DC1110 オーストリア 1900年代 フィッシェルFischel ベントウッドビストロチェア
サイズ | 幅 410mm 奥行 495mm 高さ 880mm 座面高 465mm 座面奥行 340mm |
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Outline/商品の概要(仕入担当者からのコメント)
非常に興味深いベントウッドチェアがフランス北部、トロワーの街から入荷しました。
フランス人のベントウッドコレクターより入手しました、
フィッシェル社製ではないかと思われる珍しいベントウッドチェアです。
一般のアンティークファンの方でしたら、見過ごしてしまうベントウッドチェアかもしれません。
・・でも、デニムは見逃しませんでした。
非常に珍しいベントウッドチェアになります。
少しクラシックトーネットを知ってらっしゃる方でしたら、
「このチェア、No5? それともNo12?」
と疑問に思われることでしょう。
※下記エキストラフォトにNo5とNo12のお写真を掲載しました。
いえ、いずれも違います。
背あての上部はトーネットのNo5と同じ形状ですが、下部はNo12の形状。
つまり、両者の特徴を備えたチェアなのです。
これって・・?
どちらかといえば、デザインはNo28に近いですが、やはり背あての形状は違っています。
メーカーを特定する座裏の刻印については、痕跡は残っているものの、
消えてしまっているのか、意識的に削られてしまったのか、判読はできません。
紙ラベルもやはり痕跡っぽいものはありますが、同様です。
デニムの出した結論としましては・・おそらく当時のトーネット社のライバル企業、
フィッシェルFischel社の商品ではないかと推測しております。
トーネット社製のものとすれば、プロトタイプと思われます。
トーネットの定番商品でないと思うのは、「1900年ごろ」というこのチェアの製作年情報が正しいとすれば、
単純にその当時のトーネット社のカタログには掲載されていなかったからです。
ただ、その頃には大量のプロトタイプが作られていたという情報もあります。
トーネット社は競合他社との差別化のため、そして曲げ木の第一人者としてのプレゼンスを築くため、
当時、商品のラインアップをものすごい勢いで増やしていましたからです。
とすれば、こちらがその中の一つである可能性はあります。
デザイン的にも既存のモデルのそれに近いですし。
でも、トーネットのプロトタイプに特定できない決定的な問題があります。
それは座面のサイズが直径38cmであること。
どういうことかというと、トーネット社がどんどん商品の種類を増やすことができたのは、
背もたれのデザインのみ差し替えることで新しい商品を素早く作ることができたからです。
つまり、背もたれ以外の座や脚などのパーツについては、すべてのモデルで共有化していたのです。
そのトーネット社の各モデルの共有座面は、直径42cmと37cmの2タイプしかありませんでした。
ということは、38cmのイレギュラーな円形座面を使用するのは、トーネット社では合理的ではありません。
もちろんサイズも含めたプロトタイプという可能性もありますが、普通に考えれば、まれなことでしょう。
トーネット社でないとすれば、冒頭のフィッシェル社か、あるいは後にトーネットと合併するJJコーン・ムンドス社。
このクラスのベントウッドチェアを商品化できるレベルにあったのは、この2社くらいですから。
それ以外とすれば、オーストリアのウィーンで、手作りで曲げ木家具を作っていた、
小さいけれども高度な技術を持ったハンドメイドマニュファクチャーたち。
それ以外にも、まだデニムでも知らないメーカーの可能性はありますが、
座枠だけ見ると、量産系のつくりに近いように見えますので、
無名の小さな家具工房が作ったものではなさそう、と思いました。
JJコーン社についても、かなり可能性が高いと思いましたが、
やはり、そのころのカタログには掲載されていなかったので、
JJコーン社だったとしても、量産品ではなかったと思われます。
個人的には、有名なJJコーン製”ムゼアムMuseumチェア”にとてもディテールが近いので、
もしかして、ムゼアムチェアのデザイナー、アドルフ・ロースAdolf Loosが企画したプロト? と思いましたが、
そんな「ダイヤの原石」がそうたやすく手に入るわけは・・。
結果として、消去法でフィッシェル社製では?、となったわけです。
でも、座枠のジョイントが”スカーフジョイント”を、この当時採用していたのは、
フィッシェル社でしたし、何よりも、フィッシェルらしいデザイン性の高さ。
こちらのチェアの前脚、そして後ろ脚を見てください。
・・あたかも、ふくらはぎのようにふっくらとした中央あたりから、先細りに削り込まれながら大きく曲げられた脚先。
あたかも、ウィーンのハンドメイド工房、ジョセフネイガーJoseph Neygerモデルのようです。
デザイン性を最優先していた、フィッシェル社らしい特徴です。
しかも、後ろ脚に至っては何と! 内側に曲げられています!!
