スーパークオリティ ヴィクトリアンウォルナットジュエリーボックス


今から1世紀半ほど前、イギリス19世紀半ば、ヴィクトリア女王の時代に製作された、
ジュエリーボックス/アクセサリーケースです。

この重厚感・・。

産業革命から2度の世界大戦を経て、ITが世界史を変えようとしている現代。
約150年もの間、そんな歴史の大波の中で揺られてきた、時代の積み重ねを感じさせる風格です。

でも、不自然なほど「自然」に存在していることに、ちょっとした違和感を覚えます。

だって、1.5世紀前の木製品が、何事もなかったかのように普通に使えるというのは、
よく考えてみればあり得ないこと。

確かに、当時のアクセサリーケースといえば、文字通り”ジュエリーボックス”(宝石箱)でしょうから、
間違いなく大切に扱われてきたのでしょう、状態が良いのも合点がいきます。

それに宝石箱を持てる身分といえば貴族階級でしょうから、お抱えの家具職人くらいはいたに違いありません。
まめにお手入れはされていた可能性もあるでしょう。

しかしそれ以前に、ケース自体の素材品質が高くなければ、100年以上も状態を維持することはかないません。

素材は、主材としてはウォルナット。
しかし見たこともないようなバール杢ウォルナットで全面化粧張りされています。
近現代で知られるバール杢とは全く印象が違いますが、確かにウォルナット材のようです。

ベース材は内装からするとマホガニーの無垢ベースと思われます。
さらに内面の木口にはローズウッドと思われる化粧材が張られています。

いずれもアンティークの時代ならではの銘木級の材料が使用され、
今では考えられないほどの贅沢仕様となっています。

製作技術も非常に高く、化粧張りでさえも、張られた化粧張りが浮いてくる「浮き」などは
150年経った今でもほとんど見られません。

また後述いたしますが、非常に複雑なからくり構造を持ちながら、上蓋と下箱との突合せ誤差は、何と小数点以下!!
1ミリ以下です。

要するにほとんどずれることなく、今なお、ぴったりと蓋が閉まる、というのは驚異的な精度です。
奇跡的、と言い換えても良いかもしれません。

この一切の狂いを見せないフォルムの精度や、剥離一つ見せない化粧張りの品質を見るにつけ、
素材や扱いの良さだけで、カタチあるものがあるがままの姿で残っているとは、
ちょっとにわかには信じられないですね。

命あるものには必ず寿命がありますし、カタチあるものはいつかは失われます。
それでは、その「いつか」って、この箱にとってはいつ?

もしかすると、長い歴史の中で、何回もレストアが入っているのかもしれませんが、
きっとこのようなアンティークには、保存に良い条件が偶然いくつも重なり、
ある意味では、本当に「幸運」に生き残ってきた、というのが真相なのではないでしょうか。

・・というのが、こちらのアンティークの率直な感想。

私感はさておいても、150年前の時代を反映する「宝石箱」を、
ダイレクトに知ることのできる幸運を、こうして享受できていることは、紛れもない事実です。

バール杢独特の”バーズアイ”ような美しい鳥眼杢には、
鮮やかなマザーオブのパールのアクセントをインレイ(象嵌)として描写。
「盾型」のマザーオブパールインレイは、あたかもイギリス王族の紋章のようにさえ見えます。

蓋を開けると鮮やかなブルーのチンチラベルベットが正面に現れます。
風化してしまっているとはいえ、ベルベット、レザー、ゴールドラインのコンビネーションは、今なお豪華。

このベルベットクッションは隠し蓋にもなっていて、外すと中にはレザーウォレットのようなポケットが現れます。
例えば、紙幣なども収められるでしょうし、プライベートな手紙や写真、といった薄物の収納にはちょうど良いスペースです。
ベルベットクッションの裏面はミラーにもなっていて、一体何の用途に使われていたのか、ちょっと気になるところです。

手前のトレーには、大小、深浅、さまざまに細かく仕切られた小部屋が設けられ、
ロング&ショートネックレス、ピアスやイアリング、指輪など、
様々なアクセサリーがあふれんばかりに収められていた状況が目に浮かびます。

さらに中と左側に設置されたボタンを押すと、ぽん、と勢いよくシークレットドロワーが飛び出します。
今なお現役で機能し続ける、その状態の良さにも驚きますが、これほどの機能家具が150年前、
すでに設計されていたことに、何とも、言葉がありません。
※仕掛けの要領は動画に収めております。
 下記サイズコメント欄をご参照ください。


尚、手前に飛び出るトレーにはブルーサテンのクッションが張られていて、
こちらはアクセサリーを収納する場所だったのでしょう。

とすれば上段の小部屋がいっぱいあるスペースの方は化粧品などを入れるスペースだったのでしょうか。
そういえば、ベルベットクッションの裏側にはミラーもありますし。

まあ、使用用途はともかく、収納スペースは2段トレー式なので、容量はたっぷりあります。

もちろんこちらのボックスはキーロックの付いたシークレットボックス。
盗られてはならないものが満載だった、ということでしょう。

製作されたのは、家具の量産化が始まるビクトリアン中盤の時代。
ハンドメイド家具の技術水準が英国の歴史の中でもピークを迎えた時代です。

近代家具の工業生産が始まる以前の、数少ない木製品の一つが、
こうしてフルオリジナルの状態で残っているわけですから、これは、本当に「幸運」というよりも「奇跡」に近いことですね。

紛れもなく“スーパープレミアム・アンティーク”の一つと言ってよいでしょう。

素材・品質だけでなく歴史的背景から考慮しても、間違いなく価値ある逸品。
アンティーク上級者の方には、ぜひお見逃しなきよう・・。

(Buyer/YM)



価格(税込): 192,240 円
参考市場価格: 186,900 円
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