和骨董WA-COTTOO TAISHO-ROMANスタイル ドクターチェア

デニムの和骨董企画パートU、大正ロマンTAISHO-ROMAN編の商品です。
こちらは骨董ファンのお客様より入手しましたメイドインジャパンのデスクチェアです。
昭和初期から中期のものということで入荷してきました。
半世紀〜1世紀近く前に作られたもの、ということになります。
こちらのような「回転椅子」がヨーロッパで流行し始めたのは19世紀末から20世紀初めごろ。
日本でいえば明治末期から大正にかけてでしょうか。
確かに「昭和レトロ」というよりも「大正ロマン」といった感じですね。
しかしながら、実際にこのようなモダンな回転椅子が日本の庶民の間にまで普及したのは、
昭和の初めから中期にかけて。
つまり当時の日本は、「家具の流行」(「文化」と言い換えても良いかもしれません。)が
時代の先端から20年くらい遅れていた、ということなのでしょうね。
ちなみに、1980年代から90年代、
中国は(国民の生活水準が)「20年くらい前の日本」程度と言われていました。
今では、世界第二の経済大国として、当時とは比べ物にならないくらい、豊かに発展していますが、
今から100年ほど前には、ちょうど、20年くらい前の日本人が中国を見ているように、
西洋人たちの目には、日本の文化が遅れているように映ったのではないかと思います。
正直なところ、筆者も認めざるを得ませんでした。
当時の日本の木工家具は、世界的に見て遅れていた、と。
そもそも、日本は「置き家具」をあまり置かない生活文化だったこともあると思いますが、
ヨーロッパには数百年前の家具がゴロゴロと残っているのに対し、
日本にはどれほどの骨董家具が残っているでしょう。
一部の収納家具、例えば桐箪笥などは世界的にも知られていて、大切に保存されていたりもしますが、
例えば「ちゃぶ台」。
ちゃぶ台はそれほど古い歴史を持つものではなく、明治終わりごろから作られたもののようですが、
国民的な家具だったわりに、古いちゃぶ台はほとんど残っていないと思いませんか?
今、古道具屋さんで見かけるちゃぶ台は、ほとんどがせいぜい戦後間もない時期のもの。
比較的新しいものが多いです。
その理由としては、まあ、いろいろ不可避な状況もあったものとは思いますが、
最大の理由は・・残しておくに値しなかった、ということだったのではないでしょうか。
要するに、壊れるまで使い続け、壊れたらしかたなく捨てる、というある意味では日本の美徳観ですが、
だからそもそも、それほど手間暇かけて作らない、という日本的な合理思考が、
永く残せない日本のちゃぶ台を多く生み出してしまったのではないかと思います。
実際、デニムが見てきたちゃぶ台も、その多くが家を作るついでに
大工さんが作っているようなちゃぶ台が多かったです。
素材には柔らかい針葉樹が主に使われ、直して使い続ける、という長期使用を考えて設計していないので、
これを直すくらいなら新しく買った方が良い、と多くの方が苦渋の決断を下す如く、
デニムでも修理を断念してしまうことも多々ありました。
しかしケヤキやカシ、ミズナラやスギなどで作られた、数少ない優良な純・日本家具は後世まで残すべき。
どんなことがあっても再生し、後世にまで伝えなければなりません。
こちらのような回転椅子もしかり。
見てください、こちらのドクターチェアを。
1世紀近くは経過しているというのに、全く変形を見せない素材と、
そのバランスの良いデザイン、そしてプロポーション。
実に素晴らしいです。
クッション内部に使われていた座枠も、見えないのに、非常に良い材料が使われていましたので、
表に出して見せる仕様に、デニムでカスタマイズさせていただきました。
こうしておけば、現代の一般的な椅子張りやさんでも張り直せるようになりますし。
バネの入った昔のクッションチェアは、
今ではほとんどお直しの出来る椅子張り職人さんがいなくなってしまいました。
バネの入った椅子は、特殊な「土手」やバネの締めが必要になりますので、それを作れる専門の椅子張り職人さんと、
それ専用の藁や馬毛などの材料が入手できる椅子張りやさんでなければ直すことはできません。
おそらく、次のオーナー様のお近くには、それの出来る椅子張りやさんは、ない可能性の方が高いと思います。
でもこの構造に変えてしまえば、特定の椅子張りやさんだけにしか直せなかったシート構造も、
どこの家具屋さんでも張替えができるようになります。
メンテナンス性は格段に良くなりますので、おそらく、椅子の張替え費用もかなりお安くなることでしょう。
もちろん、フレーム構造自体は変えていませんので、元の張りぐるみ式の座面に戻そうと思えば戻すことができます。
可逆性であることは、デニムのメンテナンスのポイントの一つです。
そうして時代に合わせ、見事に再生された日本のかつてのオフィスチェア。
昭和の中期、と言えは半世紀ほど前ですから1940〜50年代です。
このころのアメリカの、ヴィンテージオフィスチェアと比べてみてください。
全く遜色なく、既に同等、いやつくりのきめの細かさでは勝っているのではないかと思います。
もちろん、量産品の回転軸などの金物には追い付いていない部分もありますが、
明治以来、工業化を進めてきた日本のモノづくりは、
いよいよ世界レベルにまで達してきたことを示しているようです。
昭和レトロ、いや大正ロマンスタイルといった方が正しいでしょう、
とても素敵な日本式のオフィスチェアと思います。
まさに、ワールドプレミアムチェアの「無銘の名作椅子」。
そう呼んでも、きっとどなたからも異論はない、はずですよね・・。
(Buyer/YM)
価格(税込):
66,960
円
参考市場価格:
65,100
円
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LOCKON CO.,LTD.