DC1111 オーストリア 1900年代 トーネットTHONET ユーゲント・シュティール ハープバック ベントウッドチェア
サイズ | 幅 440mm 奥行 470mm 高さ 930mm 座面高 470mm 座面奥行 390mm |
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Outline/商品の概要(仕入担当者からのコメント)
大変貴重なアンティークトーネットThonet社製のベントウッドチェアが入荷しました。
おそらく20世紀初めごろに製作されたフィッシェルFischel社のベントウッドホールチェアです。
「トーネット社製の・・フィッシェル社のベントウッドチェア?」
「どういうこと?」
・・と、疑問に思われますよね。
要するにこちらは、現代でいうところのOEM(original equipment manufacturer)生産品、ではないかという仮説です。
OEMとは、他社ブランドの製品を製造すること、またはその企業のこと。
つまりこちらは、トーネットが製作したフィッシェル社ブランドのモデルか、
あるいはトーネット社ブランドでフィッシェル社が製作したモデルか、
どちらかであろうという推測、ということです。
なぜそんな結論に至ったのか?
もちろん、こちらのモデルにはメーカーの刻印や紙ラベルがついていないので、
メーカーの確証はありません。
しかし、当時の主要なベントウッドメーカーは、接合部などを見るとある程度、
製造メーカーを特定できるような構造上の特徴があります。
その点から見ると、こちらの製造メーカーは確実にトーネット社製と思われます。
いえ、正確にはこれも推測なのですが、それには当時の史実という裏付けがあります。
20世紀の初めごろ、つまり第一次世界大戦から第二次世界大戦にいたる、
1910年~1940年ごろという時代は、世界的に物資が不足していた時代でした。
そうした状況の中、各分野の同業者たちは、お互いに原料・部品から工場ラインまで融通し合い、
助け合いながらなんとか自社の生産を全うしていたようです。
代表的なのは時計メーカー。
協力し合っているうちに、合併したり、買収されたりと、自然淘汰が進み、結果、業界再編が進んでいきました。
そうした経済状況からみて、ベントウッドメーカーも当時、同じような状況にあったことは容易に想像されます。
事実、1910年代には有力なトーネットのコンペティターだったムンド社に、
同じく競合企業のJJコーン社が買収されていますし、1920年代にはそのコーン・ムンドス社とトーネット社が合併しています。
このような状況を見れば、そうした業界再編の前夜には、OEM生産のような相互融通が行われていたのは間違いないことでしょう。
とすれば、ムンドス社とJJコーン社が接近していた時代には、もう一方の雄、
トーネット社とフィッシェル社が関係を持っていたとしても、何ら不思議はありません。
ただ、こうした事実ははっきりと文献で裏付けは取れてはいませんが、
こちらの有名なエンジェルバックチェアを見れば、関係があったことはまず間違いないように思います。
トーネットのエンジェルバックチェアと寸分も違わない構造・デザインでありながら、
メーカーの刻印やラベルはフィッシェル社製。
当初、こちらのベントウッドチェアは非常に不可解に思われましたが、
当時の物資が不足していた状況を考えれば、すべては腑に落ちました。
フィッシェル社でも、もともと”エンジェルバックチェア”を商品としてもっていましたが、
JJコーン社のエンジェルバックチェアよりも、トーネット社に近いデザインでした。
そこで、資材不足からトーネット社のOEMで商品供給を受け、当時人気のあった
エンジェルバックチェアの販売を継続したのではないか、と考えればとても合点がいきます。
であれば、このチェアも・・と考え、トーネットメイドのフィッシェルブランドではないか、との結論に至ったわけです。
実は先のエンジェルバックはもともとフィッシェル社メイドで、
トーネットブランドがついていたエンジェルバックチェアもフィッシェル社製だった、
という可能性もなくはないと思いますので、フィッシェルメイドのトーネットブランドだったケースももちろんあり得ますが、
まあ、歴史の流れを考えれば前者、トーネットメイドのフィッシェルブランドだった可能性の方が高いでしょう。
具体的には、座面形状をみると、トーネット社のものと特定できます。
下記エキストラフォトにカタログ抜粋写真を掲載しましたが、このチェアは伝統的なトーネットの座枠構成で、
JJコーンやフィッシェルは、またそれとは違うそれぞれ独自の座枠形状を採用していました。
一方、こちらのチェアの特徴的な、楽器の”ハープ(ライアー)”をモチーフにした家具デザインは、
ヨーロッパで古来から見られたものです。
このハープをチェアの背面デザインに使った”ハープバックチェア”も、
古くからサロンチェアの背をはじめ、サイドテーブルの脚のデザインなどにも使われていて、
もともとヨーロッパの社交界ではなじみの深かったデザインです。
そんな歴史を背景として、19世紀末ごろ、ヨーロッパ中に広まったアールヌーヴォーという「世紀末美術様式」は、
このハーブをモチーフとした優雅な曲線の家具デザインに再び脚光を当てることとなりました。
こうした若い感覚で想像された、アールヌーヴォーデザインは、ドイツでは、
”ユーゲント・シュティールJugendstil(青春様式)”とよばれ、
イギリスの”アーツアンドクラフツ(新芸術)”とよく比較されています。
