スーパークオリティ ヴィクトリアンチェア


今から何と! 150年以上前の19世紀中盤、
ヴィクトリアン中期のイギリスで製作されたパーラーチェア(客間用の椅子)になります。

・・一体、これを家具と呼ぶべきなのでしょうか?

座るべきもの?
それとも飾るべきもの?

個人的には「美術工芸品」と紹介した方がふさわしいように思います。

“カブリオールレッグ”(獣脚)と呼ばれる、 ”S”字カーブのフロントレッグデザイン、
そしてトップレイル(肩のライン)とトップから続くレッグラインとの3次元フォルム・・。

ご覧のように実に見事な曲線でアウトラインが構成されています。

あたかも絵に描いたかのような非現実的なプロポーション。
ヴィクトリアンの高級バルーンバックチェアのイメージを、そっくりそのまま、
現実に具現化してしまったように思います。

基本的には、ヴィクトリアン当時に流行していた、
気球のようなバルーンバックフォルムを持つデザインチェアになりますが、
その作り込み技術の高さは一般的な創作椅子とは隔世の感があります。

専門的に分析してみれば、バックレストは17世紀ロココの伝統デザイン、スクロールオーナメントで構成され、
オリエンタルな「唐草文様」を思わせる、植物モチーフのモールディング(造形パーツ)をアクセントに配置。

脚元にはオールドフレンチスタイルのフットスタイルを採用するなど、
フランス・ロココ、“ルイ15世”様式をヴィクトリアン風にリ・デザインした英国伝統の古典様式といえます。

しかしながら、見てお分かりの通り、その造作のデザイン、そして製作技術については、
ほとんど芸術的ともいえるレベルに達しています。

ちょっと話は横道にそれますが、筆者はこちらのチェアを見て、ある有名な椅子を思い出しました。

19世紀後半に販売されはじめたその有名な椅子。

その椅子は、世界最大の家具メーカーを築いた、オーストリアの”トーネットTHONET”社において、
イギリス・ヴィクトリアンのバルーンバックチェアを模したベントウッドチェア(曲げ木椅子)でした。

その”No.19”と呼ばれたモデルは、背あての中に入る2つの大きなループと小さなリングが特徴で、
あたかもこちらのヴィクトリアンチェアの細かい部分を省いてデザインしたかのようで、
こちらのチェアとは、実にそっくりなアウトライン。

その、ミヒャエル・トーネットが19番目にデザインしたクラシック・トーネットチェアは、
今では生産はされてはいませんが、長く親しまれてきたデザインで、
ヨーロッパのアンティークコレクターたちの中では、今でも高い人気を集めています。

ちなみに、コレクターたちはトーネットNo19のチェアを、別名、”エンジェルバックチェア”と呼んでいます。

もしかすると、エンジェルバックチェアのマザーモデルとは、
こちらのようなヴィクトリアンチェアだったのでは・・?

今となっては真実は知る由もありませんが、間違いなく言えることは、
このようなデザイン、このような素材、このような高度なハンドワークによる実用家具など、
決して未来永劫、二度と作られることはない、ということです。

ぜひ次代へ引き継いでいただきたい、
ヘリテイジ(遺産)級のコレクティングファニチャー(収集目的の家具)です・・。

(Buyer/YM)



価格(税込): 108,000 円
参考市場価格: 105,000 円
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