DC1001 オーストリア 1870年代 オリジナルトーネットTHONET No.2 ベントウッドチェア
サイズ | 幅 420mm 奥行 525mm 高さ 925mm 座面高 460mm 座面奥行 425mm 座枠高 460mm |
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Outline/商品の概要(仕入担当者からのコメント)
大変希少なアンティーク・ベントウッドチェアが入荷いたしました。
こちらは1870年前後に製作された、クラシック・トーネットThonetオリジナルのベントウッドチェア、
記念すべき量産第2作目のセカンドモデル、No.2になります。
まず普通ではお目にかかれない大変希少なアンティーク・ベントウッドチェアです・・。
製造はおそらく当時のトーネット社・オーストリア工場。
1860年代には、現在のチェコにあるビストリツッエ工場(現TON社)が開設されていましたので、
こちらもチェコで作られた可能性は否定できませんが、
時期的には、ビストリツッエ工場ではNo14の生産がメインだったはず。
ということは、旧来からのラインアップである、こちらのNo2などのクラシック・トーネットモデルについては、
従来通り、オーストリア工場で作っていたものと考えられます。
さて、こちらのNo2について解説させていただく前に、なぜこのようなびっくりするプライスがついているのか。
その点をご理解いただきたく、ベントウッドチェアの相場について、ちょっと触れさせていただきます。
そもそも「曲げ木椅子」は、“ミヒャエル・トーネット”によって19世紀半ばに開発されましたが、
21世紀の現在に至るまで、紆余曲折した非常に長い歴史があり、
その歴史性によって、その個体の相場が変動しています。
ではその「歴史性」とは?
アンティークファンの方でもその歴史について混乱されてらっしゃる方も多いので、
もう一度、”アンティーク・ベントウッドチェア”について「おさらい」をさせていただきたいと思います。
まず、ベントウッドチェアに限らずアンティーク全般に言える事ですが、
ベントウッドチェアも、「実用アンティーク」と「コレクション」の2種類に大別できます。
前者は中古家具に近い感覚で安価なもの、後者は実用性があるかどうかは別にして、
過去に残されていくべき歴史的な遺産と認められているもの、です。
それでは、実用アンティークとコレクションとの違いはどこにあるのでしょう。
それは、おおざっぱにいってしまえば、第1次大戦を境にして、それ以前がコレクション、
以降は実用アンティーク=ユーズドモデルとして理解されています。
(もちろん大戦以降でも価値のあるヴィンテージモデルは存在していますが、ここでは例外的なお話は省きます)
ではなぜ、第1次大戦を境に価値が変わってしまうのか。
それは、第1次大戦とともに、かつてのトーネット社が完全に解体してしまうからなのです。
ベントウッドチェアの歴史は、トーネット社なしには語れないもの。
つまりベントウッドチェアの歴史は、ここでいったん途絶えてしまうのです。
もちろん、第1次大戦後もベントウッドチェアは作られ続けていますし、
現在もトーネットブランドは受け継がれています。
しかし、現在のドイツ・トーネット社は、あくまで旧トーネット社が数社に分断されてしまった後の1社にすぎません。
チェコやポーランド、オーストリアやイタリアなど、各国にも名前は違えど、
複数のトーネット社が存在するようになってしまったため、
もはや「ベントウッドチェア」という一つのくくりではとらえられなくなってしまった、
と考えられているのが実際のところだと思います。
つまり、趣味性の高かった”ベントウッドチェア”という”ブランド”は、戦後、
どこにでも見られるごく一般的な業務用家具として、身近なものになってしまった、ということです。
ある意味ではこれは商業的には良いことだったのかもしれませんが、
骨董的にはプレミアム性は間違いなく失われたといってよいでしょう。
そのため、コレクターの趣味・志向が、戦前のモデルに偏ってしまったのも無理からぬことだと思います。
そして、コレクターが探し求める戦前モデルのベントウッドチェア。
これもトーネットが経てきた時代によって3タイプに分類されます。
その「時代」とは以下の3ステージです。(デニムの私見です。)
1) 曲げ木特許の取得以前
1819~1840年頃:ドイツ・ボッパルトの工房時代(ミヒャエル・トーネット商会)
2) 曲げ木特許の取得以降
1842~1855年頃:オーストリア・ウィーンの工房時代(ミヒャエル・トーネット商会)
3) ベントウッドチェアの発展期
1857~1920年頃:世界各地に工場を設立していった時代(トーネット兄弟社)
