PA0120
イギリス
1900年代 The Avenue / Oil Painting
サイズ |
幅 575mm 奥行 55mm 高さ 775mm ※ 詳しいサイズは、こちら |
アンティーク家具・照明の専門店「デニム アンティーク ファニチャー」へようこそ!当店ではチェアやテーブル、キャビネットなどのイギリス(英国)アンティーク家具やランプ、シャンデリアなどのフランスアンティーク照明を低価格と安心品質で全国へお届けしております。
Outline/商品の概要(仕入担当者からのコメント)
デニムがおすすめする”アンティークインテリア”のオイルペインティング(油絵)です。
あたかもベルギーの巨匠、”ポール・デルヴォーPaul Delvaux”(Belgium 1897-1994)の作品ように
強いパースのついた「一点透視」の「遠近法」の背景の中に、シュールな被写体を描写。
インテリア性を楽しむアンティーク絵画、というよりも、
かなりコアな美術マニアの方に鑑賞いただきたいイギリスのランドスケープです。
もちろんアンティークファンの方のご期待にも十分応えられる、
ヴィクトリアン調の額装に収められた素敵な風景画になります。
作者はイギリス人ペインター、”ジョン・ウェストールJohn Westall " (19th -20th C) 。
イギリスのカントリーシーンやタウンシーンなどで優良な作品を多く残しているアーティストです。
イギリスのアンティーク絵画に詳しい方であれば、その名を知る人も多いのではないかと思います。
ジョン・ウェストールは英国現地では、19世紀に活躍した風景画家として、広く認知されています。
彼は職業的なオイルペインターだったものと思われ、欧米のファインアートオークションでは、
アンティーク絵画として、彼の作品をいまでも相当数、目にする事が出来ます。
作品数が多いせいか、価格相場にはばらつきはありますが、いずれも取引が成立し、
19世紀の著名な人気作家の一人として数えても良さそうです。
職人コメント欄に、作品情報を掲載させていただきましたが、
おおよそイギリス・ポンドベースで£400~600ほどの見積もりがつけられています。
※現在1ポンド=約140円
いろいろな彼の作品を見てみましたが、イギリスの古典スタイルを踏襲したナチュラルな作風で、
確かにくせのない、万人に好感の持たれそうな作風ですので、
アンティークアートとして、これからもさらに評価が上がってくる可能性は十分にあると思います。
彼自身については、バイオグラフィー的な情報は入手できなかったので詳細は不明ですが、
欧米のアートサイトなどでは、19世紀のブリティッシュアーティストとして、
一般に名のあげられる、ランドスケープペインターと紹介されています。
ただ、実際に彼の作品を追っていくと、確かに風景画が多いのですが、冒頭に申し上げたように
そこには必ずと言っていいほど、強い遠近法を印象付ける作品となっています。
それも「一点透視図法」と呼ばれる、水平線上のある1点に収束する「消失点」を強調した描写を
自身の作風としているかのように思われます。
前述しましたベルギーのシュールレアリスト、デルヴォーの作品も1点の消失点に集約する背景を特徴としていますが、
デルヴォーがそのシュールな作風を、その背景の中に登場する人物や物に求めているのに対し、
こちらのウェストールの作品は、遠近法自体に、少しつじつまの合わないシュール性があります。
一見アンティークインテリアにふさわしい、イギリス画派のクラシカルな作風ながら、
芸術家としては、非常に前衛的な人物であったことがうかがえます。
こちらはイングランド南西部、サイレンセスターCirencesterのアンティーク絵画ディーラーより、
デニムが直接入手いたしました。
出所情報は不明ですが、直近では一般的なファインアートオークションなどで流通していた作品のようです。
ただ、背面には1990年にレストアされた時のラベルがしっかりと残っていることからもお分かりのように、
イギリス人コレクターのプライベートコレクションの放出品、と言うよりも、
どこか公的な施設で所蔵されていて、その施設から売りに出された、といった感じです。
それなりにサイズ感もありますので、もともとは学校や商業施設などに飾られていたものだったのかもしれません。
作品につきましては、何よりもまず、ルネサンス調のギルティングフレームがすばらしい。
ゴージャスかつ、品格あふれる印象で、公式な場でのインテリアとしてふさわしい雰囲気と思います。
その中世イギリスをほうふつとさせる”オークリーフ”デザインは、
遠望する英国ゴシック建築の教会とも相性がとても良く、作品を引き立てているようにさえも見えます。
作品につきましては、右下にサインがあり、'J. Westall, 1901 'とあります。
絵画ディーラーによれば19世紀に活躍したランドスケープペインター、
”ジョン・ウェストールJohn Westall " でほぼ間違いないであろう、ということです。
確かに他のウェストールの作風と共通点があるように思われますし、
フレームの時代的な風合いから見ても100年以上は経過しているように思われますので、
ディーラー情報は理にかなった鑑定でしょう。