ともに、アールヌーヴォー期の新しい芸術様式で、どちらも後年のデザイントレンドにも大きな影響をもたらしています。
そしてドイツではバウハウス、ウィーンではセセッション、といったモダンデザインの誕生へとつながっていきました。
そんなユーゲント・シュティールのハープバックデザイン、
ベントウッドファニチャーの各メーカーの間でも、19世紀末ごろから各社に取り入れられはじめていたようです。
フィッシェル社はもともと、ウィーンの小さな工房の集合体だった会社でした。
(後に発展しチェコスロヴァキアに大規模工場を建設しています)
なので、このような手間のかかるデザインは得意としていたのではないでしょうか。
実際、ウィーンなどでコレクションされているハープバックベントウッドチェアは、
ほとんどハンドメイドに近い工房で作られていたようです。
量産には不向きな構造ですからね。
それにしても美しいチェアデザイン、歴史に残る「名作椅子」の風格です。
ヨーロピアンビーチを使用した無垢材の見事なベントウッド(曲げ木)、
控えめなカブリオールを思わせるS字カーブを持つ前脚、4本の脚を支える補強材としてのリングストレッチャー。
トーネットのスタンダードと言えるデザインに、優雅なハープが背もたれにフューチャーされています。
ハープはケルトやギリシャ神話に登場する女神や英雄が持っていることから、
ヨーロッパでは古くからモチーフとして使用されてきました。
例えばギリシャ神話では、竪琴の名手オルフェウスがハープの音色で猛獣ケルベロスを眠らせたというエピソードがあります。
ハープは不思議な力を持つ神秘的な楽器として描かれることが多く、
「調和」や「均衡」といったキーワードと結び付けられることが多いようです。
つまり、こちらのチェアは、モダンデザインのルーツであり、かつ、
ヨーロッパの人々の生活に根差した、伝統的なデザインでもある、というわけですね。
歴史性は十分。
レトロモダンなデザイン性は現代でも通用するほど。
そして、ベントウッドメーカーたちの栄枯盛衰を今に伝えるミュージアムクラスのアンティーク。
これ以上お伝えすることがあるでしょうか。
デニムがお勧めできない理由もどこにもありません・・。
(Buyer/SD)
Condition/商品の状態(修理担当職人からのコメント)
19世紀末から20世紀初頭にかけて製作されたThonetトーネット社製と思われるベントウッドチェアです。
トーネットらしい端正なフォルム。
ユーゲントシュティールのハープバックが優雅さをプラスしています。
見事なデザイン、完璧なコンストラクション(構成)、一級のミュージアムピースと思います。
入荷時のコンディションですが、さすがトーネット、素材のビーチに劣化や変形は見られず、品質の良さが伺えました。
100年近くは経過していると思われるアンティークチェアですが、
とてもしっかりとしています。
コレクションとして長く大切に扱われてきたのでしょう、
レストアも近年行われてたような印象です。
座面については、もしかすると、オリジナルではなく後付けかもしれません。
エンボスのない無地の板座面は、第二次大戦後以降、設定されたように思われますので、
この時代にはなかったと思われるからです。
もちろん、オリジナルの可能性もありますし、特に現状でも不自然に感じることはありませんが、
一応デニムの経験値から、当店での印象をご案内させていただきました。
ちなみに座枠構造は20世紀以降と思われるスカーフジョイント。
前脚の付け根にはトーネットのものと思われるジョイント補強の隅木が確認できます。
ラベルや刻印はありませんが、20世紀初期のトーネットが作ったものでしょう。
←こちらがトーネットOEMではなくフィッシェル製と思われるチェア。
フィッシェルオリジナルと思われる記録写真を見ると、こちらのチェアとはちょっとデザインのディテールが違います。
さて、入荷時より状態は良好でしたので、基本メンテナンスをしっかり行いました。
まずは構造補強から。
ベントウッドチェアは接合部分の多くが木ねじでのジョイントになっていますので、
ジョイント部に致命的なダメージがあることは少ないです。
こちらも大きな損傷はありませんでしたので、
緩みや破損がないかどうかのチェックを行い、増し締めを行っています。
アンティークチェアとしても、ご利用に不安は感じられず、
構造的な強度には特に問題はありません。
というよりもむしろ、全体的にアンティークとしてはダメージも少なく、非常に良い状態の一品と思います。
座面など、接着を必要とする木部同士の接合部などについてもしっかりとチェックは行っています。
無垢の家具ゆえの致し方のない歪み程度は確認できますが、がたつきやぐらつきなど、
ご留意が必要な点は一切ありません。
塗装面には、全体的に目立ったような傷は特にございませんでしたが、
フレームの色あせや若干の使用感、細かい小傷などがありましたので、
細かいサンドペーパーで表面を整え、アンティーク風にオイルフィニッシュで塗装の再生を行いました。
全体的にやや赤みのあるウォルナット系ステインが入れられているようでしたので、
デニムでも同様に、オイル塗布の前にウォルナットカラーの補色を行っています。
定期的に蜜蝋ワックスなどで磨き続けていただければ、良い状態を長く維持することができ、
これからもさらに長い年月使用できると思います。
座面の裏側までもきちんとクリーニング済みですので、全体が清潔な状態です。
その後、アンティーク風に天然樹脂製のシュラックニスで塗装の再生を行いました。
美しい艶が全身に甦りました!
