CH0255 イギリス 1800年代 ジョージアンGeorge III スーパーマホガニー セクレタリ チェスト
サイズ |
幅 1320mm 奥行 535mm 高さ 1145mm 天板高さ 825mm ※ 詳しいサイズは、こちら |
アンティーク家具・照明の専門店「デニム アンティーク ファニチャー」へようこそ!当店ではチェアやテーブル、キャビネットなどのイギリス(英国)アンティーク家具やランプ、シャンデリアなどのフランスアンティーク照明を低価格と安心品質で全国へお届けしております。
Outline/商品の概要(仕入担当者からのコメント)
200年以上を経ても一切その実用性を損なわず、
アンティークマーケットでも、常に「最高級」の評価を受け続ける、コレクティングファニチャー。
こちらでご紹介するのは、英国家具史上「最高品質」と謳われる、
“ジョージ・スリーGeorge Ⅲ”の家具です。
それも、18世紀後半の”レイト・マホガニー・ピリオド”、
すなわち「後期マホガニーの時代」の正真正銘のマホガニー家具、
至高のアンティーク、セクレタリー・チェストsecretaire chestになります。
・・かつては手の届かない「高嶺の花」だった、ジョージアン・スリーのセクレタリ・チェスト。
“コレクティング・ファニチャー”(収集目的の家具)の代表格で、
世界的なオークションハウス、”クリスティーズ”や”サザビーズ”でしか入手できない大変な貴重品でした。
10数年前までは、デニムでもなかなか手の出せる骨董家具ではありませんでしたが、
随分と進んだ円高ポンド安のおかげで、当時からすれば常識的な相場に落ち着いています。
それでも高価は高価で、まだまだ手を出せないクラスのアンティークがほとんどですが、
何とかちょっと背伸びすれば入手できる価格のアンティークも、
よくよく探してみれば見つけることができるくらいにまで時代は変わってきました。
おそらくこの先、2度と製作することのかなわない家具ですから、今はジョージアンの家具の買い時かも・・。
ということで、デニムもひそかに狙っていたジョージアン・スリーのセクレタリ・チェストを、
イギリスの現地ディーラーに依頼して、現地のアンティークオークションで落札していただきました。
といっても、ただ、ジョージアンの家具だから、というだけでわざわざ落札したわけではありませよ。
こちらの家具は、それ自体がすごい。
このような家具は、本当に、未来永劫、決して作ることはできないだろう、と率直に思います。
なぜって、まず、使われている素材に驚きます。
後述していますが、スパニッシュ・マホガニーのクオリティもさることながら、
ローズウッドのアクセント、強度が必要な箇所にはオーク、交換が必要になる箇所には柔軟性のあるオールドパイン材、
など、惜しげもなく、家具の最高級材を適材適所で投入しています。
なかなかこれほど、複数の高級材を使用した家具は見たことはありません。
しかも同じクラスの家具材はいずれも、ワシントン条約上、すでに入手はできません。
そもそもすべての材料が集められないのです。
さらには技術的にも、現代では複製できないほど、高度なハンドメイド技術によって作られています。
具体的には工作機械では加工できない組継(接合する工法)など、構造面各所に熟練が必要な手加工が施されています。
つまりハンドツールを使った高度な人力の加工技術でしか製作はできないのです。
もちろんそれは装飾面でも同様で、当時は木象嵌を専門に行う高度なインレイワーカーが多く存在していたと思いますが、
今ではそのような技術者はいません。
いうまでもなく、これほどの正確なストリンギング(線象嵌)を施せる専門の象嵌技術者など、
現在では存在しないでしょう。
つまり、二度と作れないという希少な家具、ということになるのですが、
それはすなわち、過去において、現在よりもハンドメイドの技術が進んでいた時代があって、
その時代には最も優れた手作り家具が作られていた、ということ。
こちらはまさにその時の家具、ということになりますよね。
誤解を恐れずに言えば、人類史上最高クラスの家具って、ことです。
この家具そのものがすごいんです。
何だかすごいすごいを連発していますが、そもそもジョージアンの家具とは何がすごいのか?
