SF0099 イギリス 1830年代 スーパークオリティ ウィリアム4世WilliamⅣマーケットリーローズウッドブラックレザーカウチ
サイズ | 幅 2240mm 奥行 750mm 高さ 975mm 座面高 515mm 肘掛高 840mm 座面奥行 520mm 座枠高 400mm |
アンティーク家具・照明の専門店「デニム アンティーク ファニチャー」へようこそ!当店ではチェアやテーブル、キャビネットなどのイギリス(英国)アンティーク家具やランプ、シャンデリアなどのフランスアンティーク照明を低価格と安心品質で全国へお届けしております。
Outline/商品の概要(仕入担当者からのコメント)
今から何と! 約200年前、19世紀前半、ウィリアム4世William Ⅳ時代のイギリスで製作された
マーケットリーローズウッドフレーム&フルブラックレザーの最高級ソファです。
当時の貴族家具、スーパーアンティークの”ダブルエンド・シェーズロング”になります。
・・ソファ、カウチ、デイベッド、シェーズロング、セティ、セットルetc、
皆様、これらの椅子の違いがお分かりになりますか?
正確に言える方は、まずいらっしゃらないでしょうね。
筆者にもちょっと難しいです。
というよりも、「厳密な定義などは存在していない」のが、正解でしょう。
ただ、それなりに専門家たちの間では、既定の認識があるようで・・。
いろいろと、関連の文献などを筆者なりに整理した結果では、
最初に”ソファ”という呼び名を使いはじめたのは、18世紀初めのイギリス。
このことは何種かの書籍で、全て意見は一致していましたので、
おそらく現代人がイメージする、ふかふかしたくつろげる椅子=”ソファ”とは、
300年前のイギリスから始まった、と考えて間違いないのではないかと思います。
もちろん、1700年代に突然ソファがデビューした、というわけではなくて、
似たようなタイプの椅子が収れんされていって、ある種のスタンダードなカタチを
ソファとして認知され始めたのが18世紀初めごろ、と考えるのが適当かと思います。
その「似たような椅子」の歴史をさかのぼっていくと、
古くは古代エジプトの「寝台」、すなわち ”デイベッド”にまで行き着きます。
エジプトの「寝台」は、文字通りベッドに近いもの。
支配階級の休息用に作られた小さなベッドのようなものでした。
エジプトの寝台は、古代ギリシアではさらに、もう少し広い範囲に普及していたようで、
食事と休息を兼ねた一般市民のための「細長いベンチ」のように進化していきました。
そしてその後、古代ローマでも「寝台」は受け継がれていって、
ローマの寝台は”レクタス”と呼ばれ、家具の一つとしてしっかりと認知されるようになりました。
レクタスは家庭の中の最高の家具で、横になって会食をするために使われていたようです。
それがどんな構図だったのか、使用シーンはちょっとイメージできませんが、現代の生活の中でも
お客様をもてなすために、くつろげるお部屋に高級ソファが設置されるというのは、
すでにこのころから形成されていた価値観だったのかもしれません。
そして時代は進み、ローマは東西に分裂。
それでも家具類はローマ時代のものが受け継がれ、特に東ローマ(ビザンチン)では
横臥して食事をとる生活習慣も継承、レクタスも形を変えながら使われていったそうです。
その後、イスラム勢力により、10世紀東西ローマは滅亡しますが、
この長きにわたったローマの時代に、「座る道具」としての「椅子」(チェア)はほぼその原型を確立、
背のない腰掛け(スツール)、そして背のない横長椅子(ベンチ)、などと用途に合わせたデザインとなり、
そしてローマ時代からの「寝台」は背もたれを備え、縦に長い椅子(デイベッド)に変化していきました。
ローマ以降、ヨーロッパはロマネスク、ゴシックと教会中心のデザイン様式が進みます。
生活に根付いた家具の機能性は影を潜め、もっぱら家具は王侯貴族の好みにあわされていったように思います。
転機があったのは15世紀のイタリア。
ルネッサンスにより、古代ローマが再び注目されるようになると、家具などにも自由な風が流れ込んできます。
イタリア・ルネッサンスは、ヨーロッパ各地に伝播、フランス、ドイツ、スペイン、オランダ(フランドル)、
そして、16世紀はイギリスにまで及びました。
そしてちょうどこのころ、デイベッドはフランスで”シェーズロング”、「寝椅子」として定着。
16世紀の半ばにはイギリスに紹介され、17世紀初期ごろまで、かなりイギリス国内で流行したとされています。
ちょうどこのイギリス版シェーズロングを椅子職人たちが盛んに製作していたころ、
背の高い背付き横長腰掛(ベンチ)も、イギリスでとても人気を集めていました。
そのベンチは”セットルSettle”と呼ばれ、教会のベンチに似た背もたれの高いデザインで、