・・アドルフ・ロースのムゼアムチェア以外では初めて見るタイプのベントウッドチェアでした。
そもそも、フレームの太さが均一ではなく、楕円や細身にされたりしているモデルは、
19世紀後半のものならありましたが、20世紀初期になるとトーネットなど、大手メーカーでは
ほぼ、商品ラインアップから消えてしまっていたはず。
この点からも、量産化に腐心していたトーネット社ではなく、トーネットに追いつけ追い越せと、
生産の合理性よりも、商品のレベルアップを追及していた、
トーネットに近いレベルのコンペティターが製作した、と考えるのが自然です。
つまりそれこそが、フィッシェル社でした。
・・残念ながら、フィッシェル社のこのころのカタログは入手できておりませんので、証明はできませんが、
フィッシェル社のカタログ自体は、1940年代、第二次大戦前後のころまでのものが存在していますので、
いつか、そのカタログが入手できた時、このチェアの真実は明らかになることでしょう。
・・すみません。
つい興奮して、長文になってしまいました。
しかし、こちらのチェアがフィッシェル社のものとすれば、トーネットを目指していた「挑戦者フィッシェル」は、
少なくともこのチェアを生み出したとき、既にトーネット社を超えていたように思います。
いや、このチェアに限って言えば、あきらかに超えていました。
あたかも、プロトタイプかと見紛うほどの高度化された製作・技術力・・。
間違いなく、トーネット社を超えている商品クオリティです。
・・それにしても、いかに当時の家具業界では熱い戦いが繰り広げられていたか。
その一端に触れた気がします。
曲げ木家具を生み出し、「量産」という生産革命をもたらしたトーネット社。
そして、そのトーネット社に戦いを挑んだコンペティター、フィッシェル、JJコーン、ムンドス、ジョセフネイガー・・。
彼らは互いに切磋琢磨しあい、世界の産業界全体のレベルを高める功績を残してくれました。
1世紀前の世紀末を戦った企業家たちの系譜、
まさにその「歴史の一里塚」がこちらのチェアなのです。
その大いなる遺産を、ぜひ・・。
(Buyer/SD)
Condition/商品の状態(修理担当職人からのコメント)
フィッシェル社製と思われる珍しいアンティークベントウッドチェアになります。
ほとんどマーケットでは見ることの無いモデルですので、希少価値がとても高いアイテムです。
フィッシェルは、トーネットと同じ、オーストリアからチェコに工場を展開した企業。
商品の経てきた経年からは古いオーストリア工場時代の商品と思われますが、果たして、真実はいかに。
座裏には、旧式のフィッシェルの刻印があったようなスペースは設けられていますが、
刻印自体は判読できません。
紙ラベルも痕跡だけです。
現状、メーカー、製造年は推測になります。
素材はもちろん、無垢のヨーロピアンビーチです。
フレームラインは、単純な「丸棒」型ではなく、削りこまれてデザインシェイプがなされています。
背もたれのトップは円形の断面から平たい帯状の断面にまで削り込まれていて、
大きくカーブを描く前脚や、内側に曲がる後ろ脚の先も、くびれを作って印象的なフォルムを形成しています。
こうしたフレームをシェイプする特徴は、トーネットでは19世紀以前の商品にしか見られないもので、
20世紀に量産が進んだ工場の中で、こうした手作業工程をおこなっているのは、
かなりデザインにこだわりのある優良メーカーの証しと言えるでしょう。
とても品質の高いチェアです。
入荷時の状況ですが、直近ではコレクションとして保管されていたものだったようですが、
それ以前では、長らく実用目的で使用されていたと見え、ケインシートの座面にダメージが見られました。
コレクションとはいえ、実用できないシートでは、置き場所を選んでしまいますので、
ケインシートは新しくお張替えすることにいたしました。
また、全体的に接合部には緩みがありましたが、フレーム自体に損傷はなかったので、
基本的なメンテナンス程度で完全再生できそうでした。
特に、曲げ木のカーブが割れる「はじけ」が全く見られない点から見て、
かなり品質の高いチェアだったか、あるいは大切に扱われてきたものだったか、
ということが想像されましたので、レストアの仕上がりもよさそうです。
ということで、基本的なメンテナンスを一通りして、実用家具として再生する方向で進めることにいたしました。
まずは構造補修から。
ベントウッドチェアは接合部分の多くが木ねじでのジョイントになっていますので、
ジョイント部に致命的なダメージがあることは少ないです。
こちらも大きな損傷はありませんでしたので、
緩みや破損がないかどうかのチェックを行い、ビスの増し締めを行っています。
構造補修の後は外観補修。
全体を隈なくチェックし、小傷は一つ一つ埋めていき、リペアしております。
レストアの痕跡は比較的きれいで、よくよく見ない限りはほとんど気付かない範囲のものと思います。
塗装状態は、かなり年季が入っていましたので、全面塗装します。
まずは、旧塗装を軽くペーパーサンディングし、落としていきます。
