PA0082
イギリス
1870年代 Portrait of a young girl / Oil Painting
サイズ |
幅 285mm 奥行 45mm 高さ 340mm ※ 詳しいサイズは、こちら |
アンティーク家具・照明の専門店「デニム アンティーク ファニチャー」へようこそ!当店ではチェアやテーブル、キャビネットなどのイギリス(英国)アンティーク家具やランプ、シャンデリアなどのフランスアンティーク照明を低価格と安心品質で全国へお届けしております。
Outline/商品の概要(仕入担当者からのコメント)
デニムがおすすめする”アンティークインテリア”のオイルペインティング(油絵)です。
今から100年以上前の19世紀後半、おそらくイギリスで描かれたと思われる古い肖像画です。
青いターバンを巻いた「真珠の耳飾りの少女」を彷彿とさせる、
水玉のターバンを巻いた「白いドレスの少女」。
イタリア系ではないかと思われるオリエンタルな雰囲気の若い女性のポートレイト(肖像画)になります。
17世紀のオランダの巨匠、ヨハネス・フェルメールJohannes Vermeer(1632-1675)の作品を引き合いに出しましたが、
写実主義的な風俗画、という広いくくりでは共通点はあるものの、描かれた時代は違いますし、
作品の画風などにもそれほど大きな影響は感じられません。
ただ、描かれている女性のおかれているシチュエーションには、どことなく似た雰囲気があり、
つい「真珠の・・」を思い起こされてしまうものですから、引き合いに出してしまいました。
こちらの作品は、ロンドンのアンティーク絵画ディーラーよりデニムが直接入手いたしました。
こちらのディーラーはアンティークアートを専門に扱う老舗画廊で、
高価な価値ある作品のクオリティには定評があり、安心して信頼いただける入手元と思います。
そのディーラー情報によれば、前所有者情報につきましては、残念ながら不明とのことでした。
とはいっても、小振りなサイズで、あたかも美しいお花の静物画のようなインテリア性。
いかにもアンティークアートの収集家が好みそうな雰囲気の作品です。
きっとアンティークアートのコレクターが、ヨーロッパのクラシック家具にふさわしいインテリアとして所有していた
プライベートコレクションだったものと想像しております。
確かに、こちらの作品・・近年にフレームが交換されているように見え、
製作されたと思われる年代よりも新しく、見えますが、「薄っぺら」な複製画などとは次元の違う存在感。
美術品一般としても「格」の高さを感じるアンティークアートです。
購入には慎重になりがちなアンティーク絵画の肖像画ですが、こちらの絵画に関しては、
一級のアーティストによる「本物」のオーラが購入に一切の躊躇をさせませんでした。
ただし、作者につきましては不詳。
扱いディーラーによれば、19世紀のオランダ美術系、
あるいは東欧系のポートレイトぺインターによるものではないかと指摘しています。
この作品が描かれた19世紀後半といえば、イギリスで起こった産業革命が世界に浸透していったころ。
社会情勢が大きく変わっていく中で、美術の分野でも変化の波が興るのは必然といえました。
従来型のアカデミックな美術を否定する流れが起き、より理想的な描写を求めたロマン主義や、
より自然な表現を求めた写実主義、あるいはデニムでもおなじみの光の表現を追求した印象主義など、
新しい美術活動が次々に現れ、20世紀の現代美術へと受け継がれていきました。
でも、そういった美術論は大きな歴史の流れ。
サロンなどを中心とした中央でのトップエリートたちの動向を物語っているにすぎません。
