナル・トーネット社製であり、かつ数少ないソリッドマホガニー製であり、
さらには、ベントウッドメーカーでありながら、ベントウッドの技術を使用していない、唯一無二のモデルです。
そのうえ、完全オリジナルコンディションで、コンディションも極上と来ています。
デザインだって、世界で初めて家具の量産化を実現したミヒャエルトーネットのオリジナルデザインを継承し、
19世紀末に起こったオフィス需要と、当時のデザイントレンド=アールヌーヴォー様式の影響下で生み出された正統デザイン。
これ以上のクラシックトーネットはあり得るでしょうか。
おそらく筆者が生きている間には、もう二度と同じモデルを目にすることはないでしょう・・。
まさに次代へ引き継いでいくべき、”世界の名作椅子”と思います。
スーパーアンティーク、THONET Nr6551をぜひ、真のトーネットファンに・・。
(Buyer/YM)
価格(税込):
108,000
円
参考市場価格:
105,000
円
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LOCKON CO.,LTD.