ご存じない方のために一応、おさらいさせていただきますね。
ジョージアンとは、最も隆盛を極めたジョージ3世(GeorgeⅢ 1760-1820)の時代を中心に、
“アーリー・ジョージアン”(GeorgeⅠ 1714-1727)、“レイト・ジョージアン”(GeorgeⅣ 1820-1830)も含め
18世紀前半から19世紀前半までの時代を総称しています。
そして、この時代に作られた家具は“ジョージアン”の家具と呼ばれ、
英国アンティーク家具の中でも最も質の高い良品が産出された時代と言われています。
これが「イギリス家具の黄金期」と呼ばれる所以です。
といっても、どこがすごいのか?
よくわかりませんね。
おおざっぱに言うと、
①「素材」がすごい
②「造り」がすごい
③「デザイン」がすごい
という3点ですごいのです。
でも、家具という製造物で、素材、造り、デザイン、というのは全部の要素では?
と思われますよね。
そう、結局、全部すごいのです(笑)
つまり、現代感覚の「家具」とは全く次元の違うものと思っていただいた方が良いと思います。
例えば①「素材」。
ジョージアンの時代は、一方では「マホガニーの時代」とも呼ばれていました。
そのマホガニー材は、今ではすでにワシントン条約のレッドリスト化により伐採が禁止となり、
すでに輸出入すらできない材料となっているため、
ほんのちょっとした残存の板材でも数万円の値が付いていたりします。
特に現代の最高級マホガニーの代名詞、“ホンジュラス”産マホガニーには、もれなく高値が付いています。
でも・・ご存知ですか?
かつて、高級マホガニーといえば、その代名詞は”ホンジュラス”ではなかったのですよ。
18世紀当時、イギリス政府は植民地である北米や西インド諸島の材木の輸入関税を廃止したことで、
今でいうところのジャマイカ、プエルトリコ、キューバなどから、多くの家具用木材がもたらされていました。
それらの家具用木材の中には、同じマホガニーでも多様な種類のマホガニーが存在していて、
さまざまな木質があったため、その材質によって銘柄が選別され、目的に合わせて用いられていました。
例えば、木目が詰み、赤みが強く、金属のように硬い、“ジャマイカウッド”、あるいは
キューバン・マホガニーをはじめとする、最も美しい木理とされる “スパニッシュマホガニー”等は高級家具材に徴用。
そして、比較的軽くやわらかい、加工が容易な“ホンジュラス”マホガニーなどは
見えない部分の構造材や汎用家具に使われていた、ということです。
つまり、現代の最高峰銘木も、当時ではただの一般材。
ね、次元が違うでしょ。
つぎにその②「造り」のすごさ。
技術的なことを語れば、賛否はきっとあるでしょうし、
例えばエジプトのピラミッドとドバイの高層ビルを比較して、
どちらが建造物として優れているかなど、議論しても全く意味はありませんよね。
もっと表層的な話。
当時のイギリスは産業革命まっただ中でした。
急速な経済発展の中、人々の生活も潤い始めて活気のあった時代に
国が支援する事業として家具産業がありました。
つまり「家具の製造」は当時の経済大国が支援した先端産業だったわけです。
有識者が諸外国を回り、多くの技術やデザインをイギリスにもちこみました。
今でいえばIT産業のようなものでしょうか?