ボックス(収納の付いた)横長の座が特徴でした。
このセットルが、のちにアンティーク家具で有名な”モンクスベンチ”(収納付きテーブルベンチ)に発展するのですが、
その一方、”セティ”と呼ばれる背の低い横長椅子も生まれています。
セティは1人以上が座る、横長のベンチ(腰掛)型であることだけはセットルと共通ですが、
重々しい壁のように背の高いベンチのセットルと、
背が低くて軽い、椅子をただ横に伸ばしただけに見えるセティとは、外観が全く違っていました。
このセットル、シェーズロング(デイベッド)、セティは、ほぼ、この16世紀ごろに原型が作られたことになりますが、
参考資料でイラストを見る限り、いや、説明文でもお分かりのように、当時それぞれ全く違う用途、デザインで誕生しています。
これは筆者の推測ですが、誕生当時はこれだけ特徴に差があったわけですから、はっきりとそれぞれ定義があったように思います。
それがなぜ現代では、どれがシェーズロングでセティ?と、境界があいまいになってしまったのか?
そのきっかけは、15~16世紀の大航海時代にありました。
東インド会社を代表とするヨーロッパの東西貿易は、「産業革命」をも誘発することになった重大な出来事でしたが、
イギリスの家具業界にも大きな影響を与えたのです。
それは家具職人たちに、「籐」や上質な「布地(素材)」、「革」などの物資を供給したことです。
このことで、椅子の機能性には現代にまで続く「革命」をもたらしました。
いうまでもなく、それは「座り心地の良さ」。
17世紀以降、高価な椅子にはもれなく、籐張り、生地張りなどがされるようになり、
特にシェーズロング(デイベッド)、セティには最適な仕様だったのです。
これでお分かりいただけましたよね。
そうです、横長の背付き腰掛だったセティと、縦長の寝椅子だったシェーズロングが
「座り心地の良さ」を目指した中で結びついたのです。
このことで、セティのように背付きの横長の腰掛としても利用できながら、
横長を縦使いすればデイベッドとしても使える。
バージョンアップしたシェーズロングが生まれました。
これが現代の”シェーズロング”のルーツです。
しかし、このシェーズロングは、もともと一人掛けの寝椅子。
一人で寝そべるには都合の良い椅子なのですが、セティのように2人が並んで座るには、
アームレストのない(足をのばす)側はどうも居心地が悪い。
そもそもセティは2人以上が掛けられるように横長になっていたわけですから、
そこで今度は、セティにも使えるシェーズロングから、シェーズロングにも使えるセティが必然的に生まれました。
・・それが、それこそがこちらのソファ、”ダブルエンド・シェーズロング”なのです。
↓以下、お客様担当のコメント欄に続きます。
(Buyer/YM)
Condition/商品の状態(修理担当職人からのコメント)
1830年代に製作された、当時の最高級アンティークカウチです。
フレームの素材には高級家具材の代名詞、「木の宝石」ローズウッド。
それも無垢材が使用された贅沢な造りです。
両サイドとトップレイル中央には、”マーケットリー(絵画調象嵌)”のパネルがアクセントに装飾され、
すっきりとしたフォルムに奥行きの深さを感じます。
日本的に言えば、「寄木細工」かと思いますが、こちらも「縞杢」の木地である点から見ると、
素材色で色味を切り替えられたローズウッドによるインレイワークかと思われます。
アンティークカウチの中にあってもトップクラスにランキングされるお品です。
さて入荷時のコンディションに関しまして、ほぼ200年の歳月を経過している実用家具ですから、
相当な修復作業をする覚悟はしていましたが、意外にも、全体的なコンディションとしては、
それほど悪くはない状態でした。
たださすがに特別に手を入れる必要が2点ほどありました。
ひとつは、張地の交換。
もともとの張地(黒革)については、片側だけが擦り切れた状態でした。
部分的なもので、他の部分はまだ悪くはない状態だったので、不具合箇所のみ交換できれば良かったのですが、
構造的にそうはいかず、総交換とさせていただきました。
肘下には収納できるクッションがついていましたが、こちらについても悪い状態ではありませんでしたが、
おそらく黒革の前の張地と思われるマスタード色のジャガードでしたので、ちょっと違和感が・・。
こちらも同じ黒革にすっきりと張替えさせていただくことといたしました。
二つ目は4本脚の再生。
さすがつくりの良い家具だけあって、基本構造はとてもしっかりとした状態でしたが、
脚には特別な加工が施されていました。
ひとつは脚の付け根でカットされ、つけ外しができるようになっていたこと。
確かに便利は便利で、現代家具のようにスクリュービスが脚側に埋めこまれていたので、
脚をくるくる回すだけで、つけたり外したりできるようになっていました。
しかし、プロの方ならご想像のとおり!
