HC0369 オーストリア 1880年代 JACOB & JOSEF KOHN ベントウッドチェアNo4 "カフェ・ダウム"
サイズ | 幅 430mm 奥行 565mm 高さ 960mm 座面高 470mm 座面奥行 410mm 座枠高 470mm |
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Outline/商品の概要(仕入担当者からのコメント)
オーストリアで1880年~1890年代につくられたと思われる、
ヤコブ&ヨゼフ コーンJACOB & JOSEF KOHN社製のオリジナル・ベントウッドチェアです。
長くイギリスで使われていたアンティークチェアになります。
※デニムの愛するベントウッドチェアのレストア情報は、職人スタッフの綴る「レストア奮闘記」(予告編)もご参照ください。
こちらは19世紀半ば、トーネット商会により発売された、”No4”というベントウッドチェア最初期のモデルです。
トーネット”No4”は、「世界初の量産家具」という世界史に残る名作椅子である一方、
オーストリアの首都、ウィーンのサロン、"カフェ・ダウム"Cafe Daumで初めて使用された史実により、
コレクターには「カフェダウムの椅子」と呼ばれた著名なモデルです。
世界的に人気の高いモデルですので、ネットでも、
”トーネット No4 ダウム”と検索すれば、世界各国でさまざまな情報に行き当たります。
オリジナルデザインはトーネットですが、当時、No4は人気の高い普及モデルだったのでしょう、
ヤコブ&ヨゼフ コーンJACOB & JOSEF KOHNからもNo4ダウムは販売されています。
といっても、No4ダウムはNo14などとは違い、曲げ木家具メーカーならどんなメーカーでも作れた、という
標準的なモデルではありませんでした。
製造には技術的なハードルが高く、量産家具といっても後発モデルから見れば、
ごく初期の生産効率の悪いモデルだったため、筆者が知る限り、
トーネットとJJコーン社以外に、現存しているアンティークNo4ダウムはありません。
"ムンドス”MUNDUSというメーカーのアンティークNo4ダウムはありますが、
ムンドスはトーネットとJJコーン社が合併して出来た会社ですので、トーネット社製というになります。
その技術的なハードルとは、いくつか難しい製造技術があったことと思われますが、
有名なのは「2重の曲げ」、すなわち ”S” 字カーブをつくることでした。
つまりNo4ダウムのアイデンティティでもある、
背もたれにシンメトリーに配置された、2本の ”S” 字=「唐草文様」の製造技術です。
どういうことかというと、“C“字のカーブを考えるとわかりやすいのですが、
1本の木を “C“ 字に曲げると内側の繊維が収縮し、外側の繊維が伸張します。
この曲げは、伸ばすか縮めるかの一方向に固定させるだけですので、
比較的早くから完成された技術でした。
ところが 1本の木を”S” 字に曲げようとすると、内側も外側も一部は収縮しながらも一部は伸張もしています。
すなわち二重に曲げなければなりません。
そのため、当初は1本の同じ繊維の木(つまり1本の無垢材)では”S” 字の曲げは難しく、
2本の木を張り合わせた材料(つまり1本の合板)で内側と外側の繊維を変えることで
”S” 字の曲げに対応していたのです。
しかし、ミヒャエル・トーネットは、1856年、同じ繊維構造をもつ1本の無垢材ですら、
乾燥後もはじける(割れる)ことなく曲げることができるほどに技術を向上させました。
つまり、”S” 字の曲げは初期の “C“ 字曲げ技術よりも、1段階上の技術レベルになるのです。
その後、1869年にミヒャエル・トーネット商会の持つ「曲げ木技術」の特許が切れると、
あたかもゴールドラッシュのように、無数の家具メーカーが曲げ木家具の製造に参入しましたが、
最終的に「2重の曲げ」技術をはじめ、トーネット商会の技術レベルにまで到達した会社は、
現存しているアンティークを見る限り、JJコーン社などのわずか数社だったと思われます。