このトーネット社の時代ごとにアンティークベントウッドチェアの相場は大きく変わってきます。
尚、戦後のステージを含めれば、
4) ベントウッドチェアの定着期
1922~1940年頃:第一次大戦後、各国の工場が没収されていった時代(トーネット=ムンドス社)
として、4つの時代に分類できます。
1)~2)は曲げ木技術が完成する以前、
3)~4)は曲げ木技術が完成して、ベントウッドの量産が始まった時代、
と、2つに大別して理解していただいても結構です。
相場的にみると、4)はほぼ実用アンティーク、3)はコレクションと実用アンティークが混在、
2)はほぼすべてがトップクラスのコレクション、1)になるともはやプライベートコレクションと言うよりも、
博物館に展示される歴史的資料という意味性が強く、相場とはちょっとかけ離れてきます。
この中で3)のコレクションは比較的数が多いため相場の幅が広く、高価なものから安価なものまで存在しますが、
完全な量産体制に移る前の1900年代以前の個体については、その個体数の少なさから、
ほぼ2)と変わらないほどのプライスが付けられています。
つまり、3)の時代の初期のお品は2)と同様のトップコレクション、と見てよいでしょう。
また、トーネットの歴史の中では、その時代ごとにライバル企業が存在しています。
1)~3)の時代では、それらのライバル企業抜きにはトーネットも語れません。
そのため、相場的にも、トーネットとライバル企業はほぼ同等、とみてよいと思います。
尚、過去にデニムサイトでご紹介した例では、
3)は、DC1005 ヨゼフ・ホフマンJOSEF HOFFMANベントウッドチェア No4カフェダウムCafé Daum
2)は、DC1000 トーネットTHONET No14プロトタイプ ジョセフネイガーJoseph Neygerモデル
がその時代のアイテムとして代表的なところです。
さて、お話は長くなってしまいましたが、こちらのNo2は3)の時代のトップコレクション。
フランス人コレクターが所有していたフランス・アンティークを、デニムが譲り受けたものになります。
No2は、創始者・ミヒャエル=トーネット自身がデザインし、
クラシックトーネットの時代(上記1~3までの時代)だけにしか存在せず、
かつ、ライバル企業では作られることのなかった、トーネットオリジナルの大変貴重なモデルになります。
現地価格でも1,500ユーロはくだらないといわれています。
※現在€1=約¥150
No1~3までのクラシックトーネットは、ほぼ2)の時代に近いコレクションアイテムのため、
一般の市場に出てくる事はまずあり得ません。
これからもまず量産される事はないモデルですので、時代が経てばたつほどその価値は高くなってくるものと思います。
しかも高い実用性と耐久性を兼ね備えた良質なアンティークコンディション。
デニムがお勧めできない理由はどこにもありません・・。
(Buyer/YM)
Condition/商品の状態(修理担当職人からのコメント)
何という美しい曲げ木のフォルム・・。
くるくるっとCスクロールの渦を巻く、No2独特の背当ては、
20世紀以降のトーネットのベントウッドチェアとはまるで異質なデザインです。
そして、おそらくは当時のオリジナル(トーネット純正)ペイントと思われる、
「金彩」が40%ほど残っております。
エボニーベースのゴールドペイントは、19世紀の半ばに流行した”パピエマーシュ”と同様の手法。
フランスの販売モデルに施されたオプションペイントだったのでは、と想像しております。
アンティークのヨーロピアンビーチ独特のふくよかさも、よくわかる個体です。
マホガニーで例えて言えば、世界最高級 “ジャマイカ・ウッド”のビーチ版、ってところでしょうか。
現代の細くて硬質な質感に比べると対照的です。
さて、入荷時の状態は各所メンテナンスが必要なコンディションでした。
フレームは若干のはじけや緩みくらいで、見た目ほど悪くはなかったのですが、
修理職人泣かせのケインシート(籐座面)の破れ、また塗装面が劣化し、全面リフレッシュ塗装をする必要がありました。
また、コレクション上の気になるポイント、座裏の製造メーカーのラベルについては、
はっきりと 古いトーネットのペーパーラベルが残っています。
また旧書体のトーネットの刻印もしっかり確認できます。
素材自体はとても良いコレクションアイテムと思われます。
構造面での問題はありませんでした。
素材の質の高さは、杢目、繊維のキメの細かさ、そしてはじけに対する耐久強度から見て、
家具材として最高水準のビーチ材と言えます。
接合部もダメージのないグッドコンディション。
まあ、1世紀以上の使用でまったく変形がないとは言い切れませんが、
お写真の4面図で確認する限りではほぼないといってよいと思います。