ピタッと元通りまっすぐに、脚がつけ外しできるようにスクリュービス式に変換するなんて、
おそらく世界でも数人いるかいないかの、匠クラスの達人でなければ、そんなことできるはずはありません。
案の定、水平、垂直、センター合わせ、そしてスクリューの回転数が微妙に狂ってしまっていたために、
脚がまっすぐ取り付けられず、曲がった状態になっていました。
しかし、さすがにつくりの良い家具なので、曲がっていた脚でもしっかりと実用強度はキープしていたのですが、
いかんせん、見た目が悪い。
外せるのはこれはこれで便利だったのですが、残念ながらオリジナル通り、足は固定式に、
まっすぐに、つけ戻すことにいたしました。
また、脚をつけ外し式にしたことが影響したためか、それとも、使い勝手を考慮されたせいであるためか、
脚先がカットされているようにみえました。
デニムは「修理屋」ではなく「修復士」ですので、「機能的に問題なければ良い」という基準で修復は行いません。
「正しい価値であるどうか」が修復の判断基準となります。
この場合、どうも脚のデザインに違和感があったので、まずオリジナルのデザインを調べてみることにいたしました。
イギリスの古典様式の家具は、調べればオリジナルのデザインがどんなものであるか、知ることができます。
200年前、ウィリアム4世の時代の椅子もまた、当時、流行していた基準デザインというものがあります。
調べてみた結果、この時代の脚は「先細り脚」に先細りのカップが付いた「ソケット式キャスター」が流行していました。
入荷時の脚先に、ソケットキャスターをつけたイメージをしてみると・・なるほど、ぴったりのレッグフォルムでした。
つまり、やはり前オーナーは何らかの理由で脚先をカットした可能性が非常に高いです。
その理由として考えられるのは・・。
200年前のカウチは、現代の”カウチソファ”とはイメージが少し違っていて、セティに近い。
つまり座面高が普通の椅子と変わらないくらいあったので、現代的に低座にするため脚先をカットした、という理由。
あるいは、脚を取り外し式にしたために、カタツキが出るようになってしまい、
脚先をカットすることで単に切りそろえたものか。
いずれにしても、「修理屋」さんならば、脚先がカットされていた方が都合が良いので、このままにしておくのでしょうけど、
「修復士」であるデニムでは、”オリジナルデザイン”という「価値」を元通りに戻さなければ、納得はできません!
だって、普通の椅子から生まれたカウチは、初期のころのものは座面高が高くて当然ですし、それが理由で、
”オットマン”や”フットスツール”などという「脚置き」が生まれた。
こういう歴史的価値があってこそ、の高級アンティークなわけですから、何とかオリジナルデザインに戻すことにいたします。
修復士としての「価値を元に戻す」というポリシーを何とかご理解くださいね。
正直言えば、入荷時の脚の短いままにしておいた方が、実用強度も高く、使い勝手も良いでしょう。
でも、修復士ではあるとともに「家具屋」でもありますので、次のオーナーになる方が「カットしてくれ」といわれれば、
また短くカット致しますけど、ね。(笑)
さて、話が長くなりましたが、張地と4本の脚以外は、フレームのしっかりとしたかなり良いコンディションでした。
さすがローズウッド、総無垢!