人々はこぞって花形産業である家具業界の門をたたき、日々切磋琢磨して技術を高めていきました。
そんな時代ですから、一介の家具職人が上流階級にまで上り詰める成功例もまれな話ではなかったようです。
まさに現代のIT長者ストーリーに重なりませんか。
そんな先端産業としての「好循環」が、当時の英国家具の質を「黄金期」と称するまで高めたのです。
それほど当時の英国家具職人のものづくりの力はすごかったのです。
ある文献では、イギリス・ジョージアンの民衆家具は、同時代のフランスの宮廷家具のレベルに匹敵する、
とまで書かれていました。
そして、その③、「デザイン」。
デザインのすごさはインパクトではありません。
印象度の強さなら、歴史上いくらでもありますからね。
逆に“ファーマー・ジョージ”などと揶揄されるように、この時代のデザインは結構質素です。
しかし、名のある家具デザイナーが初めて世に出現したのがこの時代でした。
王室に近いウィリアム・ケントを筆頭に、アダム兄弟、チッペンデール、ヘップルホワイト、トーマス・シェラトンなど、
貴族趣味の建築様式ではなく、初めて個人のデザインスタイルが確立された時代でした。
つまり言い換えると、初めて民衆のニーズが家具に取り入れられた時代、といっても良いかもしれません。
実際、この時代に作られた家具が、ほとんどの現代家具のルーツとなっています。
現代の家具のマザーモデルが作られた時代、といっても言い過ぎではないでしょう。
こちらのセクレタリに見られるような、多機能・省スペース・高収納力は、
200年を超えた今なお生き続けている、時代を超えた商品性です。
これ以上すごいことってありますか?
・・よもやま話が長くなりすみません。
とにかく、二度と生まれることはない、英国伝統・ジョージアン生粋のマホガニーセクレタリ・チェストです。
200年以上前、現代も含めたすべての世界最高の家具技術がこちらの家具に凝縮されている、
といっても過言ではないでしょう。
そして、その家具を、デニムが1か月以上の時間をかけて、200年の時の針を巻き戻させていただきました。
往年の姿が再現されていると思います。
骨董家具としては、この上もない最高の逸品と思います。
きっと一生そばにおいて、たまにワックスをかけながら、生涯のパートナーとして愛でていただけるはず。
デニムがお勧めできない理由は本当にどこにもありませんね・・。
(Buyer/YM)
Condition/商品の状態(修理担当職人からのコメント)
素材、デザイン、装飾技術、製作技術、いずれも見どころ満載のジョージスリーのアンティークです。
18世紀当時、富裕層のために、ハンドメイドで手間をかけて作られた当時の最高級家具になります。
そして220年前のアンティーク家具として、パーフェクトコンディションとご案内させていただきます。
でも・・あくまで2世紀以上前の家具としてコンディションをご理解ください。
ここに至るまでには修復の長い道のりもありましたし。
というか、単なる「修復」という作業を超えて、デニムの職人スタッフが総出で取り組んだ1つのプロジェクトになりました。
昨年末より取り組み始めたプロジェクトですので、1ヶ月以上の歳月を費やしたことになります。
その結果・・当のデニムですら驚くほど、ピッカピカ。
一体だれがこの家具を、220年前のものと信じる人がいるでしょう。
さて、素材は全面、西インド諸島産と思われるマホガニー化粧材。
おそらくはスパニッシュマホガニーの中でも、特に人気の高いキューバンマホガニー。
上部中央のデスクトップ面には、クロッチマホガニー(炎が揺らめくようなマホガニーの杢目)の
ファニアー(シンメトリーの化粧張り)が施されています。
さらに正面の上部、両サイドにはアクセントとしてローズウッドの化粧張りを施工。
「金に糸目はつけない」とはこのことですね。
フレームなどの構造材は、硬度の高いオーク材。
柔軟性が必要な引き出しの底板、背板などはオールドパインと呼ばれるイングランド原産のイングランドパインです。
もちろんいずれも総無垢で構成されています。
そして、ショージアン家具らしい、シノワズリ(中国趣味)のインレイが引き出し前板など前面に施されています。
端正な直線は見事な線象嵌です。
天板のエッジラインにも線象嵌が施され、驚かされます。
直角の角に象嵌を施すとは、どうすればこのようなインレイができるのか、理論的に説明はできません。
