タイガーオーク ボビンレッグチルトアップテーブル

イギリス1920年代に製作された、珍しいチルトアップ式オケージョナルテーブルです。
オークの質感がとても素晴らしい逸品です。
・・家具の中でも、テーブルはもっとも古くから存在する家具の一つ。
しかも多くの家具デザイナーたちが、その長い歴史の中で
研究に研究を重ねてきていますから、その種類の多さは家具の中でも群を抜いています。
特に、天板が広いほどテーブルは便利な反面、使わない時にはより邪魔な存在になる、
という特性上、使わない時の天板の収納方法に主にフォーカスされてきました。
ゲートレッグテーブルやサザーランドテーブル、バタフライテーブルなどなど・・、
いずれも家具デザイナーたちが工夫を重ねて、長い生活文化の中で生み出してきた家具たちでした。
こちらのチルティングテーブルもそんなテーブルの長い歴史の中で生まれた一つの産物。
天板が縦にチルトアップするチルトトップテーブルは、知られている範囲では、
18世紀のジョージアンの時代に“トーマス・チッペンデール”がサパーテーブルとして好んでデザインしていました。
しかし、チッペンデールの時代から100年以上も経過し、生活者のニーズも変わったのでしょう、
上流階級の人たちが、折りたたんだ状態でもテーブルを美しく見せられるようにしてほしい、と考えた一方で、
一般の市民たちは使用する上での実利を求めました。
折りたたんだ時の美しさよりも、省スペースでであってほしい。
そして使うときにはしっかりとした強度があってほしい。
社会の中心が一般の市民たちに移行するようになり、
今では完全なフォールディングテーブル(折りたたみテーブル)が主流になってしまいました。
折り畳み脚をつけて、使わない時にはバックヤードにしまって起きやすいように、と。
そうして21世紀の今、もはや現代のテーブルはインテリアともいえないほどに「道具化」してしまいました。
時代が求めたニーズ、とはいえ、家具を研究すればするほど、ちょっと寂しい気分になります。
余談が長くなりましたが、、こちらは装飾性を求めた時代から実利性を求めた時代に移り変わる途中、
過渡期に作られたテーブルになります。
自立型のチルトテーブルという18世紀のサパーテーブルのような構造で、インテリア性を維持する一方、
ゲートレッグに近い「十字」に開閉する脚と組み合わせることで、実用的な強度も確保しています。
ごく一時期にしか作られなかったタイプのようなので、
英国アンティークのファンの方でも、実際にご覧になったことのある方は少ないのでは、と思います。
こちらのテーブルは構造的に高い精度が必要で、また素材も変形の少ない良材を選ぶ必要があるため、
商業的にあまりメリットがなく、それゆえ多くは作られなかったのでは、と推測しています。
逆に言えば、家具がインテリアとしての価値を持ちながら、実用性も高いレベルにある、という
テーブルの究極のカタチがこちらのテーブル、ということができるかもしれません。
華やかなサーペンタイン(波型)のトップを持つ天板には、良質なオーク材の証し、
見事な虎斑杢(とらふもく。トラ柄の杢目)をデザインとしてあしらい、テーブルイメージに彩りを添えています。
デザインベースは、英国伝統の17世紀バロック様式。
アールデコの時代に作られたとは思えない本格的なもので、見事なボビン仕上げです。
一切の変形を見せない総無垢の躯体と、永い間大切に扱われてきたことを示す“ゴールデンオーク”の木肌が
このテーブルの「格」を明らかに物語っています。
家具が日用品化し続ける時代の流れを考えれば、
もはや将来にわたって二度と作られることの無いテーブルと思います。
本物を知るアンティーク上級者の方にぜひ受け継いでいっていただきたい逸品です・・。
(Buyer/YM)
価格(税込):
108,000
円
参考市場価格:
105,000
円
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LOCKON CO.,LTD.