狂いも少なく、フォルムはしっかりとキープされています。
硬い素材のせいか、彫刻の欠けなども少なく、外観面なども軽い修復で十分再生可能なコンディションでした。
色、艶、木目ともにきれいに出ていて、年代を経た独特のダークなレッドブラウンカラーとなった味のある色合いです。
もちろん塗装面には経年劣化がありますので、リフレッシュ塗装できれいにしようと思っております。
2世紀もの時間を経過したアンティークとしては、まずまずの良品、といえる状態かと思われました。
さて、再生には椅子生地を張りかえなければなりませんが、
まずレストア業務は木部補修から進めます。
先に椅子生地を張ってしまうと、最後の塗装でせっかくの生地を汚してしまう場合がありますからね。
ということで、メンテナンスはさらに塗装の前工程、木部の構造補強から始めました。
特に目立ったガタつきやぐらつきはありませんでしたが、古い椅子ですので、
念のため、構造ジョイント部の締め直しは行っておきました。
これからも長く安心してお使いいただけるものと思います。
次に前述しました脚先の継ぎ足しとラウンドカップ型キャスターの設置。
これが難易度の高い作業でした。
継ぎ足し自体はそれほど難しい作業ではありませんが、強度が果たして回復できるかどうかが問題でした。
ポイントは完全に垂直につけられるかどうかにかかっています。
デザイン上、継ぐにはダボ継ぎしかできませんが、それで横ずれは防げますので、
いかに接着面の強度が保てるかどうか。
ローズウッド無垢の巨体は全体にかなり重量はありますが、それでも何百キロもあるわけではないので、
継ぎ足す材料の強度はそれほど問われません。
接着面が完全密着させられる加工性の良い材料を選ぶのが優先です。
ということで、しなりに強く粘りのあるパイン無垢を継ぐことにいたしました。
硬度的には柔らかい材料なのですが、3cmもの厚みを持たせられますので強度は十分。
何より垂直に削り合わせられやすいので、硬い材料で誤差を出してしまうよりも結果的には良さそうです。
そして、脚先の継ぎ足しの後は、脚自体の垂直の取り付け。
脚はもともと断面が斜めにカットされ、スクリュービスも受け穴も断面の中心ではなく、微妙にずれてつけられていました。
これを矯正して、まっすぐつけ外しができるようにするのは、どんな修理工房でも不可能でしょう。
おそらくオリジナルがそうだったように、足は固定式に戻さざるを得ません。
ただ、ビスには相当な強度が持たされていたので、これは抜かずにダボとして再利用いたします。
ということで、結果、脚先は垂直に取り付けることができ、カップ型キャスターの設置が可能となりました。
脚自体も100%ではありませんが、ほぼ目視上は問題のない程度に垂直に立たせることができたと思います。
強度については、座って実用強度を確認をいたしましたが、現状は問題のない程度に確保できております。
ただ、100年単位で使われるアンティーク家具で、すでに200年を経過している家具であることを考えると、
将来にわたって、保証できるかといわれれば、その限りではありません。
もちろん2~3年程度で外れてしまうようなことがあれば、無償修理で対応させていただきますので、
その点はご安心ください。
※無償修理は常識的な範囲内でご利用されることを前提としております。
また往復の輸送費については実費ご負担をお願いいたします。
さて構造補修の後は外観補修。
幸い、彫刻などの状態は2世紀もの歳月を考えればすこぶる良好、といえるものでしたので、
彫刻の再生などの成型作業は不要な状態でした。
もちろん、各所には実際に長年使用されてきた小キズ、色むらなどはありましたが、
ちょっとしたタッチアップ補修程度でかなり綺麗になったと思います。
リフレッシュ塗装については、全体に汚れ落としと表面の下地処理を兼ねて、手作業でサンディング処理をします。
これが一番大変で重要な作業。
その後、英国直輸入のオイルステインで木肌を再塗装し、ローズウッドブラウンに調色した後、
天然素材のシェラックニスでコーティング仕上げをしています。
塗装はべたっと均一に塗るのではなく、時代感は失わないようにアンティーク仕上げとしています。
経年のアンティークらしさは失われてはおりません。
”マーケットリー・インレイ”(絵画調象嵌)もきれいに出ていると思います。
塗装は現代のウレタン塗装などとは違って、水や熱に弱く、傷などもつきやすいのですが、
その反面、ワックスで1年に1回でも磨き上げていただければ、使い込まれた本革同様に、
良い風合いに育っていきます。
さて、修復のメイン、椅子生地交換です。
生地には座面はこのチェアの「格」も踏まえ、オリジナル同様、ブラック・ジェニンレザー(本革)をセレクト。
「FB0055 本革(黒) ニュースムースZ5-613」を使用しています。
しかも、これほどのカウチですので、「一枚革」にこだわらせていただきました。
フツウの方には、言われなければわからないレベルのお話ですが、同じ革張りソファでも、
一枚革と「継ぎ接ぎ革」では、その価値が大きく違ってきます。
例えば現代のソファでも、座面の中央などに2枚の革を接ぎ合せた縫いあとのある商品を見たことはありませんか?