No4ダウムのように製造が難しく手間のかかるモデルは、
一朝一夕には作れなかった(それとも効率が悪く作らなかった?)ということなのでしょう。
ちなみに、JJコーン社は、1869年、トーネットの曲げ木特許が切れると同時に設立された会社で、
1922年、トーネットと合併するまではトーネットの最大のコンペティターとされていた
業界トップクラスの曲げ木家具メーカーでした。
JJk社はGシーゲルやJ・ホフマン、O・ワグナーなど、著名なデザイナーと相次いで契約し、
かのドイツ・バウハウスとも協業するなど、実績も十分、名実ともに「名門」企業だったといえます。
お話が長くなりましたが、こちらのチェアはそのJJコーン社の19世紀オリジナル品。
デニムのイギリスの契約ディーラー(のお友達)が、チェスターフィールドという地方の民家の軒先で
朽ち果てそうになっていた「お宝」を救出したものになります。(笑)
そんな「お宝」を数週間かけてデニムが隅々まで完璧にレストアいたしました。
130年前の往年の姿そのままに・・。
本物を知る方にぜひ受け継いでいっていただきたい、まぎれもない19世紀の「遺産」です・・。
(Buyer/YM)
Condition/商品の状態(修理担当職人からのコメント)
見てください、この杢目・・。
これが本物の“ヨーロピアン・ビーチ”だったんですね。
20世紀以降のトーネットのビーチ材とはまるで異質な材質です。
ビーチ独特の「斑」が全面にきらきらと輝いています。
マホガニーで例えて言えば、世界最高級 “ジャマイカ・ウッド”のビーチ版、ってところでしょうか。
さて、入荷時の状態は・・ひどいものでした。
いや、130年前のものにしては良いといえるのかもしれません。(どっち?)
困ったのは、修復士泣かせのトップ2、ペンキのべた塗りとケインシート(籐張り座面)の破れがあった事です。
最悪・・。
しかも、汚れがひどい!
おそらく、ここに来るまでのある一定の期間、
(申し上げにくいのですが)外に放置されていたのでしょう、泥まみれでした。
でも、逆に考えれば、130年前の曲げ木家具が、風雨にさらされていたにもかかわらず、
ほとんど歪みや変形も見せず、端正な容姿を維持していたとは・・ほとんど奇跡です。
冒頭でも申し上げた通り、素材の質の高さは、杢目、繊維のキメの細かさ、
そしてこの耐久強度が現代品とは段違いです。
まさに歴史上世界最高水準のビーチ材といえるでしょう。
また、コレクション上の気になるポイント、座裏の製造メーカーのラベルについては残念ながら消え去っていますが、
"JJ KOHN Austria" の刻印は何とか確認できるレベルです。
うまくレストアすれば、良いコレクションアイテムになるのでは、と思われました。
前置きが長くなりましたが、アンティークとしてはかなりレストア難易度の高い個体でしたが、
デニムお得意のベントウッドチェアですし、貴重な19世紀No4ダウムですから、やる気満々でレストアに入ります。
レストアは、木部修復 → 塗装はがし → 塗装 → 座面張り替えの順に進めていきます。
まずはベントウッドチェアのお約束、「はじけ」(曲げたカーブの割れ)が数か所確認されましたので
木部修復を行います。
「割れ」といっても、表面的なものでそれほど強度には影響しないレベルのものがほとんどでした。
「はじけ」は現代の業務用強力接着剤を使用し、クランプで完全圧着させます。
一晩、寝かせておき、完全に固着させます。
また、接合部は接着剤を使用しないノックダウン構造のため、主に木ねじの交換や増し締めで
ガタつきぐらつきはほぼ解消しました。
1世紀以上の時を経てこの程度の木部補修で済むとは、
全く、素材の良さとJJK社の製造技術の高さには脱帽します。
次に塗装はがし。
ペーパー掛けでは気が遠くなりそうだったので、「剥離剤」という溶剤を使用して塗装をはがしにかかります。
「剥離剤」でもなかなか白ペンキが落ちなくて苦労した上に、ようやく白ペンキが落ちたと思ったら、
実はその下には黒ペンキが塗られていました。
これ、罰ゲーム?