そして、英国製のオイルステインで色調整。
アンティーク当時のお色を想像しながら、濃い目のダークブラウンに仕上げます。
フィニッシュは天然樹脂製のシェラックニス。
時代感を残しながら仕上げていますので、きれい目でもアンティークらしさは失われていないと思います。
塗装後はいよいよケインシートの手編み作業。
機械編みのケインシートを張りこむだけの現代仕様と違って、一本一本、
細いケイン糸を編み込んでいくのはそう簡単な作業ではありません。
だんだん慣れてはきましたが、デニムでもいまだに悪戦苦闘しています。
現在でも編み込みには2週間ほどかかってしまいますが、
お張替えた後は、見た目も綺麗で、実用的にも丈夫に仕上がっています。
やはり、新品の座面は気持ちの良いものです。
以上、塗装の完全乾燥を待ってお届け前に英国の天然蜜蝋ワックスで磨きます。
隅から隅まで、手抜きなくしっかりと仕上げました。
もちろんクリーニングも済んでおりますので、お届け後すぐにご使用頂ける状態です。
実用目的でも、ベントウッド・コレクションとしても、ご期待に沿えるチェアです。
担当職人が自信を持ってお勧め致します。
(Restorer/SD)
Impression/当店の評価(お客様担当からのコメント)
現在も世界各地で生産され続けているベントウッドチェアですが、
現ドイツ人のミヒャエル・トーネットがウィーンのカフェに広めたのが最初でした。
その美しい曲線美は、またたく間にヨーロッパ中のカフェシーンに広がり、
ベントウッドの生産もオーストリアからチェコ、ポーランドへと拠点を移し大量生産が始まり、
のちには北米、南米、そしてアジアへ、と世界中に拡大していきました。
今では私たちのごく身近に存在する、愛すべき食卓椅子です。
でも、元をたどれば・・、
ミヒャエル・トーネットが生きていた初期のトーネット社から、全ては始まっているのです。
トーネット社はこちらのチェアを作ったフィッシェル社などと切磋琢磨しあい、
21世紀の現代でも通用する商業デザインを完成させました。
本当にこの、背もたれや脚の曲線美はうっとりします・・。
アンティーク上級者の方にもきっとご満足いただける、とても貴重な逸品だと思います。
この機会をぜひお見逃しなく!
(Sales/TJ)
※各項目の文字をクリックするとその項目の説明ページにジャンプします。
商品基本情報 | ||||
品名 | フィッシェルFischel ベントウッドビストロチェア | |||
品番 |
DC1110
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管理番号 | Lot16-1_0109 | |
販売価格(税込) | 77,000 円 | 在庫数 | 0 | |
サイズ | 幅 410mm 奥行 495mm 高さ 880mm 座面高 465mm 座面奥行 340mm | |||
送料ランク・重量 |
B/2ランク 送料目安:4,400円~7,040円
(沖縄 10,010円)
らくらく家財宅急便による配送:同ランクの椅子をもう1つ同梱できます。 ※ 同梱可能な複数商品の送料はご注文後に別途お見積りをご提示いたします。 | |||
商品分類 | クラス | |||
デザイン | ||||
ユース | ||||
ランク | ||||
カテゴリ |
椅子/Chair
> ダイニングチェア/キッチンチェア
無銘の椅子コレクション/Premium Chair Collection > ベントウッド/トーネット |
商品プロフィール | ||||
原産国 | オーストリア | 年代 | 1900年代 | |
メーカー | デザイナー | |||
主要素材 | ||||
主要素材の材質 | ||||
主要素材の等級 | ||||
商品の無垢率 | ||||
カラー | ||||
塗装・仕上げ | ステイン&ニス&ワックス仕上げ | |||
その他素材 | ||||
その他の素材のカラー | ||||
メンテナンス状況 | ||||
コンディション | 傷の程度 | |||
目立つ傷 | ||||
交換・改造 | ||||
実用性 |
商品プロフィール | ||||
原産国 | オーストリア | 年代 | 1900年代 | |
メーカー | デザイナー | |||
主要素材 | ローズウッド | |||
主要素材の材質 | 無垢材 | |||
主要素材の等級 | 1級 | |||
商品の無垢率 | 90%以上 | |||
カラー | ミディアム系 | |||
塗装・仕上げ | ||||
その他素材 | その他 | |||
その他の素材のカラー | 素材色 | |||
メンテナンス状況 | フルメンテナンス | |||
コンディション | 傷の程度 | 少ない | ||
目立つ傷 | 少ない | |||
交換・改造 | あり | |||
実用性 | あり |
商品評価 | ||
デニムの総合評価 |
商品評価 | ||
デニムの総合評価 | S |
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