接ぎ合せができれば、材料に無駄が出ないので、当然コストは安く抑えられます。
外観上も、気にしなければ全く安っぽさなどないのですが、
でも、プロの目から見ると、どうしても廉価版的なイメージが付きまとう。
特にこちらのような本物の古典様式のデザインで、継ぎ接ぎされていたら、いかにも「ケチりました」といった感じ。
なので、一枚革を使用することは当然としても、問題はこの2m近いサイズを賄える一枚革が入手できるかどうか、です。
そもそも革シートというものは2mほどのサイズしかありません。
しかも天然のものですから、傷や使えない部分などがあったりして全面使える、というわけではないのです。
それに革屋さんだって、1枚2枚の単位で販売しているわけではなく、面積単位での販売ですから、
実際に、その革をこのカウチに合わせてみないことには、使えるかどうかの判断すらできません。
つまり・・どうするかというと、必要数以上に革シートを買い込んで、合わせてみるしかないのです。
結果的に、使えない革が2倍ほど出ることになりました。
それでも、天然皮革ですので、よく見れば部分的に気にならない程度のシボなどのある場合もございます。
余った革も再利用ができればよいのですが、使えない状態になってしまった革シートもあるので、
かなり革代に費用が掛かってしまうことになりました。
心苦しいのですが、正直なところ、このカウチの高価な価格の中には、
そのあたりの製造コストも若干含まれておりますことをご了承くださいませ。
しかし仕上がりとしては、アンティーク上級者の方にもご納得いただける品質かと思います。
縁飾りには「CR0030 イタリア製ネイルヘッドトリム アンティーク仕上げ」をセレクトいたしました。
木部も張り地も一段と引き立ちました。
クッションにはオリジナルに使われていたコイルスプリングと馬毛は再利用させていただきました。
詰め物に使われていた綿のみ、現代ウレタンに新品交換させていただき、
古き良き往年の座り心地は維持しつつ、新装いたしました。
こちらはクッションが、別体の「まくら兼用型(?)」となっています。
アームレストの下に収められるようになっておりますので便利です。
外れ防止のため、押し込みはちょっときつめになっておりますのでご了承を。
以上、椅子張りを一新した結果、特に不具合と見られる箇所はなくなり、
全体的にほぼパーフェクトに近いコンディションとなりました。
最後に脚元にキャスターを設置して完成です。
使用しましたキャスターはイギリス・バーミンガムの老舗メーカーのリプロダクション(復刻新品)。
現代の新品といっても、ソリッド・ブラス(真鍮無垢)製で、ポリッシュ(鏡面)仕上げの高級ラインです。
古くから製作している(アンティークに実際使用されている)キャスターメーカーの商品ですので、
実際のアンティークキャスターと同様のクオリティです。
デザインも当時ものと同じ「CR0325 真鍮製ホイール ラウンドソケットキャスター 38サイズ」です。
下記オススメ商品欄をご覧になってください。
以上、これほどのカウチですので隅々まで手を尽くしました。
あとはお届け前に、塗装の完全乾燥を待って英国直輸入の天然蜜蝋ワックスで磨き上げるのみです。
デザイン・素材・構成とも、間違いなく最高級の逸品です。
担当修理職人から自信を持ってお奨めさせていただきます。
(Restorer/YM)
Impression/当店の評価(お客様担当からのコメント)
↓以下、仕入れ担当のコメント欄からの続きです。
左右非対称形のシェーズロングを両側に2つつなげて、左右対称形にしたダブルエンド・フォルム。
基本的にはシェーズロングとして、1人寝のスペースしか想定はしていませんが、左右対称のため、
アタマ側、足側の区別がつけられず、横並びに2人が座っても、どちら側にも居心地の悪さはありません。
しかも3人が横並びで座れるほどのシート幅がありますので、両側にアームレストがあっても、
全く窮屈感はなく、ゴロ寝にはとても開放的です。
このダブルエンドシェーズロングは、書籍によれば、17世紀のフランスで作られ始めた、ということです。
そしてこのダブルエンドシェーズロングは、のちに ”カウチCouch”と呼ばれるようになりました。
ちなみにカウチの語源は、フランス語の”coucher”。
「横たわるもの」という意味です。