実際には、19世紀はより豊かになった市民層が絵画の購買層として美術市場に登場し、
ぞうなれば当然、美術を学ぶ学生や職業画家を目指すアーティストたちのすそ野も急速に広がっていったことでしょう。
そんな状況ともなれば、商業的に成功しやすい風俗画も、数としては飛躍的に増加していたはず。
高値で売れる貴族好みの歴史画や古典美術に取り組んでいる画家もいれば、前衛美術を目指すものもいる、
そんな中で、スポンサーをつけて請負の風景画や肖像画などで生計を立てているものもいる、というように、
当時のアートマーケットは混とんとした多様化の状況だったのではないか、そんな風に想像しています。
実際、19世紀後半の作品という静物画、あるいは普通の市民を描いた肖像画を、
骨董絵画のアートオークションなどではよく見かけるように思います。
もちろん、着飾った身なりの良い貴族クラスの紳士淑女のポートレイトも相変わらず見かけますが、
お金持ちがお抱えの画家に描かせたものとはちょっと異質な、本当に普通の市民のありのままの姿のポートレイトが
現代、19世紀後半のアンティーク絵画として多く残されているように思います。
それらはヨーロッパ美術として俯瞰してみると、オリエンタルな容姿の若い女性が被写体になることが多く、
例えば、東欧系やアジア系、ラテン系の女性のポートレイトが中心。
作家の出身国も、北欧、東欧あるいはロシアと非常に幅広いです。
こちらの作品も、そんな時代背景の中、描かれた肖像画と思います。
いや、「肖像画」ではなく、”トローニーtronie”なのかも知れません。
トロニーとは、モデルとなる人物の地位や名声などを特定せずに、画家が自由に創作した人物画のこと。
先に引き合いに出したフェルメールの「真珠の・・」が、17世紀当時、まだ珍しかったトローニー様式です。
「真珠の・・」では描かれた少女がフェルメールの娘ではないかという説もありますが、
こちらの少女は果たして・・?
デニムでは高く評価しておりますが、アンティークアートの上級者様にも、
ぜひこちらの作品について、様々な評価をしていただきたいものです・・。
(Buyer/YM)
Condition/商品の状態(修理担当職人からのコメント)
19世紀後半に描かれた、作家オリジナル(肉筆)の肖像画です。
こちらは支持体(画材)がキャンバスに描かれた油彩画になります。
とてもセンスの良い写実主義のスタイル。
自然主義、とでもいった方が良いのでしょうか、
19世紀の等身大の女性をごく自然なカタチで描写しています。
きりっと引き締まった端正な顔立ち。
ナチュラルなメイク、水玉のターバンに白のコットンシャツなど、
何だか、とても現代的に映ります。
エイジレスな色合いの色彩感覚が素晴らしいですね。
作者については残念ながら不明です。
判読はできませんが、これほどの技量を持つアーティストですので、
もしかすると明らかになる可能性もないことはないのでは、と思います。
19世紀後半の絵画には、比較的似たタイプの、
”トローニー”(前項「仕入担当コメント」ご参照)のような印象を受ける作品をしばしば目にします。
もちろん技量の高いアーティストに限って言えば、無尽蔵にいるわけではないので、
その中から、もしかするとこちらの作品の作者の手がかりもあるかもしれません。
例えばロシア人画家、コンスタンチン・マコフスキーKonstantin Makovsky(1839-1915)。
Portrait of a young girl : late 19c by Konstantin Makovsky
古典的なつるん、とした肌に描くのではなく、ちょっと荒々しいラフな感じの筆致に、
ちょっと共通点を感じませんか?