いや、もしかすると長年の風雨に耐えられたのは、この厚化粧のおかげかも?
まあ、とにかく剥離剤を3度掛けして、ようやく素地が出てきたところで、全面水洗い。
ブラシでごしごしと1世紀以上の汚れを水道水で流し、かなりさっぱりときれいになりました。
あとはペーパー掛けして、残ったペンキを除去しつつ、素地を整えます。
130年ぶりに丸裸になったところで、数日おいて乾燥させた後、塗装にかかります。
ライト系か、ダーク系か?
オリジナルがわからないので、悩んだ末に、やはりここはポピュラーにダーク系で塗装することにします。
イギリスアンティーク同様、磨けば磨くほど艶の増すシェラックニスでフィニッシュ。
今までのベントウッドチェアでは見たことがないほど、杢目がきらきらときれいに出ています。
色艶もとてもいい感じになりました。
シェラックニスは、天然の樹脂で環境にも優しく、将来の塗り替えも容易になりますので
デニムではアンティーク塗装のフィニッシュにお勧めしています。
ところで塗装をする前、破れていた籐座面はきれいにはがし取っておきました。
この時点ではあまり座面のことは深く考えず、生地張りに替えてしまおうか?
くらいに軽く考えていました。
でも往年の姿が見えてくると、徐々に心境が変わっていきました。
(オリジナルの・・本来の姿に戻したい。)
結局、どうしても籐座面に再生したくなり、籐を一本一本手編みしていただけるところを手当たり次第にあたりました。
(古いベントウッドチェアは全て手編みです。)
現代の機械編みのシートをはめ込んでいただける籐張り屋さんはいくつかあったのですが、
昔ながらの手編みのできる籐張り屋さんはなかなか見つかりませんでした。
それでも探していると、インターネットで広島の籐張り屋さんにヒット。
手編みもやってくれるということでしたが、あまりの高額な工賃に、残念ながら依頼は断念せざるを得ませんでした・・。
万事休す。
鎌倉の○○さんが今でも健在だったらなぁ・・と、お体を壊されて引退された、
かつてのデニムの籐張りを行っていただいていた籐張り作家さんのことをうじうじ考えていると、
(もしかするとご自身では張りは出来なくても、張り方を教えてもらうことはできるかもしれない。)
ふと、そんな予感がアタマをよぎりました。
早速、○○さんにコンタクト。
快諾いただいた時には、予感は「決意」に変わっていました。
(張ってくれる人がいないのなら自分が張ってやろう・・。)
※その前後のことは、デニムの職人スタッフの綴る「レストア奮闘記」(予告編)をご覧になってくださいね。
無理言って、お体の悪い○○さんにわずかに許された、ほんの少しの時間をいただいて、
ご自宅に4回ほど押しかけ、ご教授を受けました。
あとは想像と創造で、こうかな?などとはずした座面を何度も見返しながら、何度もやり直し、
悪戦苦闘しながら、何とか、ほぼオリジナル同様の籐座面を再生することができました。
※エキストラフォトご参照!!
このダウムは、かなり編み目の細かい「カゴメ編み」で、通常よりも細い2mm幅のケインを使用し、
珍しい “4 way”というケインワークで編まれていました。
ビーディング(縁飾り)は6mmのケインで、目を2つ飛ばして固定され、
ペグ(押さえの木釘)の位置はセンターに一つのみ打ってありました。
張り方はオリジナルを完全にコピーしています。
まあ、でも・・ちょっと納得いっていない部分もありますが、
初めての割には良くできた方かな・・?とお譲り出来るレベルにはなっていると自負しております。
それでもまだまだ、人様の家具の籐張りを請け負えるほどの力量はありませんが、
自店輸入のイギリス・アンティークの修復程度なら、何とかやっていける自信はつきました。
これからも籐張りのアンティークは籐張りで再生していきたいと思います!