このフランスのカウチは18世紀にはいるとイギリスに伝わります。
書斎やご婦人室などの貴族階級の邸宅でとても流行したそうです。
その流行は19世紀になっても引き続き、あとはご存知の通り、
現代まで300年以上にもわたり、世界中に普及することとなりました。
このカウチはちょうどそのころ、1830年代に作られたリアルタイムなアンティークです。
・・長文申し訳ございません。
でも、もう少しお付き合いください。
こちらのソファの品名になぜ、あえてソファといわず、”カウチ”と呼んでいるのか、
これでおおよそわかっていただけたのではないかと思います。
そう、まさにこちらのソファは、カウチの本来の姿、
ダブルエンド・シェーズロングがまだその面影を残している時代に作られたから、なのです。
現代では”カウチ”といえば、二人掛けくらいの小ぶりなゴロ寝用ソファをイメージされるのではないかと思いますが、
確かにゴロ寝用ソファ、という点では正しく伝えられてきてはいますが、カウチのルーツは、
寝転んでも足がエンドにつかないほどの「大柄な横長腰掛け」だったんですよ。
つまり、前述したとおり、「シェーズロングにも使えるセティ」が”ダブルエンドシェーズロング”であり、
そのペットネームが”カウチ”、ということだったんです。
※若干筆者の思い込みも入っていますので、念のため。
そして、この”カウチ”というネームとほぼ混同されて使われているのが”ソファ”というネーミング。
この”ソファ”という呼び名は、イギリスで18世紀初めごろから使われ始めた、ということなので、
ちょうどカウチがフランスから伝わってきたころと重なりますね。
ということは・・。
また、一説では、ソファはアラビア語の”スッファsuffa”に由来しているとのこと。
スッファとは、「床からせり上がった部分にカーペットやクッションをしてベンチのようにした場所」らしいです。
ああ、なるほど。
つまり(これはあくまで筆者の推測ですが)、大航海時代を経て、アフォルスタリー(生地張り)の椅子が大流行したわけですが、
その椅子には2系統あったんですね。
一つは今まで申し上げたセティ/シェーズロング型の4本脚タイプの椅子。
これはフランス風にカウチと呼ばれるようになりました。
そして、もう一つはセットル/ベンチのボックス脚タイプの椅子。
例えば、ボックスベンチなどを生地張りすれば、まさにアラビアのスッファのイメージだったのでしょう、
脚もののカウチに対して、箱状の椅子を張り包んだ函ものスッファを区別して、”ソファ”と呼んだのではないでしょうか。
しかし、大まかには区別できても、厳密に区別するのは難しく、また同時期に、
似たものを表す2つの外国語が存在していたために多くの人が混同して、区別なく呼ぶようになったのでしょう。
今ではその推論が正しいのか違っているのか、明らかにするのはもはやかなわないことですが、
どうもイギリス人のカウチ/ソファの使い分けを見ていると、
どうもそんな区別を無意識にしているようで、ちょっと興味深いです。
・・なんて、ほとんどソファとカウチの歴史考証に終始してしまいましたが、
最後にこちらの”カウチ”についてのご紹介です。
アンティークの植民地時代を象徴するかのような、マーケットリー(絵画調象嵌)で装飾されたローズウッド総無垢の躯体。
今では考えられないほどの贅沢な仕様です。
いずれ将来、アンティーク品でさえ、輸出入取引が禁止される可能性のある超貴重な銘木、
これほどの家具を入手できるのはもう二度とかなわないかもしれません。
そんなローズウッドの躯体には、目立った外観上のダメージもなく、今でもその美しいフォルムを狂いなく
2世紀もの間キープし続けています。
大きくスクロールバックする左右のアームレストは、”ダブルシェーズロング”に由来する歴史的なデザイン。
一方、”ペディメント”と呼ばれる流線型の笠木は、1830年代ウィリアム4世の時代を象徴するシェイピング。
トラディショナルな植物文様で飾られ、英国伝統の様式デザインを受け継いでいることがわかります。
加えて、両サイド及び、トップのセンターパネルには、カラーを切り替えたローズウッドのマーケットリーパネルを
アクセントに設置、さらにディテールとして、フルーティング(縦溝)で装飾された重厚な先細り脚が採用され、
いずれも当時流行していたウィリアム4世スタイルが象徴されています。
