Near Laxey the Isle of Man / Water Colour

今から100年以上前、イギリスで制作されたアンティーク絵画です。
小ぶりなギルティング(金箔)フレームに入った、オリジナルの水彩骨董画になります。
こちらはデニムがイギリス・ノッティンガムの絵画ディーラーより輸入したものになります。
出所情報はイギリス人コレクターのプライベートコレクション、ということです。
作家はイギリスの風景画家、” モード・ホリヤー ” Maud Hollyer(1867-1910)。
ヴィクトリアンぺインターとして有名な女性アーティストになります。
作品表面の左下に彼女のサインが確認できます。
また背面には彼女の直筆サインと思われる製作年と作品のタイトルも確認できます。
"Near Laxey" I-O-M 1902とあります。
モード・ホリヤーは、水彩による風景画で、多くの作品を残しているアーティスト。
彼女の作品を色々チェックしてみましたが、どれもパステルな色の調子がとてもかわいらしいです。
そんな女性らしい描写が人気なのでしょう、近年のアートオークションでも取引実績は多いですし、
ディーラー情報では、カナダやアメリカでも、探しているコレクターがいるということ。
確かに現代のカントリーアンティークなインテリアにはぴったりと思います。
人気が高いのもうなずけますね。
特に彩りが華やかで人気のあった作品は、アートプリントとして複製もされています。
名前よりも作品の方が知られているアーティストなのかもしれませんね。
ちなみに彼女のオリジナルオイルペイントは、作品にもよりますが、
イギリス現地でおおよそ300ポンド以上で取引されているように思われます。
※現在1ポンド=約140〜150円くらいです。
一般的に見て、水彩画の中では相場が高いクラスかと思います。
独特の色使いで、優しく幻想的な描写が、コレクターの間で人気を博しているのでしょう。
まだまだ相場は上がっていくのかもかもしれません。
ところで、彼女自身、ぺインターとして名の知れたアーティストではありますが、
彼女には10人の兄弟がいて、そのいずれもが専門分野の芸術家、とのこと。
中でもエヴァEva、グレゴリーGregory、エディスEdith de Chair、オリーブ ・クリフOlive Cliffeの4人は
ぺインターとして名を馳せていて、特にエヴァ・ホリヤーEva Hollyer(1865 - 1943)といえば、
イギリスのヴィクトリアンアートに精通している方でしたら、知らない人はいないほどに有名です。
父親もランドスケープぺインターとして名が知れていた、ウィリアム・ホリヤーWilliam Perring Hollyer( 1834-1922 )。
要するに芸術一家、というわけですね。
彼女は良く知られた画家ですので、彼女の略歴はそれほど苦労せず入手できました。
ですので、彼女がこちらの作品を創作していた時の環境が、少しは想像できるかもしれません。
彼女の略歴によれば、モード・ホリヤーは、1898年以降、イギリス・マン島に移り住んでいた、ということです。
ただ、マン島の中でも、いろいろと生活の場は転々としていたようで、たまたま見た情報では、
1902年はマン島の中東部オンティエンOnchan、1903年にはマン島の首都ダグラスDouglasで暮らしていたと記録がありました。
”1902”と記されたこちらの作品は、オンティエンに住んでいたころの作品、ということになります。
といってもオンティエンの街は、首都ダグラスの北、それほど離れていない立地で、
比較的暮らし向きの良い都会的な街。
もともと芸術一家で裕福な家柄だったでしょうから、
住みやすい場所でストレスなく創作活動に取り組めていたのではないでしょうか。
そうした環境の中、描かれたのが、こちらの「マン島・ラクシーにて"Near Laxey" I-O-M (=the Isle of Man)」。
個人的な見解としては、こちらの作品には、とてもピュアな印象を受けました。
テクニックに走るわけではなく、名を上げようとする野心的な感じもありません。
ただ、ただ、美しい景色を美しく、感じるままに、という純粋な姿勢で描き上げた作品のように思います。
ラクシーとは、住んでいたオンティエンの街からさらに北に進んだ海沿いの小さな村。
ダグラスに比べれば、かなりカントリーサイドの田舎町ということになりますが、
写真で見る限りでは、街並みもきれいで景色もきれい、マン島の中でもちょっとした観光地のようです。
尚、同時期(1902-03)、彼女はリヴァプールのウォーカー・アート・ギャラリーthe Walker Art Gallery in Liverpoolに
作品が展示されています。
ウォーカーアートギャラリーといえば、巨匠レンブラントなどの作品も所蔵しているナショナルギャラリー。
ロンドン以外では最大の美術館です。
アーティストとしては、最高の栄誉だったことでしょう。
まさにこの作品を描いていたころ、彼女のアーティストとしての人生には最盛期が訪れていました。
しかしそれから8年後、多くの情報では彼女は1910年没とされています。
ということは43歳の若さでこの世を去ったことになります。
アーティストとして全盛期を迎えたばかりだったのに・・あまりにも早すぎる人生の終幕が訪れています。
しかし、たまたま見た洋書では、1970年没とされていました。
その差60年!?
どういうこと?
でも、よくよく洋書の情報の内容を見ると、1970の方がどうも正しそう・・。
どこかで誰かが70を10と見間違えて、それが広まってしまったに思います。
その情報には、姉のエヴァは1943年に没していますが、その時、妹のモードは
姉のエヴァをみとったとされているからです。
とはいっても、1970年没とすれば享年は103歳ということになります。
う〜ん。
どちらにしても、1910年以降の作品が見つかれば、すべてが明らかになるわけですよね。
いつかまた、彼女の作品に出合える日を楽しみに待つことにいたしましょう・・。
(Buyer/YM)
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