驚くべきテクニックです。
それにしても、さすが、歴史上もっとも品質の高かった「マホガニーの時代」のマホガニー材です。
色は、華やかで深みのあるレッドマホガニー。
木目も艶もとてもきれいに出ています。
本当にうっとりです。
フォルムは、総無垢なのに2世紀にもわたってほとんど変形していないところがすごい。
消耗材として適材適所で使われているオールドパイン無垢材こそ収縮程度はありますが、
基本的にすべてまだまだお使いいただける現役の状態。
いずれの材もとても良い筋目の材料で、引き出しの底板までも反りの少ない良質な無垢材が使われています。
見えない部分の構造材でも全く軽視はしていません。
良材が総無垢で使われていることで、その存在感は別格に大きいですが、しかしその反面、
サイズはコンパクトでも、重量は横綱級の重さ。
男性でも一人では動かすのは困難かもしれません。
この点はご留意ください。
またアンティーク家具ながら、いや、アンティークだから、といった方が良いでしょうか、
とても凝ったセクレタリ(ドロップデスク式のライティングデスク)機能を備えています。
通常は「書記板」と呼ばれるデスクトップの天板を、鍵を開けることで手前に引き倒す仕組みですが、
こちらの場合、まず他の引き出し同様、まずデスク全体を手前に引き出します。
他の引き出しのように最深部まで引き出すことはできませんが、
モノが投げ入れられる程度には引き出せますので、この時点までは通常の引き出しのようにお使いいただけます。
そして、両サイドにある真鍮金具のボタンをプッシュするとロックが外れ、
ドロップデスクが手前に引き倒されてきます。
これで、いわゆる”ビューローデスク”としてお使いいただけるようになります。
この仕組みを司る真鍮金具ですが、これがとても良くできているんですよね。
今まで見たこともない形状の金具なので、ごく少量だけ生産された特殊な金具だったのでしょう。
よほどの高級家具以外は使われなかったのではないかと思います。
そして、デスク内にもまた、ちょっとしたセキュリティ機能がついています。
デスク内には小引き出しが7杯ついた整理棚が設けられていますが、その中央、
一見飾り面に見える部分ですが、その上部を指で押してみると、
リフトアップ式の開き扉になっていることがわかります。
そして中にはさらに小引き出しが1杯。
この隠し扉は、よくよく見れば扉であることは気が付くとは思いますが、
こっそりデスク内を盗み見ようとした人が、気が焦っている中でデスク内をあさっている状況では
おそらくこの面が隠し扉であることは見逃してしまうのではないかと思います。
アナログ時代のセキュリティの仕掛け。
当時の人間模様も想像できて面白いですね。
さてメンテナンスについて、まずはこれほどのアンティークですので、
なるべく商品のオリジナリティを維持しながら、
往年の姿と実用性を再生させることを目標に、修復作業にかかりました。
200年以上実際に使われてきている家具ですが、全体的にはしっかりとメンテナンスはされてきたと思われ、
構造面ではおおむね問題のない状態でした。
そうはいっても、やはり2世紀前の家具。
つまみが欠落していたり、引き出しの滑りが悪かったりなど、各所にわたって修理の必要な箇所はありました。
まず塗装面。
おそらく大切にされていたのでしょう、木肌の状態は悪くはありませんでした。
ただ退色が進み、マホガニーらしい赤みがなく、黄色っぽい色に変色してしまっていました。
また日焼けのためか、部分部分でも色合いが変わってしまっているので、
全体的に色合わせの調色をしながらを赤みを再生させる必要がありました。
もちろん、本来真鍮無垢のゴールドだったと思われる真鍮取っ手もまっ黒。
製作当時のイメージとは大きく変わっていることでしょう。
そして構造面。
数十年もすれば、良質な家具でも精度が狂ってくるといわれる総無垢の家具で、
200年もの歳月が経過しているのです。
普通だったらとても実用は無理なところですが・・。
確かに、木割れ、ほぞ抜け、角の欠け、木の収縮による接着面の剝れ、隙間など、
年代なりに各部修復の必要な状態でした。
しかし・・さすが世界史上もっとも良質な家具と称されるジョージアンの家具。
驚くべきことに、全て、再生が可能な作りとなっているのです。
確かにそうした構造にするには手間暇はかかりますが、だからこそ、こうして何世紀にもわたって