当デニムでも、これほどの家具なので、入念なメンテナンスを実施。
張地はもちろん全面お張替え済み。
素材には最高級ステアハイド(国産成牛)のソファ専用ソフトレザー(新品)を使用しております。
セミアリニン仕上げのジェニンレザーですので、汚れなどはつきにくい反面、
使い込めば使い込むほどに味わいが増してまいります。
そして躯体を隅々まで、天然樹脂製のシェラックニスでピカピカに磨き上げた上、
脚元にはウィリアム4世の時代に流行した、真鍮無垢製ラウンドソケットキャスターで引き締めました。
キャスターは現代のイギリス・バーミンガム製のリプロダクション(復刻新品)を使用しておりますので、
滑りはスムース、このローズウッド無垢の重量級躯体をこともなげに一人で動かすことが可能となっております。
内部の詰め物にはアンティークの馬毛とスプリングを再利用しておりますので、
アンティークらしい、ぎしっとした座り心地ではありますが、アンティークにご理解のある方でしたら、
その流線形のフォルムが織りなす極上の着座感は、
このカウチがエクステリアデザインだけの「飾り」椅子でないことをきっとご理解いただけることと思います。
大量生産家具の時代に入る前、つまり、古典の時代に生産された英国家具としては、
ここにそのプロダクトスキルの「粋」(すい)が極まっているものと思われます。
ハンドメイドの家具の究極のカタチ、と言い換えても差支えはないでしょう。
これこそまさに、家具史に埋もれた、「無銘の」家具職人による、
“スーパープレミアムチェア”とご紹介させていただきます・・。
(Sales/TJ)
※各項目の文字をクリックするとその項目の説明ページにジャンプします。
商品基本情報 | ||||
品名 | スーパークオリティ ウィリアム4世WilliamⅣマーケットリーローズウッドブラックレザーカウチ | |||
品番 |
SF0099
|
管理番号 | Lc26-19_0812 | |
販売価格(税込) | 777,600 円 | 在庫数 | 0 | |
サイズ | 幅 2240mm 奥行 750mm 高さ 975mm 座面高 515mm 肘掛高 840mm 座面奥行 520mm 座枠高 400mm | |||
送料ランク・重量 |
Fランク 送料目安:23,375円~40,645円
(沖縄 0円)
らくらく家財宅急便による配送になります。 ※ 同梱可能な複数商品の送料はご注文後に別途お見積りをご提示いたします。 | |||
商品分類 | クラス | |||
デザイン | ||||
ユース | ||||
ランク | ||||
カテゴリ |
椅子/Chair
> セティ/ソファ
無銘の椅子コレクション/Premium Chair Collection > 無銘の名作椅子 |
商品プロフィール | ||||
原産国 | イギリス | 年代 | 1830年代 | |
メーカー | デザイナー | |||
主要素材 | ||||
主要素材の材質 | ||||
主要素材の等級 | ||||
商品の無垢率 | ||||
カラー | ||||
塗装・仕上げ | ステイン・ニス・ワックス仕上げ | |||
その他素材 | ||||
その他の素材のカラー | ||||
メンテナンス状況 | ||||
コンディション | 傷の程度 | |||
目立つ傷 | ||||
交換・改造 | ||||
実用性 |
商品プロフィール | ||||
原産国 | イギリス | 年代 | 1830年代 | |
メーカー | デザイナー | |||
主要素材 | エルム | |||
主要素材の材質 | 無垢材 | |||
主要素材の等級 | S級 | |||
商品の無垢率 | 90%以上 | |||
カラー | ダーク系 | |||
塗装・仕上げ | ||||
その他素材 | 革 | |||
その他の素材のカラー | 黒系 | |||
メンテナンス状況 | フルメンテナンス | |||
コンディション | 傷の程度 | 年代なり | ||
目立つ傷 | 年代なり | |||
交換・改造 | あり | |||
実用性 | あり |
商品評価 | ||
デニムの総合評価 |
商品評価 | ||
デニムの総合評価 | S |
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