レストアは、木部修復ののち、リフレッシュ塗装、そして籐張り、と進めていきます。
まずはベントウッドチェアのお約束、「はじけ」(曲げたカーブの割れ)が数か所確認されましたので
木部修復を行います。
「割れ」といっても、表面的なものでそれほど強度には影響しないレベルのものがほとんどでした。
「はじけ」は現代の業務用強力接着剤を使用し、クランプで完全圧着させます。
一晩、寝かせておき、完全に固着させます。
また、接合部は接着剤を使用しないノックダウン構造のため、主に木ねじの交換や増し締めで
ガタつきぐらつきはほぼ解消しました。
1世紀以上の時を経てこの程度の木部補修で済むとは、
全く、素材の良さと、メーカーの製造技術の高さには脱帽します。
次にリフレッシュ塗装。
座枠などは金彩がちょっとまだらになってしまっておりますが、
これも貴重な歴史的資料なので、できるだけ金彩を維持したまま、リフレッシュしていきます。
通常、アンティークのベントウッドはダークオーク系と思われますが、
こちらはエボニー系の塗装。
デニムのリフレッシュ塗装でも深みのあるジャコビアンオーク(黒檀)系をセレクトし、塗装することにいたしました。
イギリスアンティーク同様、磨けば磨くほど艶の増すシェラックニスでフィニッシュ。
今までのベントウッドチェアと同様、風合いを生かした時代感のある仕上げです。
色艶もとてもいい感じになりました。
シェラックニスは、天然の樹脂で環境にも優しく、将来の塗り替えも容易になりますので
デニムではアンティーク塗装のフィニッシュにお勧めしています。
元のコンディションも良好でしたが、デニムでも手を尽くし、まぎれもなく歴史に残る逸品となりました。
最後はケインシート張り。
まず古いケインを完全に抜き取り、通し穴の補修を行います。
これで何度もお張り替えいただける状態に整えられました。
次に入荷時に残っていたケインと同じ太さのケインシートをセレクトし、
張り方もオリジナルと同様の、4WAYと言う手法で張り替えていきます。
6WAYに比べて耐久面では劣りますが、お張り替えが容易なので、将来のメンテナンス面では良い仕様だと思います。
トリム(縁飾り)にも5mm幅のケインシートを用い、アンティーク同様のビーディングで引き締めて完成です。
19世紀の伝統的な手法を踏襲しながらも、
現代的な観点でフルレストアを行った良質なアンティークと自負しております。
担当職人から自信を持ってお奨めさせていただきます。
(Restorer/YM)
Impression/当店の評価(お客様担当からのコメント)
一般にちょっと誤解があるかもしれませんが、大きく木を曲げる”ベントウッド”いう技術自体は
ミヒャエル・トーネットが発明したものではありません。
もともと、馬車の車輪など、木を曲げる技術は以前から存在していたのです。
トーネットは、従来の曲げ木技術を発展させ、家具などの半耐久財の製造に転用させる技術を開発したのです。
そのため、当時、見方によってはオリジナル性が低かったととらえられたのかもしれません、
彼が「曲げ木技術」で特許を取れたのは、何度も自身の曲げ木技術を進化させた後のことでした。
特許を取った後のトーネット社は順風満帆。
半世紀後には何と、「世界帝国」とまで例えられるほどになりました。
しかし、ミヒャエル・トーネットがその特許を手にした1842年は、彼はすでに50歳超えでした。
彼はとてつもなく長い下積み生活を経て、初めて、成功を手にしていたのです。
そんなトーネットが迎えていた1843年から51年までの8年間。
それは彼にとって大きなターニングポイントの時代でした。
その時期を境に、彼の人生は180度変わることになります。
人生を変えたのは、その当時、彼自身がデザインした5つの曲げ木椅子。
それらの椅子の成功が、後の彼の人生を決めた、と言っても過言ではないと思います。
最初は、リヒテンシュタイン宮殿の椅子をモチーフにした「パレ・シュワルツンベルグの椅子」。
1843年にデザインされたこのチェアは後に、記念すべきModel No1と名付けられました。
次に彼は「パレ・シュワルツンベルグの椅子」をベースに、
背の意匠を替えれば、デザイン違いのモデルを合理的に製作できる事を思いつきました。
背の意匠に西欧伝統の”C”型スクロールを取り入れたモデル、それがこちらのNo2です。
純粋に曲げ木椅子としてデザインされたモデルとしては、最初の椅子、と言ってもよいかもしれません。
このNo2以降、プラットフォームを共通化し、背の衣装替えでデザインを変える手法は、
21世紀の現代にいたるまで、全てのノックダウン型家具の基本となっています。
真の「世界初の量産家具」と言ってもよいかもしれません。
そして、背のCスクロールをつなげてハート型にしたモデルがNo3。