英国の優良な家具は生き続けているのでしょう。
といっても、現代の量産家具を否定するものではありませんけど。
また、奇跡的というべきか、特に基本的なフレーム構造にダメージのないことは幸いでした。
特殊な機能になっているドロップデスクについては、動きにややぎこちなさがありましたので、
少々調整が必要そうです。
ただこちらも深刻な状況ではないと思います。
デスクトップに張られているレザーについては、交換が必要な状態でした。
この部分は消耗品ですので致し方のないところですね。
そして気になる金物などの付属品類。
取っ手、鍵には真鍮金物が使われていましたが、まずロック自体は全て使用可能な状態。
キーはなく、合鍵を製作する必要がありましたが、ロックの修理に時間を割かなくても済むことはとても幸いでした。
全て鍵はロックアンロック使用可能になっています。
細かいところでは、デスク内の棚の引き出しには、もともと木製で作られたつまみが使用されていました。
木製ということもあり、長年の使用で、半分くらいのつまみが欠けたり割れたり、
なくなっていしまっているものもありました。
同じように木製つまみを製作することもできますが、やはり長く使用するには真鍮つまみが良いだろうと、
似た形状のものをセレクトし、交換することにいたしました。
いずれにしても、総じてコンディションは200年前のものとは思えないほど良好。
さすが「家具の黄金期」ジョージアンの金物はそれほど出来が良かったということなのでしょう。
とはいえ、特に取っ手などは、これ元は何色? というくらい、まっ黒な状態。
中には、このように時代がかった古びた真鍮が好き、とおっしゃる方もいらっしゃるのですが、
デニムの修復コンセプトは、とにかく往年の姿を取り戻すこと。
どうしても当時の真鍮ゴールドを再生させたくて、全ての金具を外し、一つ一つ手作業で徹底的に磨き込みました。
結果として、デニムの職人スタッフが、ほぼ丸1日の時間を費やすこととなりましたが、
でもその甲斐あって、レッドマホガニーの美しい躯体に、ピカピカの真鍮ゴールドが輝く、
素晴らしいジョージアン・セクリティが蘇りました。うっとり・・。
さて、話は戻りますが、修復の作業はまず実用性の回復から取り掛かりました。
主に背板や躯体の構造に使われている無垢材に木割れや収縮が出来ていたので、
その点をしっかりと接合させ、躯体の剛性感を向上させます。
また、引き出しの底板にも無垢が使われているため、ほぼ全段、すきまや割れが入っていました。
これもすべて埋め木や接着で対応します。
無垢の木割れはある程度現代の強力な業務用接着剤ならば再生することが可能です。
その他、ほぞ抜けや接着面の剝れについては、一般的なアンティークの締め直し作業で再生可能でした。
最も大変だったのは、引き出しの滑り調整。
かなり容量のある引き出しなので、目いっぱい詰めた状態で頻繁に出し入れすれば、桟がすり減って、
引き出しの動きが悪くなってきます。
それが200年も経過しているんです。
何度も修理跡がありましたが、いつの時代からかは全く修理されていなかった様子。
ほとんど動かせない状態になっていた引き出しもありました。
デニムでは摩耗した桟に当て木をしたり、重みで落ち込んでしまった桟には隅木などの補強を入れたりと、
全ての段の引き出しを、数週間にわたって根気よく修理していきました。
その点も何とかすべて再生することができました。
現状、全段実用コンディションとなっています。
あと、ジョージアンらしいブラケットフットの脚先あたりは、
かなり入荷時よりしっかりとしていて、全く問題のない状態。
ガタつきなどもチェックしています。
グラつきもありません。
これで構造補修が終わったところで、次は外観補修。
外装に使われているマホガニーの化粧材については、目立った反りやゆがみはなく、
したがって化粧張りの浮きなどはほぼ皆無な状態でした。さすがジョージアンの家具。
若干、収縮で木割れのある部分が側板に2か所ほどありましたが、そちらは埋め木で対応。
塗装すればほぼ気にならない状態になりそうでした。
これで木部のベーシックな部分は完了。
ほぼ全て、往年の姿に完全再生できました。
あとは200年の汚れを落とし、塗装をすれば完成。
ということで、クリーニングにかかりました。
デニム愛用のウッドソープ、「CR0291 HOWARD クリーナフィニッシュClean-A-Finish 473ml」が活躍します。