時代感は残すように仕上げていますので、アンティークらしさは失わずに
きれい目にリフレッシュされているものと思います。
この後、完全なオイルの乾燥を待って蜜蝋ワックスで仕上げを行います。
脚元や背もたれの上部など、手や物が触れる部分に細かな傷はありますが、ほとんど気にならないレベルです。
手工業の工程が根強く残っていた時代の商品ですので、今では決して作ることのできない貴重な歴史的資料です。
担当職人が自信を持ってお勧め致します。
(Restorer/SD)
Impression/当店の評価(お客様担当からのコメント)
現在も世界各地で生産され続けているベントウッドチェアですが、
現ドイツ人のミヒャエル・トーネットがウィーンのカフェに広めたのが最初でした。
その美しい曲線美は、またたく間にヨーロッパ中のカフェシーンに広がり、
ベントウッドの生産もオーストリアからチェコ、ポーランドへと拠点を移し大量生産が始まり、
のちには北米、南米、そしてアジアへ、と世界中に拡大していきました。
今では私たちのごく身近に存在する、愛すべき食卓椅子です。
でも、元をたどれば・・、
ミヒャエル・トーネットが生きていた初期のトーネット社から、全ては始まっているのです。
こちらは、ハープのデザインを背もたれに取り入れた、
ちょっと珍しい、ベントウッドらしいチェアです。
この曲線美は、本当にうっとりします・・。
アンティーク上級者の方にもきっとご満足いただける、とても貴重な逸品だと思います。
この機会をぜひお見逃しなく!
(Sales/TJ)
※各項目の文字をクリックするとその項目の説明ページにジャンプします。
商品基本情報 | ||||
品名 | トーネットTHONET ユーゲント・シュティール ハープバック ベントウッドチェア | |||
品番 |
DC1111
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管理番号 | Lot16-2_0116 | |
販売価格(税込) | 108,000 円 | 在庫数 | 0 | |
サイズ | 幅 440mm 奥行 470mm 高さ 930mm 座面高 470mm 座面奥行 390mm | |||
送料ランク・重量 |
B/2ランク 送料目安:4,400円~7,040円
(沖縄 10,010円)
らくらく家財宅急便による配送:同ランクの椅子をもう1つ同梱できます。 ※ 同梱可能な複数商品の送料はご注文後に別途お見積りをご提示いたします。 | |||
商品分類 | クラス | |||
デザイン | ||||
ユース | ||||
ランク | ||||
カテゴリ |
椅子/Chair
> ダイニングチェア/キッチンチェア
無銘の椅子コレクション/Premium Chair Collection > ベントウッド/トーネット |
商品プロフィール | ||||
原産国 | オーストリア | 年代 | 1900年代 | |
メーカー | デザイナー | |||
主要素材 | ||||
主要素材の材質 | ||||
主要素材の等級 | ||||
商品の無垢率 | ||||
カラー | ||||
塗装・仕上げ | ステイン・ニス・ワックス仕上げ | |||
その他素材 | ||||
その他の素材のカラー | ||||
メンテナンス状況 | ||||
コンディション | 傷の程度 | |||
目立つ傷 | ||||
交換・改造 | ||||
実用性 |
商品プロフィール | ||||
原産国 | オーストリア | 年代 | 1900年代 | |
メーカー | デザイナー | |||
主要素材 | ローズウッド | |||
主要素材の材質 | 無垢材 | |||
主要素材の等級 | 1級 | |||
商品の無垢率 | 90%以上 | |||
カラー | ミディアム系 | |||
塗装・仕上げ | ||||
その他素材 | ||||
その他の素材のカラー | ||||
メンテナンス状況 | フルメンテナンス | |||
コンディション | 傷の程度 | 少ない | ||
目立つ傷 | 少ない | |||
交換・改造 | なし | |||
実用性 | あり |
商品評価 | ||
デニムの総合評価 |
商品評価 | ||
デニムの総合評価 | A |
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