ただ、画風としては違って見えますので、コンスタンチン・マコフスキーの作品ではないと思いますが、
このクラスの作家が19世紀末に、星の数ほど多く存在していたはずは絶対にありません。
そういう意味では、いつか作者が明らかに・・ということも、あながちあり得ないわけではないと思います。
この作品自体、19世紀当時のロンドンと思われるギャラリーが扱っていた作品のようですので、
当時から一定の評価も受けていたように思われますし、
間違いなく素性の正しい作品です。
そんな作品ですから、フレームについても作品に引けを取らず美しい、
フレンチロココスタイルのゴールドギルトゲッソフレームで額装されています。
細かな彫刻が施された手の込んだ一級品、
ただし、こちらについては近年交換された現代のフレームと思われます。
現代品といっても、決して安っぽいものではなく、それなりの価値を持つ高級フレームと思われます。
リフレームの際には、おそらくレストアも同時に行われていることでしょう、
全体的に年代の割にきれいなコンディション、という印象です。
1世紀以上前の作品ながら、絵画自体の劣化は若干の絵の具のヒビ程度で、
保存状態としては年代を考えればかなり良い方だと思います。
作品のクオリティ、そしてコンディションという点から考えれば、
こちらの作品はお値打ちと言えるかもしれません。
基本的にデニムでは描かれている絵画自体には手を加えておりません。
現状はほぼ入荷時オリジナルの状態です。
メンテナンスについては、デニムでは簡単なクリーンアップのみ行っております。
メンテナンスオイルによる保湿&クリーニングを行い、
真鍮粉のギルティングで若干の補色、アンティークらしさは残しつつフィニッシュしています。
真鍮粉は地色にも使われていて、基本的に金属なので、
時代とともに変わる風合いをお楽しみいただけるのではないかと思います。
お届け時にはワックスでシットリと仕上げ、よりさっぱりと小ぎれいにいたします。
背面にはオリジナルのフックをそのまま残し、新品ロープをつけております。
小振りで重量はありませんので強度は十分です。
それなりにきれいな状態でしたので、背面はクラフト張りはしておりません。
キャンバスのオリジナルの背面の状態も確認できる状態です。
作品裏面には不明瞭ですが、扱っていたギャラリーと思われるスタンプが残っています。
以上、高級骨董として、隅々までしっかりと手を尽くしました。
全体的には絵もフレームもアンティークらしい雰囲気を備えつつ、特別なご留意点もなく、
グッドコンディションといえるものと思います。
絵のクオリティも高く、骨董としてはかなり高く評価できるのではないでしょうか。
ご検討のほど、よろしくお願いいたします!
(Restorer/YM)
Impression/当店の評価(お客様担当からのコメント)
こちらの作品の作者は残念ながら不詳。
しかし、19世紀後半には同じような、等身大の女性を描いたポートレイトが、
現代のアンティークアートオークションなどで多く流通しています。
これはその当時、中央の美術界と違ったところに、その時代の社会のニーズがあった、
と考えるのが自然ではないかと思います。
要するに、中央美術界の周辺、あるいは裾野を構成する名の知れない多くの画家たちは、
そうした社会のニーズにこたえていた、と。
そのニーズは、決して裕福な男性目線の「美人画」のような作品を求めていたのではないと思います。
それは「耽美(たんび)主義」的で、美しければそれでいい、というような
芸術至上主義に近いものではなかったのかな、と思います。
今その瞬間で、男性が見ても女性が見ても、ありのままで最も美しいもの。
まだ若い女性の”トローニー”(前項「仕入担当コメント」ご参照)のようなポートレイトが、
この時代に多く見られたのには、そうした風潮があったからなのでは、と思っています。
尚、こんなことはどこの美術書にも載っていませんので・・、
あくまでイチ・アンティークファンの感想程度に読み流して下さいね。
でも、当たらずとも遠からず、と思っております。
例えば、前述したロシア人画家、コンスタンチン・マコフスキー、
あるいはイギリス人画家、ジョージ・ハーコートGeorge Harcourt (1868?1947)、
フランス人画家ディオゲ・マイヤールDiogene Ulysse Napoleon Maillart (1840?1926)、
イタリア人画家ロベルト・フェルッジRoberto Ferruzzi(1853-1916)などなど、
いずれも、19世紀を生きる当時の女性を、ありのままに描いたポートレイトぺインターです。
一般の人にはそれほど知名度はなくとも、その道を知る人にはすべて著名なアーティストです。
こちらの作品の作者も、彼らと遜色のないレベルのアーティストかと思います。
ちなみに、この時代の女性の社会的な立場といえば、