ただ、ウェストールの作品の中でも、こちらは最も遠近法を強調した作品の一つ。
しかも、19世紀末ごろの制作が多い彼の作品にあって、こちらは最も後年に描かれたと思われる1901年作。
ランドスケープぺインターとして、こちらはその生涯最後に近い頃の作品、といえそうです・・。
(Buyer/YM)
Condition/商品の状態(修理担当職人からのコメント)
1901年との記載のある、作家オリジナル(肉筆)のアンティーク風景画です。
こちらは当時ものと思われる木製フレームに張られたキャンバスに描かれた油彩画になります。
ディーラーからの情報によりますと、作者はイギリス人のランドスケープペインター、
”ジョン・ウェストールJohn Westall " (19th -20th C) とのこと。
’Moonlit Winter Landscape with traveller on horse back ’
By John Westall (British)
正確な出生年が不明なので、ウェストールが何歳頃に描いたものなのかは憶測ということになってしまいますが、
1870~1890年ごろを中心に活動していた、という情報が正しければ、
こちらは、かなりアーティスト人生の終盤に制作した作品、ということになるかと思います。
のどかなイギリスの並木道の風景が、優れた描写力を持った画家によって
英国絵画らしく古典的に描かれていて、アンティークファンの方にはとても魅力的と思います。
また、こちらの作品も、彼のほかの作品に共通するような遠近法を強調した画風で、
ジョン・ウェストールの芸術観を知るのにも最適な作品かと思います。
イギリス人の風景画家としては、かなり著名な部類のオイルぺインターかと思います。
上記の写真の作品のように、1点に収束する遠近法を背景に使うのが特徴の画風です。
この「一点透視図法」の遠近法を背景に使う描写については、
シュールレアリスムの大御所、ベルギーの”ポール・デルヴォーPaul Delvaux”の作風を彷彿とさせます。
’Solitude’1955 By Paul Delvaux (1897-1994)
こちらの作品にはサインが右下にありますが、陰になった地面の上に、薄い同色系文字で不明瞭に、
” J ・Westall 1901”とぎりぎり読めるような感じです。
同じ作者の他の作品と比較しても、その19世紀のイギリス自然主義を思わせる作風から、
こちらの作品は、同一人物の作品であることは間違いないと思われます。
フレームについても、作品の「格」にしっかりと見合ったもの。
素材はギルティング(金彩)の施された天然木ベース。
ハイレリーフの植物や幾何学文様のパターンを周囲に配した、ルネッサンス調 ”Gilt Gesso Frame” です。
なかなかこれほどの一級品は目にすることはできないのでは、と思います。
さて、入荷時のコンディションですが、絵画面自体には全く問題はありませんでした。
古いオイルペイントに見られがちな微細なひび割れはありますが、それほど目立たず、発色も良好です。
作品の背面には、過去にレストアされたときのラベルが残されています。
きちんとした履歴が残されていますので、それなりに実績のあるレストアラーなのでしょう。
そもそも、正式なレストアを受けていること自体で、
こちらが価値ある作品として大切に扱われてきたことがうかがわれますね。
フレームに関しては、多少の装飾の欠け、ひび程度は見られたものの、ギルティングの状態も良かったです。
レストア時にフレームも手を入れられたのではないかと思われました。
絵画パネルとフレームの装填についても、ガタつきなど有りません。
ガタ留めの隅木が足されていて、しっかりとした状態です。
念のため、デニムでもばらした上での装填状態確認、フレーム形状の矯正などは行っています。
また、裏側上部には吊り下げ用のフックとワイヤーがついていました。
フックは丁寧にクリーニング、研磨を行い、そのまま再利用させていただきました。
ワイヤーは古くなっていましたので、チェーンに交換させていただきました。
サイズも重量もそれなりにありますが、吊り下げに不安はないと思います。
安心してご利用いただける状態です。
背面は年代なりに古びた感じでしたが、レストアラベルがありましたので
入荷時の状態を維持しています。
キャンバスの状態も確認できますので、特にクラフト紙などは張らずに、
現状にてクリーンアップさせていただきました。
フレームの装飾面に関しましては、ちょっとした欠けに硬質パテを充填し、
入り組んだ彫刻の入り隅に詰まった埃はかきだし、しっかりクリーニング致しました。
その後リタッチの必要な個所には周囲の色となじむように真鍮粉で美観を整えております。
金属粉ですので周囲同様に経年で色が少しずつ変化し、アンティークらしい味わいを増していきます。
それらの作業中は絵画面はやさしく養生をしておりますので、絵画への影響はありません。
また、描かれている絵画自体につきましては、特に塗料はがれなど鑑賞性を損なう点もありませんでしたので
基本的にデニムでは手を加えておりません。
とても雰囲気の良い、素晴らしいアンティーク絵画として、将来にわたって育てていくべき作品だと思います。
ぜひご検討のほど、よろしくお願いいたします!