本来200年経過していれば、相当汚れていてもよさそうでしたが、
コレクティングファニチャーとして、メンテナンスは欠かさなかったのでしょう、
内部は意外にもきれいな状態でした。
一方では、引き出しの内部など、端っこのこびりついた汚れなどは手作業のサンドペーパーでも削り落しています。
手抜きなく丁寧に仕事はしています。
全体的に、おおむねきれいな印象をもっていただける状態と思います。
紆余曲折を経ながらも、いよいよ、レストア最後の工程となる塗装工程です。
どこまで商品として魅力的に見せられるか、塗装の完全再生を目指します。
2世紀前の家具ともなると、もはや隠し切れない変色や汚れがあって、
色を整える必要があります。
したがって、調色をしやすくするため、ほぼ全面にわたって汚れ落としのサンディングをしました。
繊細なインレイや化粧張りがありますので、完全に旧塗装をはく離、というわけにはいきませんが、
天板面はエッジ以外はインレイもなく、小傷なども多かったので、全面剥離をしています。
とても美しい、見事なキューバンマホガニーの杢をしっかりと確認いたしました。
全体的に英国製のステインで色合わせ程度に染色し、天然樹脂製のシェラックニスで仕上げています。
全面きれいなダークレッドマホガニーに引き締まり、
往年の容姿が再生できたのでは、と思います。
最後にきれいに磨き上げた金具類を全てを元通りに組み直し、最終チェックをいたします。
あとは複雑な動きをするドロップデスクの動きの調整とレザートップの再生です。
動きを司る金具については、驚くべきことに全く問題なく機能しておりました。
何千、何万と繰り返し引き出されてきたと思われるのに、全くダメージは見せておりません。
金具の剛性と、使われている設置場所を含めた構造設計が、明らかに優れていたことの証左でしょう。
素晴らしいモノづくりの知見だと思います。
金具を取り外してチェックし、磨き上げ。
そして、引き出しの動きは通常通りの木工修理の方法で、滑りを回復。
金具を元に戻すと、作られた当時のように、一切のがたつきなくスムースに引き出しは動き、
ドロップデスクは開くようになりました。
ロックも調子よく、かしゃん、かしゃんと動き、気持ち良いです。
レザートップには「FB0140 本革(エンジ) ニュースムース」を使用。
レッドマホガニーの躯体にはとても良く映える、デニム別注のデスクトップ専用レザーです。
ちなみに、欠損していたデスク内の棚の小引き出しのつまみ、
こちらは「CR0017 真鍮製ノブ Φ20×17」に交換いたしました。
サイズも計上もよく似ていたので、違和感は全くなく、見た目もとてもよくマッチしています。
これですべての機能が再生され、外観も生まれた当時の姿に近い状態まで回復いたしました。
以上、これほどのアンティークですので、デニムスタッフ総がかりで、長期間、
手抜きなく隅々まで手を掛けさせていただきました。
お届け前には、塗装の完全乾燥を見極めたうえで、天然蜜蝋のワックスで磨きあげてお送りいたします。
大切に長くご利用になってください。
尚、以下はこのようなジョージアン家具の一大再生プロジェクトを終えてみての雑感・・。
現在、日本ではかなりの数、イギリスからアンティーク家具が輸入され、
アンティーク家具屋さんも全国各地、数多く存在していることと思います。
でも、おそらくデニムと同じレベルまで、修復作業を出来るところは、
ごく少数のお店しかないのでは、と思っております。
なぜならば、大きな家具屋さんでは、多くの仕事をこなす中で、
これほどのレストア作業をこなすことは事実上難しいと思われるからです。
つまり、効率を追求するならば、このジョージアンのような家具は
非効率で儲からないことが分かっているので、手を掛けられないのです。
実際デニムでも、これほどの高価な値がつけられてはおりますが、作業時間を考えると、ほとんど赤字商品かと・・。
また小さすぎるアンティーク屋さんだと、他の仕事が全く手をつけられなくなってしまうので、
大手同様、絶対にこのような手間のかかる家具の修復には手を出さないでしょう。
また知識や設備的にも取り組むのは難しいかもしれません。
何人かの職人がいて、それなりの技術力があり、小さすぎず、大きすぎない修理工房。
このような修理工房でなければ、このような恐るべきジョージアンのセクレタリチェストなどには取り組めないでしょう。