これでデニムにまたひとつ死角が消えました。
○○先生、本当にありがとうございました。(涙)
いろいろな意味で、生涯の思い出に残るアンティークの一つとなりました。
まぎれもなく手を尽くした逸品です。
担当職人から自信を持ってお奨めさせていただきます。
(Restorer/YM)
Impression/当店の評価(お客様担当からのコメント)
どの角度から見ても美しい・・。
ドイツの古典様式“ビーダーマイヤー”様式を源流とする、
ミヒャエル・トーネットが1849年にデザインした、"カフェ・ダウム”の椅子になります。
こちらは現代のリプロダクション(復刻品)ではなく、
19世紀の「本物」=旧トーネット当時のベントウッドチェアです。
製造メーカーは1922年にトーネットと合併したJJコーン社。
トーネットの当時の最大のライバルであり、トーネット社の前身でもある、JJコーン社の
貴重なオリジナル品になります。
ちょっと微笑んでいるかのような、背の唐草文様が印象的です!
デザインフォルム、ブランドとも申し分ありません。
コレクション級のアンティークです。
コンディションも100年は経過しているチェアですが、隅々までフルにメンテナンスした上、
当店職人がケインシートを新しくお張り替えしました。
パーフェクト・コンディションです。
持ち運びは軽くて楽々。
実用性もキープしています。
日本ではまずNo4ダウムのコレクション・ピースを入手することはできません。
イギリスやフランスでもよほどの専門店でなければ見つけることは難しいと思います。
ドイツには比較的コレクション級のアイテムが存在していますが、
価格はこちらのチェアと同等クラスのものですと、価格は日本円で○○万円を超えています!
ぜひこの機会をお見逃しなく、ご検討いただければ幸いです。
(Sales/TJ)
※各項目の文字をクリックするとその項目の説明ページにジャンプします。
商品基本情報 | ||||
品名 | JACOB & JOSEF KOHN ベントウッドチェアNo4 "カフェ・ダウム" | |||
品番 |
HC0369
|
管理番号 | LC14-11_0420 | |
販売価格(税込) | 105,000 円 | 在庫数 | 0 | |
サイズ | 幅 430mm 奥行 565mm 高さ 960mm 座面高 470mm 座面奥行 410mm 座枠高 470mm | |||
送料ランク・重量 |
B/2ランク 送料目安:4,400円~7,040円
(沖縄 10,010円)
らくらく家財宅急便による配送:同ランクの椅子をもう1つ同梱できます。 ※ 同梱可能な複数商品の送料はご注文後に別途お見積りをご提示いたします。 | |||
商品分類 | クラス | |||
デザイン | ||||
ユース | ||||
ランク | ||||
カテゴリ |
椅子/Chair
> ダイニングチェア/キッチンチェア
無銘の椅子コレクション/Premium Chair Collection > ベントウッド/トーネット |
商品プロフィール | ||||
原産国 | オーストリア | 年代 | 1880年代 | |
メーカー | JACOB & JOSEF KOHN | デザイナー | Michael Thonet | |
主要素材 | ||||
主要素材の材質 | ||||
主要素材の等級 | ||||
商品の無垢率 | ||||
カラー | ||||
塗装・仕上げ | ステイン&シェラックニス仕上げ | |||
その他素材 | ||||
その他の素材のカラー | ||||
メンテナンス状況 | ||||
コンディション | 傷の程度 | |||
目立つ傷 | ||||
交換・改造 | ||||
実用性 |
商品プロフィール | ||||
原産国 | オーストリア | 年代 | 1880年代 | |
メーカー | JACOB & JOSEF KOHN | デザイナー | Michael Thonet | |
主要素材 | ローズウッド | |||
主要素材の材質 | 無垢材 | |||
主要素材の等級 | S級 | |||
商品の無垢率 | 90%以上 | |||
カラー | ダーク系 | |||
塗装・仕上げ | ||||
その他素材 | 木 | |||
その他の素材のカラー | 素材色 | |||
メンテナンス状況 | フルメンテナンス | |||
コンディション | 傷の程度 | 少ない | ||
目立つ傷 | 少ない | |||
交換・改造 | あり | |||
実用性 | 年代なり |
商品評価 | ||
デニムの総合評価 |
商品評価 | ||
デニムの総合評価 | S |
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