さらに背のCスクロールをS字型スクロール(=唐草文様)にしたのがNo4。
No4は1849年、”カフェダウム”で採用された事が有名になり、後に「カフェダウムの椅子」と呼ばれるようになります。
これらの4つの曲げ木椅子は、彼の「ミヒャエル・トーネット商会」を大きく発展させる第一歩となりました。
そして、1851年。
ロンドンで行われた第一回万国博覧会で彼はNo5を発表します。
No3の笠木にデザインを加えたこのチェアNo5がその博覧会で銅賞を獲得。
ミヒャエルトーネットがデザインした第5のチェアによって、
”トーネット商会”の名前は一躍世界中に知れ渡ることになりました。
・・それ以降、ロンドン博の2年後、ミヒャエルは会社を「ゲブルダー・トーネット商会」と改称し、
会社の経営を5人の息子たちにゆだねます。
以降は周知の通り、第一次大戦前にムンドス社と合併するまで、
一気に世界トップクラスの民間企業へと発展していきました。
・・トーネット社の礎を築いたNo1からNo5までの曲げ木椅子。
それらはミヒャエル・トーネットのDNAそのものと言ってもよいでしょう。
その第2に当たるDNA、それがこちらのNo2なのです。
世界史的にも、家具史的にも、失ってはならない19世紀の偉人の重要な遺産です。
当店で丁寧に丁寧にメンテナンスを入れ、ケインシートもお張替して、次の100年に備えております。
日本では、No2のコレクション・ピースを入手することはほぼ不可能。
イギリスやフランスでもよほどの専門店でなければ見つけることは難しいと言われています。
ドイツには比較的コレクション級のアイテムが存在していますが、
こちらのチェアと同等クラスのものですと、現地価格でもほぼ同等の値付けがされています。
高価なお品ですが、こちらのチェアをヨーロッパから日本へ運ぶ運賃分は間違いなくお値打ちな一品と思います。
ぜひこの機会をお見逃しなく!
(Sales/YM)
品番:DC1005 価格(税込): 165,240 円
話題に上ったベントウッドチェアはこちらです。
※各項目の文字をクリックするとその項目の説明ページにジャンプします。
商品基本情報 | ||||
品名 | オリジナルトーネットTHONET No.2 ベントウッドチェア | |||
品番 |
DC1001
|
管理番号 | Lot14-30_0913 | |
販売価格(税込) | 324,000 円 | 在庫数 | 0 | |
サイズ | 幅 420mm 奥行 525mm 高さ 925mm 座面高 460mm 座面奥行 425mm 座枠高 460mm | |||
送料ランク・重量 |
B/2ランク 送料目安:4,400円~7,040円
(沖縄 10,010円)
らくらく家財宅急便による配送:同ランクの椅子をもう1つ同梱できます。 ※ 同梱可能な複数商品の送料はご注文後に別途お見積りをご提示いたします。 | |||
商品分類 | クラス | |||
デザイン | ||||
ユース | ||||
ランク | ||||
カテゴリ |
椅子/Chair
> ダイニングチェア/キッチンチェア
無銘の椅子コレクション/Premium Chair Collection > ベントウッド/トーネット |
商品プロフィール | ||||
原産国 | オーストリア | 年代 | 1870年代 | |
メーカー | デザイナー | |||
主要素材 | ||||
主要素材の材質 | ||||
主要素材の等級 | ||||
商品の無垢率 | ||||
カラー | ||||
塗装・仕上げ | ステイン&ワックス&ニス仕上 | |||
その他素材 | ||||
その他の素材のカラー | ||||
メンテナンス状況 | ||||
コンディション | 傷の程度 | |||
目立つ傷 | ||||
交換・改造 | ||||
実用性 |
商品プロフィール | ||||
原産国 | オーストリア | 年代 | 1870年代 | |
メーカー | デザイナー | |||
主要素材 | ローズウッド | |||
主要素材の材質 | 無垢材 | |||
主要素材の等級 | 1級 | |||
商品の無垢率 | 90%以上 | |||
カラー | ダーク系 | |||
塗装・仕上げ | ||||
その他素材 | 木 | |||
その他の素材のカラー | 素材色 | |||
メンテナンス状況 | フルメンテナンス | |||
コンディション | 傷の程度 | 年代なり | ||
目立つ傷 | あり | |||
交換・改造 | 年代なり | |||
実用性 | 年代なり |
商品評価 | ||
デニムの総合評価 |
商品評価 | ||
デニムの総合評価 | S |
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