コメントを読んでいただければわかるように、デニムでもこのようなジョージアン家具は、
レストアのための研究材料、ノウハウの蓄積のための、一種の試験素材と割り切らざるを得ない面があります。
余談でしたが、大きなところから小さななところまで、かなり手を尽くしたつもりです。
2世紀以上前の家具とはいえ、これからも実用家具としてお使いいただけると思います。
担当修理職人から自信を持ってお奨めさせていただきます。
(Restorer/YM)
Impression/当店の評価(お客様担当からのコメント)
キューバンマホガニーと思われる、銘木級のマホガニーとローズウッド、そしてオークとイングランドパイン、
名だたる高級材で構成された、世界最高峰のハンドメイド家具、
ジョージアンのセクレタリチェストになります。
現代家具にはない見事な製作技術とデコレーション、
そしてアンティークならではの色つやとしっかりとした作りを感じさせます。
今では見かけることのない、高価な収納家具ですが、
最高級クラスのインテリアでありながら、日常的にお使いいただける実用的な機能家具でもあります。
家具としての質の高さはご覧のとおりですが、
お品自体もきちんと手入れをされ、大切に扱われてきたことが伺われる、
スーパーエクセレントなコンディションです。
もしかすると、このコンディションクラスのジョージアン家具は、
もう二度と入手することができないかもしれません・・。
アンティーク上級者の方にも、
きっとご期待に沿えると思います。
ぜひこの機会にご検討いただければ幸いです!
(Sales/TJ)
※各項目の文字をクリックするとその項目の説明ページにジャンプします。
商品基本情報 | ||||
品名 | ジョージアンGeorge III スーパーマホガニー セクレタリ チェスト | |||
品番 |
CH0255
|
管理番号 | LC32-11_0126 | |
販売価格(税込) | 374,000 円 | 在庫数 | 0 | |
サイズ |
幅 1320mm 奥行 535mm 高さ 1145mm 天板高さ 825mm ※天板の高さはドロップデスクのデスクトップの床からの高さです。 | |||
送料ランク・重量 |
Eランク (280 kg) 送料目安:16,555円~30,085円
(沖縄 45,155円)
らくらく家財宅急便による配送になります。 ※ 同梱可能な複数商品の送料はご注文後に別途お見積りをご提示いたします。 | |||
商品分類 | クラス | |||
デザイン | ||||
ユース | ||||
ランク | ||||
カテゴリ |
家具/Furniture
> ビューロー/ビューローブックケース
家具/Furniture > ワードローブ/チェスト/ミラーチェスト |
商品プロフィール | ||||
原産国 | イギリス | 年代 | 1800年代 | |
メーカー | デザイナー | |||
主要素材 | ||||
主要素材の材質 | ||||
主要素材の等級 | ||||
商品の無垢率 | ||||
カラー | ||||
塗装・仕上げ | ステイン・ニス・ワックス仕上げ | |||
その他素材 | ||||
その他の素材のカラー | ||||
メンテナンス状況 | ||||
コンディション | 傷の程度 | |||
目立つ傷 | ||||
交換・改造 | ||||
実用性 |
商品プロフィール | ||||
原産国 | イギリス | 年代 | 1800年代 | |
メーカー | デザイナー | |||
主要素材 | ウォルナット | |||
主要素材の材質 | 化粧材 | |||
主要素材の等級 | S級 | |||
商品の無垢率 | 90%以上 | |||
カラー | ダーク系 | |||
塗装・仕上げ | ||||
その他素材 | 金属 | |||
その他の素材のカラー | 素材色 | |||
メンテナンス状況 | フルメンテナンス | |||
コンディション | 傷の程度 | 少ない | ||
目立つ傷 | 少ない | |||
交換・改造 | 年代なり | |||
実用性 | あり |
商品評価 | ||
デニムの総合評価 |
商品評価 | ||
デニムの総合評価 | S |
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