もちろん現代ほど社会進出が進んでいたわけではありませんが、
男女同権を目指す”フェミニズム”という言葉がようやく生まれた時代。
初期の活動家、フランス人・フェミニストのジョルジュ・サンドGeorge Sand(1804–1876)もまた
小説家であり、リアルな女性像を描く女流ポートレイトぺインターでもありました。
さて、長文になってしまいましたが、こちらの作品について。
陰影はそれほど強くありませんが、複雑で奥深さの感じる彩りは、
いかに被写体を自然に表現しているか、を示しているようなもの。
年齢的には10代後半くらいでしょうか。
彫りの深い目鼻立ちが、ラテン系のイタリア人女性的に映ります。
整った太い眉にはこの女性の意志の強さを感じるとともに、
女性が社会的に存在感を高めていくことを予期しているかのようです。
ほんの少しですが、この作品で垣間見れるファッションにも、
19世紀の女性のリアルな美意識を知ることができます。
襟のないコットンブラウスは、当時のもっともポピュラーなカジュアルファッション。
アクセントにもなっているネイビー地に白の水玉模様は現代にも通じるようなセンスですね。
「水玉」という模様はかなり古くからテキスタイルのパターンとして用いられてきましたが、
19世紀後半に再び人気の出たデザインパターンだったそうです。
とすれば、彼女は当時最新のファッションセンスをもった、「今どきの」少女だったと考えられそうです。
容姿からして、裕福な邸宅のお嬢様を、お抱えの画家が請負で描いた、という状況ではなさそう。
う~ん、果たして真実はいかに・・。
そしてこれほど作品のクオリティ、薄っぺらなエセ芸術家によるものでないことは明らかです。
一糸乱れぬ勢いのある筆の動き、写実的でありながら印象的な描写・・、
かなりの時間、そして労力をかけた作品だったことでしょう。
そして作家自身もきっとそれなりに名の通った人物だったことと思いますが、
そんな俗な欲求などどうでも良い、と思わせてくれる、魅力あるアンティークアートです。
ぜひ大らかなアンティークファンの方に、後世へ引き継いでいっていただきたいものです。
とても好感のもてるアンティーク・ピクチャー、
おくつろぎの空間の「お華」となさっていただければ幸いです・・。
(Sales/YM)
※各項目の文字をクリックするとその項目の説明ページにジャンプします。
商品基本情報 | ||||
品名 | Portrait of a young girl / Oil Painting | |||
品番 |
PA0082
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管理番号 | Lot15-19_0606 | |
販売価格(税込) | 79,920 円 | 在庫数 | 0 | |
サイズ |
幅 285mm 奥行 45mm 高さ 340mm ※絵のサイズは幅190mm×高さ240mmです。 | |||
送料ランク・重量 |
ゆうパック100 送料目安:1,450円~2,020円
(沖縄 2,160円)
ゆうパックによる配送になります。 ※ 同梱可能な複数商品の送料はご注文後に別途お見積りをご提示いたします。 | |||
商品分類 | クラス | |||
デザイン | ||||
ユース | ||||
ランク | ||||
カテゴリ | 装飾品/Decor > 絵画/写真/美術品 |
商品プロフィール | ||||
原産国 | イギリス | 年代 | 1870年代 | |
メーカー | デザイナー | |||
主要素材 | ||||
主要素材の材質 | ||||
主要素材の等級 | ||||
商品の無垢率 | ||||
カラー | ||||
塗装・仕上げ | ||||
その他素材 | ||||
その他の素材のカラー | ||||
メンテナンス状況 | ||||
コンディション | 傷の程度 | |||
目立つ傷 | ||||
交換・改造 | ||||
実用性 |
商品プロフィール | ||||
原産国 | イギリス | 年代 | 1870年代 | |
メーカー | デザイナー | |||
主要素材 | ||||
主要素材の材質 | 化粧材 | |||
主要素材の等級 | 1級 | |||
商品の無垢率 | 90%以上 | |||
カラー | 彩色系 | |||
塗装・仕上げ | ||||
その他素材 | 布 | |||
その他の素材のカラー | その他 | |||
メンテナンス状況 | 一部メンテナンス | |||
コンディション | 傷の程度 | 少ない | ||
目立つ傷 | 少ない | |||
交換・改造 | あり | |||
実用性 | あり |
商品評価 | ||
デニムの総合評価 |
商品評価 | ||
デニムの総合評価 | A |
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