ウィリアム4世William IV ギロースタイルマホガニーチェア


今から何と200年近く前!、19世紀前半、イギリス・ウィリアム4世の時代に製作された高級サロン(客間)チェアです。

※こちらのチェアは4脚セットで入荷いたしました。

何と愛らしい・・。
リージェンシースタイルの流れを組む、“ウィリアム4世WilliamW”の時代(1830-1837)の芸術品です。
筆者が好きなチェア、3指に入るアンティークです。

背もたれの両サイドには、ぱあっと、華やかなリーフのオーナメントを持ち、
座る人のお顔の両側を優雅に彩るこのチェアは、椅子が単に「椅子としての美しさ」を求めているだけではなく、
「座る人が美しく見えること」をも重要な使命としていることがわかります。

つまり、階級社会だったイギリスで、貴族が座るにふさわしい椅子か否か、
ということが重要だった時代に作られた椅子、ということですね。
インテリアとか、プロダクトデザインとか、そんな現代的な概念が生まれる、はるか昔のことです。

ところで、あまり出てこない時代のチェアですので簡単に解説させていただきますが、
ウィリアム4世は1830年から1837年のわずか7年間君臨した、イギリス・ハノーヴァー朝第5代君主になります。

ちなみに第6代君主は、かの“クイーン・ヴィクトリアQueen Victoria”で、
ヴィクトリア女王(1837〜1901)はウィリアム4世の姪にあたります。
ヴィクトリアン様式の家具は頻繁に当サイトでご紹介させていただいておりますので、もう、ご存知ですよね。

また、前の時代の第4代君主は“ジョージ4世George W”(1820〜1830)で、
彼は皇太子時代から“リージェント(摂政)”として政務を担当していたことで、
彼の時代は“リージェンシー”と呼ばれています。

その時代のデザイン、リージェンシースタイルの家具も後年のリプロダクション(復刻家具)として、
ヴィクトリアンの家具同様、比較的多く見られますよね。

そんなヴィクトリアンとリージェンシーの時代に挟まれた、短命な時代ですので、
短期間が故、デザイン様式としては産出された家具も少数で、家具史的には地味な印象になってしまっておりますが、
それでも、英国家具の歴史上では(文献上ですけど)、重要な時代だったようです。

すなわち、そのひとつには、ウィリアム4世の時代は前近代的な(手工業としての)家具産業が
その規模、技術力ともにピークを迎えていた時代であったこと、があげられています。

英国家具の「黄金期」と言えば、あのトーマス・チッペンデールたちが活躍した、
“ジョージ3世George V”(1760〜1820)の時代を指しますが、それは言ってみれば「発展期」。

職人の技術水準が向上し、産業として「成熟期」に入ったのはウィリアム4世の時代だったようです。
何でも、熟練した家具職人が何と数千人規模!で存在していたとのことで、
家具産業が当時、最先端の“基幹”産業だったことが想像されます。

要するにウィリアム4世の時代は、人類史上、「手作業」の技術レベルが最も進んでいた時代、と言って良いでしょう。

またウィリアム4世の時代の家具が重要である2つ目の理由として、
その時代に作られた家具が「最後の古典主義」様式の家具、と言われていることです。

次のヴィクトリアンの時代には、後に家具の大量生産が始まり、
家具は一部で近代的な「工業製品」に成り下がってしまいました。
ヴィクトリアンの家具デザイン自体も、過去の様式を折衷した、独自性の低いものであったことも挙げられています。
(決してレベルが低いと言っているわけではございません。念のため。)

つまり、先に述べたような、椅子が「権威」をあらわしていたり、と家具がまだ庶民には手の届かない、
富裕層の贅沢品だったのはこのウィリアム4世の時代が最後だったのです。

もちろん、デザイン性だけではなく、今では入手できないような銘木が使われていたり、
高い技術を持った「匠」でなければ製作できないような造形を伴っていたり、と
本当の意味での「前時代的な家具」も、この時代以前のものにほぼ集約されています。

従って、年式に偽りさえなければ、ウィリアム4世時代以前のアンティーク家具は、
全て歴史的な骨董品、あるいは「過去の文化遺産」と断言しても過言ではありません。

話がちょっと横道にそれてしまいましたが、・・このチェアのデザインは、いわゆる“リージェンシー”(摂政)スタイル、
それも“オールドフレンチ”と呼ばれる、フランス“ルイ14世”様式の流れを組む正統なもので
伝統家具としての血統、製作者の主張、マニュファクチャーの水準、素材の等級・・、等
その全てが最高位に位置づけられるものです。

そして、2世紀近くもの間、大切に受け継がれてきた椅子です。

尚、こちらのチェアは英国の現地ディーラー情報によれば、かの最高級アンティークブランド、
”ギローGillow”社製ではないかということです。

ただ、刻印やメーカープレートなどは確認できないため、あくまでご参考までの情報です。
それよりも、デニムが気になったのはこちらのマホガニー材。
この深いダークレッド・・キューバンマホガニーでは?

中米産スパニッシュマホガニーの中でも最も人気の高いキューバ産マホガニー。
ジャマイカンウッドと双璧をなす稀代の銘木です。

ただし、これもあくまでデニム独自の見立てです。
ご参考まで。

いずれにしても、このようなチェアをデニムがお勧めできない理由はどこにあるでしょうか?

間違いなく、文化遺産級のお品が4脚セット。
次の世代へと引き継いでいっていただけるのはどなたでしょうか・・。

(Buyer/YM)



価格(税込): 54,000 円
参考市場価格: 52,500 円
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