(Restorer/MJ)
Impression/当店の評価(お客様担当からのコメント)
アンティークファンの方でなくても、「世界最悪のキリスト画修復」のお話、ご存知ですよね。
そう、2012年、スペイン北東部の小さな町での出来事。
ポルハBorjaという街の教会には、スペイン人画家工リアス・ガルシア・マルティネスElias Garcia Martinezが
1910年に描いたキリストのフレスコ画があるのですが、傷みがひどくなってきたことで、
この柱に描かれたキリスト画を修復することになったのです。
そこで修復を手掛けたのが、 善意のアマチュア画家だという80代の女性。
そして修復した結果、
原画の「十字架にかけられる際に、いばらの冠をかぶって悲しげに天を見上げるキリスト」の表情が、
何と! 「漫画風な目で描かれた顔色の悪いサルのようで、口はゆがんだ染みのよう」になってしまった、
という事件のことです。
この修復事件は、SNSなどを通じてスペイン国内のみならず、世界中に(国際的ジョークとして)駆け回り、
「顔色の悪いサルみたいなキリストの絵」は、日本でもテレビ各局で大きく取り上げられ、
笑えない笑い話として、巷で話題になりました。
当初、この事件は、当事者たちにとっては市の文化局が損害賠償請求を検討する、
というところまで話の進んだ深刻な問題でしたが、
現在では、逆にこの事件で「顔色の悪いサルみたいなキリストの絵」のある教会が、
年間17万入もの観光客が訪れる観光名所にまでなってしまったとか。
教会側もちゃっかり入場料を取って収入を得ていて、
マグカップやTシャツにプリントしてグッズ販売までしているということです。
つい最近では、この事件のオペラまで作られているということが二ュースになっていました。
まあ、結果オーライといったオチ、ということになるのでしょうかね。
前置きが長くなりましたが、当初、デニムではこちらの作品を見た瞬間、
実は図らずも、この「顔色の悪いサルみたいなキリストの絵」事件が脳裏を横切ってしまいました。
入荷前、現地でレストアされていたことがわかっていたので、もしかすると悪い修復士の手にかかってしまった?
などと、邪推をしてしまったのです。
それは・・この作品の遠近法が、どうも細かく見ていくとつじつまが合っていないため、です。
例えば、人影の大きさの比率があっていませんし、消失点と水平線の関係、
また遠望する教会の構図もどこか違和感のある気がしますし、
遠くに行くほどぼやけていく、という基本的な遠近法のルールをどうも無視しているような気がします。
なので、100年という歳月の経過したアンティーク絵画ということもあり、
絵画修復士が原画の上に書き足し、あるいは書き直しをして
バランスが狂ってしまったのでは、と考えてしまったのです。
しかしながら、こちらの作者、”ジョン・ウェストールJohn Westall ”は
そもそもこうした原理原則をほとんど気にせずに描いていることが、
色々な彼の作品を見ていくうちに、だんだんとわかってきました。
上記の(職人コメント欄の) ウェストールの他の作品を見ていただいてもお分かりかと思いますが、
そちらの作品も、その作品のパースに基づいて、馬、人、小屋、樹木、それぞれの本来あるべき比率を
全くといって良いほどに気にしていない風なのです。
つまりこれが彼の作風ではないか、と、だんだんと確信してきたのです。
もちろん、「仕入れのコメント」にあるように、
”ポール・デルヴォーPaul Delvaux”のシュルレアリスムを例にとるのは話が飛躍しすぎているのかもしれませんが、
そもそも、3次元の立体の景色を、2次元の平面に写し取ろうとして生まれたのが遠近法。
それを無視するということは、かなり超現実主義的=シュルレアリスムである、
といっても良いのではないかと思います。
いえ、この時代にはまだシュルレアリスムは生まれていませんから、
象徴主義、というべきですね。
もともと遠近法は、写実主義的な思想から生まれた技法。
印象派のように「感じた景色を感じるままに」描いた作品でさえも、
基本的には表現方法の違いこそあれ、どちらも「目の前に見えているものを描く」スタイルには違いがありません。
それを根本から否定し、「目に見えないものまでも描くべきだ」と主張したのが
「象徴派(象徴主義)」の芸術家たち。
象徴派は19世紀後半より広まっていった新しいスタイルで、
写実的な対象の再現を否定し、平面的で装飾的な画面構成を重視しました。
ポスト印象派とされる、フランスの巨匠、”ポール・ゴーギャンEugène Henri Paul Gauguin”(1848-1903)も
基本的には象徴派の立場にいるアーティスト。
ゴーギャンと活動した時期がほぼ重なるウェストールも、
そんな時代の潮流に影響されていたとしても、何ら不思議なことではなかったと思います。
さて、少し話が横道にそれていきましたが、こちらの作品について。
目の前に広がる古き良きイギリスの並木道、そして田園風景をえがいたランドスケープです。
ウェストールはその風景を3次元として写実的にとらえながらも、その奥行き感は
遠近法などという学問的な基準ではなく、人間の感性を基準に表現すべきだ、とでも言わんばかりに、
彼なりの主張を自身の作品に体現していったように思います。
ジョン・ウェストールは自分なりの主義主張を持った職業画家だったのでしょう。
大きな「時代のうねり」を作るほどの独自性があったわけではなかったのかもしれませんが、
間違いなく、現代の画壇を形成するその系譜の中で生きてきた作家の一人だったことと思います。
芸術家としての生涯が終わろうとしている、その最後の瞬間にまで、
時代の常識に”アンチテーゼ”をぶつける反骨精神。
そんな彼の強烈な個性=象徴主義が、
20世紀半ばのシュルレアリスムの源流の一つとなったことを否定する人は少ないでしょう。
ところで、今の時代、「偽善者」さえも主流派に感じてしまう、皆が「優等生」になってしまったような時代性。
もし、そんな「時代」のテーゼに対して反旗を翻したい、と思ったのであれば、
ウェストールの作品には時代の波にあらがって生きていけるエネルギーをもらえるのではないかと思います・・。
どうも、とりとめのない雑感になってしまいましたが、とにかく、
彩りが華やかで、明るい光に満ちている、古くからのイギリス絵画らしい素敵な風景画です。
後世へ長く、多くの方に感じていただきたい秀作だと思います。
サイズも存在感のある大きさですので、アンティークインテリアの雰囲気づくりにも、とても効果的と思います。
19世紀の素敵なランドスケープを、ぜひエントランスに、書斎に、リビングに・・。
本物を知るアンティークファンの方に、ぜひ。
(Sales/TJ)
※各項目の文字をクリックするとその項目の説明ページにジャンプします。
商品基本情報 | ||||
品名 | The Avenue / Oil Painting | |||
品番 |
PA0120
|
管理番号 | Lot15-37_1219 | |
販売価格(税込) | 81,000 円 | 在庫数 | 0 | |
サイズ |
幅 575mm 奥行 55mm 高さ 775mm ※絵のサイズは、幅390mm×高さ595mmです。 | |||
送料ランク・重量 |
佐川急便200 送料目安:3,480円~5,890円
佐川急便による配送になります。 ※ 同梱可能な複数商品の送料はご注文後に別途お見積りをご提示いたします。 | |||
商品分類 | クラス | |||
デザイン | ||||
ユース | ||||
ランク | ||||
カテゴリ | 装飾品/Decor > 絵画/写真/美術品 |
商品プロフィール | ||||
原産国 | イギリス | 年代 | 1900年代 | |
メーカー | デザイナー | |||
主要素材 | ||||
主要素材の材質 | ||||
主要素材の等級 | ||||
商品の無垢率 | ||||
カラー | ||||
塗装・仕上げ | ||||
その他素材 | ||||
その他の素材のカラー | ||||
メンテナンス状況 | ||||
コンディション | 傷の程度 | |||
目立つ傷 | ||||
交換・改造 | ||||
実用性 |
商品プロフィール | ||||
原産国 | イギリス | 年代 | 1900年代 | |
メーカー | デザイナー | |||
主要素材 | ||||
主要素材の材質 | 無垢材 | |||
主要素材の等級 | 1級 | |||
商品の無垢率 | 90%以上 | |||
カラー | 彩色系 | |||
塗装・仕上げ | ||||
その他素材 | ||||
その他の素材のカラー | ||||
メンテナンス状況 | フルメンテナンス | |||
コンディション | 傷の程度 | 年代なり | ||
目立つ傷 | 少ない | |||
交換・改造 | あり | |||
実用性 | あり |
商品評価 | ||
デニムの総合評価 |
商品評価 | ||
デニムの総合評価 | A |
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